バーデン公国の憩いの都(続々々々々)

 
 翌朝、食堂には例によって子供たちが大勢いる。この日は中高生くらいの子たち。東洋人の座っているテーブルには、子供たちは敬遠して、なかなか座ろうとしない。席が埋まってしまってから、ようやく、「ここの席、いいですか?」とやって来る。
 で、私たちの前の席にも、女の子が三人座った。彼女たちはみんな照れ屋なのだが、一旦眼が合うと、眼を逸らしたりはせずに、ハローと挨拶してくる。

 黒い髪の女の子に「いくつ?」と尋ねると、自分の名前を答える。で、いくつか数字をノートに書いて、「13? 14? 15?」と尋ねると、意味を解して、14歳だ、と言う。
 「みんな14歳?」と、部屋を見渡して尋ねると、「アー……」女の子は言葉に窮する。彼女は英語を話せないのだ。

 横で話を聞いていた、金髪の女の子が代わりに答える。
「私たちは14歳だけど、あっちの子たちは17歳。11~17歳の子がいるの」
 こんなふうに、同い歳で英語を話す子と話さない子がいるというのは、それが学校教育の成果ではないからだろう。会話というのはやはり、教育によってよりも、日常のコミュニケーションによってのほうが、はるかに身に付くわけだ。

 彼女たちは朝食を食べ終わると、コーナーにあるパンと野菜とチーズで、手際よくサンドイッチを作る。そのサンドイッチを紙に包んで、果物やお菓子と一緒に紙袋に入れる。これが彼女たちのハイキングのお弁当。
 こんなふうに、11歳の子も17歳の子も、お弁当を作る。一人一つだけ、と注意書きのある籠からこっそりと、ケーキを二つ持っていってしまう子がいる。昼の分のバナナをもう食べている子もいる。

 週末のユースホステルは家族連れも多い。ドイツ人たちはこうやって、週末ごとにヴァンデルンク(Wanderung 小旅行)に出る。

 To be continued...

 画像は、カールスルーエ、動物園の象。

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     Bear's Paw -ドイツ&オーストリア-
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