油との相性

 
 油絵を始めるど素人初心者に対するお決まりの助言に、「クサいですよ」というのがある。このクサいニオイのモトは、油絵具を溶くオイル。
 もちろんこれは絵描きの好みの問題で、このニオイを嗅ぐと俄然描く気になる、という話も、どうもニオイが苦手なので花の香り付きとやらのオイルを使ったら余計にクサくて辟易した、という話も、聞いたことがある。

 で、私はと言えば、オイルのニオイ自体に関しては、「ま、こんなもんか」という感じだった。懐かしい、高校の美術室のニオイ。特に好きというわけでも、嫌いというわけでもない。それにオイルに向かって、そのニオイにぶつくさ言っても仕方ないし。
 ただ、揮発性のオイルは中毒の危険性があるので、換気には十分気をつけなくちゃいけない。前もってそう聞いていたし、私自身、空気の澱みというのがかなり苦手なほうなので、油絵を描くときには、部屋の換気をしまくりながら描いていた。油壺の蓋も、絵具を溶くとき以外は、いちいち閉めていた。で、換気万全、安心しきっていた。

 さて、ある晩のこと、ベッドに横になって本を読んでいたら、突然、あっという間に、喉が痛くなり、息が苦しくなった。
 こっ、こっ、これはっ……!!

 To be continued...

 画像は、ブーシェ「アトリエの画家」。
  フランソワ・ブーシェ(Francois Boucher, 1703-1770, French)

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