ANTI-新P舎

それがぼくには目障りだったから ©[L.Torvalds (et) S.Fujiwara] by 資

「著者」様、江川様――「私が出版したのは、もちろん後者の形態〔「通常の商業出版」〕である」

2008-01-30 | 当事者
20080124
Egawa Shoko Journal: 受難の時代に
http://www.egawashoko.com/c011/000243.html

 今考えるに、新風舎の失敗の最大の原因は、現実の課題より、経営者の”夢”とか”思い入れ”、趣味や願望が優先されてしまったことではないか、という気がする。
 元々詩人である松崎義行社長は、自分の思うような本を出したいという夢もあって出版社を設立した、と聞いた。すべての「表現者」は平等であり、尊重されるべきだ、と松崎氏は語っていた。理念としては私も共感する。しかし現実には、同社の出版は二つの形態があった。一つは、本を出したい人がお金を出す自費出版。もう一つは、筆者に印税を払う、通常の商業出版だ。私が出版したのは、もちろん後者の形態である。ところが同社の目録では、どちらの形で出された本も同じように扱われており、「著者」としてはプロの書き手も初めて本を自費出版する人も混在する形で名前が並んでいた。
 私が同社に申し入れた事柄の中で、受け入れられなかったことの一つは、出版形態の異なる書籍はきちんと区別することだった。


 自費出版をする人は、「思いを本という形にする」「もしかして私も作家デビュー?!」など様々な夢を抱いて、依頼をしてくるのだろう。多くの自費出版本は書店などでは売れないのが現実でも、時たまヒットして、皇室に愛読されたり、マスコミに取り上げられたりするものも、ないわけではない。「次は私が……」と大きな夢を持つ人もいるだろう。新風舎の自費出版は、流通ルートに乗せる可能性を持っているという点で、そうした諸々の夢を売る仕事、あるいは夢を本に託す人を相手にしたサービス業と言えた。だからこそ、会社側は相手を商業出版の「著者」とは分けて、むしろ「お客様」と心得て対応しなければならない、というのが私の主張だった。今の出版や書店業界の厳しさも、業界の外にいる「お客様」だからこそ、分かりやすくお伝えして分かっていただく必要があるのではないか、と。
 「お客様」には、出版にかかる実費に加えて、社員の人件費や事務所費、それに会社の利益を上乗せしたものを払っていただくことになる。これは、いわば夢を買う代金だ。夢の実現に向けたお手伝いをするサービス料金といってもいいかもしれない。ところが同社は、「著者」と出版社が「共同」して本を出すための「編集費」と説明していた。それが、編集に関わる実費のことだという誤解を受け、実費以上の金額を支払わされた、明細が不明朗であるといったクレームも招いた。
 にもかかわらず、こうした点が変わらなかったのは、「表現者」を平等に扱いたい、という松崎社長の理念、あるいは思い入れゆえだろう。けれども、現実に出版形態が異なり、実際に苦情が来ている以上、作品に対しては平等の敬意を払いつつも、現実に合わせた対応が必要だったのではないだろうか。


久々の「Journal」の更新が、「新風舎について」――20070210資による江川紹子氏宛ての送信文面を掲載した直後だったので、危うく自意識過剰に陥るところだった。

「区別」をしないからこそ、江川氏の書目を(お金は惜しいけれども)再刊したのだ。「区別」して仕舞ったら被害者は錯誤し難いではないか。内容は兎も角、売れないと判断された――絶版書目の再刊という餌に喰らいついて、詐欺行為に間接的に加担した意識が本当に欠片もないのか、この御仁は。

私は問題点を認識(?)して指摘をしたけれども聞き入れられなかった。私は悪くない。騙されたと感じる人は迂闊だった。(本来は自費出版ですらないが――)「自費出版をする人(「お客様」)」と(商業出版の「著者」様である)ジャーナリストの私の本を一緒くたにされて迷惑だった(ほら被害者だ)。

「にもかかわらず、こうした点が変わらなかったのは、「表現者」を平等に扱いたい、という松崎社長の理念、あるいは思い入れゆえだろう」――開いた口が塞がらないとはこの事だ。この人は頭が○○しいのではないか(「この本を出版して良い、悪いと出版社が判断していいのでしょうか(読売新聞)」とのたまう位だから(参照))。

ご自分が被害者である一方の側面には薄々気のついて居られる様だが、「耳をよくそばだて、心を柔らかくして」、間接的「加害者」のお立場も認識される様、心配して居る。最早気のつかないほうがご本人には幸せやも知れぬ、このまま妄想とお花畑で戯れて居られれば。

参考:
20060126
江川紹子の功罪 - 新風舎の賛否両論 - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/whistlemotohn/13912161.html

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