ギリシャ神話あれこれ:ペレウスの結婚(続々)

 
 眼を醒ましたペレウスは、もう暗くなっているのに驚いて、慌てて剣を探す(王が隠しておいた)。そうこうするうちに、この辺りに住まうケンタウロスたちに襲撃される。
 が、運良く、馬人の賢者ケイロンに命を救われる。

 そんなこんなで、勇敢なペレウスに神々も一目置いたのか、やがて彼は、海神ネレウスの娘であるネレイデスの一人、海の女神テティスを貰うよう、ゼウス神から言い渡される。

 テティスは、美女揃いのネレイデスのなかでも随一の美女で、ゼウスも熱烈に求愛していた。が、あるときプロメテウス(あるいは法の女神テミスともいう)が、テティスの子は父よりも偉大になる運命にある、と予言する。
 過去を鑑み、将来を慮ったゼウスは、テティスとの愛の成就を断念。で、ヘラ神と懇意だったテティスが、自分の口説きに一向になびかなかった腹癒せもあって、彼女を、人間であるペレウスに与えることにしたわけ。

 が、当のテティスはペレウスとの結婚を望まなかった。女神にとって、人間の正妻となるのは屈辱であるらしい。
 で、白羽の矢が立ったペレウスは困り果て、ケイロンに知恵を授けてもらう。

 あるときペレウスは、テティスが海辺で休んでいる機会を窺って、彼女にギュッ! と抱きついた。
 ここはもちろん、女神は大得意の変身で逃れようとするだろう。が、見てくれ構わずに抑えつければ、やがてくたびれて折れてくるので、根気を持って抑えつけるのがよろしい。……これ、ケイロンからの助言。

 案の定、テティスは嫌がって抵抗し、獅子だの豹だの蛇だの魚だの、火だの水だの、やたらめたらに姿を変えた。が、ペレウスは動じない。彼女をしっかと放さず抱きしめる。
 とうとう彼女は、精根尽きて本来の姿に戻り、結婚を承諾する。

 To be continued...
 
 画像は、ルーベンス「アキレウスをステュクスに浸けるテティス」。
  ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640, Flemish)

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