性の商品化について

 
 以前、小学校の通学路に、18歳未満と女性はお断りの、アダルト本・ビデオの専門店ができた。げげっ、マジ? 
 相棒に訴えたところ、一言、「一般の書店やビデオ店に、そういうものが混ざって置かれるよりも、隔離される形で独立に置かれるほうが、社会環境としては進歩だと思うよ」という返事。
 日本は煙草と同様、性風俗商品について無規制で、子供が簡単に入手できる劣悪な環境にある。専門店は確かに、目障りだけれど進歩かも。
 
 性の商品化は、労働力の商品化(つまり賃労働)などよりも、はるか以前から行なわれてきた。歴史上、最古の職業は売春婦であるらしい。おそらく市場の生成とともに生じたのだろう。性欲は食欲同様、人間の最も根源的な欲求だから。
 とすると、市場に則った性の売買は、市場社会では不可避であるどころか、最も合理的なあり方だ、ということになる。
 
 性の売買についての賛否は分かれるが、相棒は「ダメ」と言う。……じゃ、合意の上での性の売買なら? 例えば、後進国の、実質上は人身売買のような児童売春はダメだが、先進国の、組合まである性労働のような、大人同士の、完全な自由意思による、完全な合意の上での売買なら?
 やはり相棒は、「ダメ」と言う。なぜ?
「愛がないから」
「性は、その人の人格と分かちがたく結びついているものだから」
「性を売れば、心まで売ることになるから」
 
 愛がなくても、完全な自由意思によるなら構わないようにも思える。が、そもそも完全な自由意思による、完全な合意のもとでの性の売買など成立するのだろうか。

 To be continued...

 画像は、トゥールーズ=ロートレック「ベッド」。
  アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
   (Henri de Toulouse-Lautrec, 1864-1901, French)


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