ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-ニンフ・カリュプソ(続々)

 
 折悪しくエチオピアから帰ってきたポセイドン神は、オデュッセウスがカリュプソの島を出立したのを知って大激怒。俺の不在をいいことに、神々め、よくも俺を蔑ろにしやがったな! 
 軽快に波を蹴立てて大海原を行くオデュッセウスの姿を見つけると、ポセイドンは早速黒雲を呼び集め、三叉鉾を海へと突き立てる。
 途端に海は嵐となる。オデュッセウスは絶望して叫ぶ。ああ、トロイアの地で死んでいたほうが三重、四重に幸せだった!

 筏は大波に翻弄され、海に投げ落とされたオデュッセウスが必死に浮かび上がったときには、ばらばらになっていた。筏の残骸にしがみつき、荒波に揺さぶられながら漂うオデュッセウス。
 捨てる神あれば拾う神あり。この惨めっちい姿を憐れんだのが、海の女神レウコテア。カモメの姿になってオデュッセウスの筏の上に止まると、身に着けると決して溺れることのないヴェールを貸し与える。
 さあ、服を脱ぎ、筏を捨てて、陸に向かって泳ぎなさい。

 オデュッセウスは裸になると、ヴェールを胸下に巻いて、抜き手を切って泳ぎ出す。この様子を見たポセイドンは、ガッハッハ! そうやっていつまでも海にさまようがいい! と吐き捨て、海底へと戻っていく。ポセイドンはいつだって大雑把。

 すぐにアテナ神が風を鎮める。オデュッセウスは二日二晩泳ぎ続け、パイアケス人の住まうスケリア島に漂着する。
 河口から上陸し、レウコテアのヴェールを海へと流すと、水辺のそばの森に入り、オリーブの潅木の茂みに潜り込んで、落ち葉に埋もれてパタンキューと眠ってしまった。

 To be continued...

 画像は、H.レーマン「カリュプソ」。
  アンリ・レーマン(Henri Lehmann, 1814-1882, German)

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