ザールの珠玉の田舎町(続々々々々)

 
 ザール川沿いに車を進め、次に到着したのはザール川の閘門(lock)。ハンスさんがしきりにロック、ロックと言うので、ローレライの岩のような、何かの岩(rock)のことかと思っていたら、水運として利用されているザール川を航行する船のために、水位を上下させる水門のことだった。
 ちょうど船が来る頃にそこに到着。ハンスさん、閘門の運用を説明してくれてから、
「もしあなたがたが船が通るのを見てみたいなら、待っても構わないが」と言う。

 何についても好奇心の衰えない相棒、即座に「待ちます!」
「OK! OK!」とハンスさんは大喜び。

 下流からやって来た船は上流側、下流側の二つの水門に仕切られた箇所に止まる。下流側の門が閉まると、そこに水が流れ入る。上流と同じ水位まで水が満たされると、上流側の門が開いて、船は上流へと進んでいく。船が上流から下流に行く場合は、これとは逆のプロセスで水を抜く。こうやって水面を上下させて、エレベーターのように船を昇降させる。……単純だけれど、よくできたシステム。
「面白い!」
「こんなの、日本にはないしね!」
 酔狂に眺め続ける東洋人二人の様子を見て、ハンスさんも大喜び。
 晴れてはいたが、寒い風の吹くなか、30分ほどその橋に立ち尽くして、船がゆっくりと水門を通過する一部始終を眺めていた。

 船が閘門を通過する、この長い待ち時間のあいだに、ハンスさんが日本滞在の頃のことをいろいろと喋る。
「あなたはプロフェッサー?」と相棒が尋ねると、
「ノーノー、私は“考える人(thinker)”です」
 どうやら彼は、自動車企業の国際戦略を練る思索家(thinker)で、ロータリー・クラブのメンバーとして世界中を飛び回っているらしいのだ。

 To be continued...

 画像は、ザール川の閘門。

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