ギリシャ神話あれこれ:ペルセウスの冒険(続々々)

 
 このときメドゥサは、ポセイドンの子を身籠っていたのだという。その傷口から飛び散った血潮から、翼のある天馬ペガソスと、黄金の剣を持つクリュサオル(これ、どんな姿だか分からない)が生まれ出た。

 転げ落ちた首をすかさず皮袋のなかに収めるペルセウス。が、生々しい首の切り口から、シューシューという激しい音が洩れ出し、眠っていた他のゴルゴンを起こしてしまう。
 妹が首を切られて倒れているのを見たゴルゴンたちは、おのれ! 当然のごとく怒り狂って、下手人を捕らえて復讐すべく、空を旋回する。
 が、姿を消したペルセウスを見つけることはできない。彼はいち早く、飛行の靴で逃走に成功した(天馬ペガソスに乗って逃げたともいう)。

 さて、メドゥサの首を無事ゲットし、帰路を空翔けている途中、ヘスペリデスの園で、ペルセウスは双肩に世界を担ぐ巨神アトラスに出会う。
 天を支え続けることに疲れたアトラスに、自分を石にしてくれと頼まれたからだとも、あるいは、ヘスペリデスの園に降り立とうとしたところを、アトラスに妨害されて憤慨したからだともいうが、とにかくペルセウスは、アトラスに向かってメドゥサの首を突きつけて、アトラスを石に変えてしまった。
 
 石と化したアトラスは、アフリカ北西部に聳えるアトラス山脈となり、なお天を支え続けている。
 
 さらに飛行の帰途、エチオピアを通りかかったときのこと。ペルセウスは、荒れ狂う波の打つ岩上に、鎖につながれた美しい乙女を見つける(ちなみにエチオピア人は、世界の南の東西に住まう黒人種。アンドロメダは黒人のはず……?)。
 
 先立って、エチオピア王妃カシオペアは、常々、娘アンドロメダの稀に見る美貌に鼻高々だった。が、あるときとうとう、娘の器量自慢が度を越して、海のニンフ、ネレイデス(=ネレウスの娘たち)の誰一人として、アンドロメダの美しさには敵わない、と豪語した。

 To be continued...

 画像は、ルーベンス「メドゥサの首」。
  ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640, Flemish)

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