高原の牧場

 
 翌日、松本からバスで美ヶ原へ。長いことバスに乗るのは苦手なので、強いて眠ったが、たまに眼を開けると窓外は、白樺林の木の間に、真っ白い霧が濃く濃く立ち籠める、ミステリアスな光景。
 
 バスを降りても、やはり霧が一面に満ちていて、ほとんど何も見通せない。
「高原の山小屋に泊まるから、一日じゅう、好きに過ごせばいいよ。霧も、そのうち晴れるかも知れないし」
 
 どんなところにも必ず立ち寄るのが常の相棒、とりあえず、眼の前の自然保護センターへと入る。
 で、「2006番の牛を探せ」という懸賞チラシに、眼をピカリと光らせる。牧場にいる牛のなかから、2006番の番号札を付けた牛の写真を撮って送ると、抽選で高原ゆかりの賞品が当たる、というもの。
「こりゃあ、絶対に見つけないといけないねえ」と、やる気満々の相棒。
 ……400頭の牛が、しかもだだっ広い牧場に放牧されてんのに、見つかるか、普通? 望遠カメラだって持ってないし。

 今夜泊まる山小屋とやらに向けて、霧のなかをてくてく歩く。一面の野草と針葉樹が、流れる霧に覆われて、まるでフリードリヒの絵のような風景。またもや、私は仙人の気分。
 風に震える、小さくて可憐な野草たちは、白馬で見たものもあるし、ここで初めて見るものもある。
 
 じき、美ヶ原山頂、王ヶ頭に到着。360度のパノラマを展望できるらしいけれど、霧で何も見えない。
 ここにもキレイなホテルがある。が、相棒、「こんなブルジョア・ホテルには泊まれないよ」と一言。
 うん、いいの。私、山小屋で十分。

 ところで連日、木やら山やら花やらを撮りすぎて、デジタルカメラのメモリーカードが容量オーバー。旅の失敗その四。これからは、予備のメモリーカードを持っていくこと。

 To be continued...

 画像は、美ヶ原、牧場の牛。

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