レーゲンスブルクの天使と魔女(続々々々)

 
 ドイツ最古という有名な石橋を渡った先の旧市街は、石畳の小路が入り組むカラフルな街並みで、古い家々がそのまま上手く利用され、カフェやレストランやブティックなどのショップになっている。歩いて見て廻るには飽きない、申し分のない街なのだけれど……

「チマルさん、あんまりはしゃがないね」
 そうかな、そうだね。
「ちょっと街が大きすぎるもんね。観光客も多すぎるしね。一見、昔ながらの街だけど、全部、資本が入ってるから、まるでトリーアみたいだね。トリーアほど俗っぽくないけど、その分、ロックがうるさいからね。だからチマルさん、はしゃがないのかな」
 そうかもね。自分でもなぜだかよく分かんないよ。
「分かった! 家が木組みじゃないからだ。だから、はしゃがないんだよ!」
 そうだ!

 私は木組みの、こじんまりした街のほうが好きなんだな。

 けれども、小路を抜けて大聖堂の双子の尖塔が見えてくると、さすがに、おおッ! と感銘の溜息を洩らす。大聖堂前の広大な石畳の広場は、大勢の観光客が群れていても、まだ余裕を感じさせるほど広く、大聖堂の繊細な尖塔は、そこから首を真上近く上に向けても、まだ見えないほど高い。
「でけえなあ!」
「でけえ、でけえ!」
 天まで届けとばかりに聳え立つ大聖堂の尖塔を見上げて、東洋人二人、おのぼりさんよろしくキャアキャア言いながら、例によって石壁にタッチしながら大聖堂を一周した。

 でもまあ、歩き疲れたし、大聖堂も見たし、ロックはうるさいしで、旧市街の観光客たちが、まだ宵の口だとばかりにカフェやレストランでビールを飲んでいるのを尻目に、宿へと戻ることにする。
 ロックがまだまだ鳴り響くなか、ドナウ川沿いにユースへの道を行く。ユースは旧市街から少し離れているので、しばらく歩くと行き交う人はまばらとなる。

 To be continued...

 画像は、レーゲンスブルク、小路から覗いた大聖堂。

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