ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-トリナキエ島

 
 生き残った一行はやがて、太陽神ヘリオスの家畜が放たれているトリナキエ島にたどり着く。

 久しぶりの島影に、歓喜する一同。が、予言者テイレシアスの霊や魔女キルケに、くれぐれもこの島を避けるよう揃って警告されていたオデュッセウスは、上陸しない旨を部下たちに告げる。
 途端にがっくりとなる一同。代表格のエウリュロコスが憎々しげに口答えする。我々はみんな疲れ切ってるんだ。あんたのように不死身の肉体も不屈の精神も持っちゃいない。せめて一晩、動かぬ大地の上で、美味い食事と安眠を与えてくれる気にはならないのか?

 エウリュロコスに賛成する一同を前に、オデュッセウスも諦める。やむをえん、ただし、この島の牛や羊は皆ヘリオス神のものだから、絶対に手を出すな、と固く誓わせる。
 こうして一行は上陸し、温かい食事を取って、静かな大地の上で眠りに就く。が……
 
 夜更けには嵐となり、朝になっても治まらない。やむなくオデュッセウスは、船を近くの洞窟に引き入れさせ、凪を待つことにして、再度部下たちに念を押す。幸い、食料はまだたっぷり残っているので、絶対に神の家畜には手を出すな、と。

 To be continued...

 画像は、フュースリ「スキュラとカリュブディスの前に立つオデュッセウス」。
  ヨハン・ハインリヒ・フュースリ(John Henry Fuseli, 1741-1825, Swiss)

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