ラザロの蘇生

 
 「インターステラー」というSF映画のなかで、人類という種の保存を課題とした「ラザロ計画」が登場する。これは新約聖書の、神の奇跡によって復活した死者ラザロからのネーミング。ついでに、人類が移住可能な新しい惑星、約束の地カナンを目指すのも、聖書(「出エジプト」)のイメージ。
 欧米ものは、こういう含みは奥が深いなあ、と感じ入った。反面、すべての生物を一つがいずつ乗せた「ノアの方舟」とは異なり、人類だけが、自分が自業自得で滅ぼした地球を、他の一切の動植物の種をあっさり捨てて去っていく、というところが、いかにもアメリカ的だなあ、とげんなりもした。

 以下は、「ヨハネ福音書 第11章」からの備忘録。

 イエスがヨルダンに滞在していた頃のこと。イエスのもとに、「弟ラザロが病気です」との知らせが届く。
 それは、エルサレム郊外、ベタニアの村に住まうマルタとマリア姉妹からのものだった。イエスはかつて彼らの家を訪れたことがあり、彼らを愛していた。

 村に行こうとするイエスを、弟子たちは、ユダヤ人たちがまた石で殺そうとするだろう、と制する。
 が、イエスは答える。
「人は、昼に歩けば躓くことはない。光があるからだ。だが夜に歩けば躓く。光がないからだ。私は、友人ラザロを起こしに行く。ラザロは死んだが、私がそこに居合わせなかったことを、お前たちのために喜ぼう。お前たちが信じるようになるのだから」

 十二使徒の一人、デドモ(双子の意)と呼ばれるトマスが、他の弟子たちに言う。
「じゃ、我々も行って、先生と一緒に死のうじゃないか」

 To be continued...

 画像は、H.O.タナー「ラザロの復活」。
  ヘンリー・オサワ・タナー(Henry Ossawa Tanner, 1859-1937, American)

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Bear's Paw -聖書あれこれ-
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