ナチュラルキャピタリストのブログ

地球環境問題を切り口にした諸問題解決をライフワークとしている筆者が、独自な視点で語ります。

「メタボグリッド」は止めろ!~まず既存の電力網(グリッド)のメタボ解消から~

2010-05-20 08:57:34 | 日記

筆者が、現状のスマートグリッドを皮肉って、twitter上で、やたらつぶやいている「メタボグリッド」という造語ですが、一体何が問題なのか?という問い合わせがありましたので、どなたでもお分かりになるように、解説してみたいと思います。

まずは以下のURLをご覧下さい。
http://kagakukan.toshiba.co.jp/manabu/sci_tech/kaitai/circulation_j.html
これは東芝の子供向けのサイトです。まず、これを読んでいただいて、既存の電力網(グリッド)の概要を理解して下さい。尚、東芝なので肯定的に書いてありますが、筆者に言わせればこの既存の電力網(グリッド)自体に問題があるのです。

一番上の図「電力流通ネットワーク~発電所から電力需要地へ~」を見ると、何段階も電圧が降圧されて需要家へ届いているのが分かります。イメージとしてはこれで十分ですが、かなり簡略化されているので、詳しく知りたい方のためにプロセスを以下の通り解説します。

1.大規模発電所、例えば東京電力の柏崎刈羽原子力発電所での発電機の電圧は1万9千Vですが、これを長距離送電のため、50万Vまで昇圧します。上記の図には出てきませんが一旦昇圧するということを覚えて下さい。なぜ昇圧するのかというと、高い鉄塔の送電線で長距離送電するためです。
2.新潟県のHPを見ると詳しいですが、http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/kk-poweline.html 西群馬開閉所まで99km~111kmを50万Vで超超高圧送電を行います。
3.超超高圧を特別高圧(15.4万V)に変換します。。
4.特別高圧(15.4万V)から2段階の変圧、つまり高圧、低圧に降圧してそれぞれの区間で送電してやっと家庭で使う100Vに電圧を下げるのです。

金属電線には電気抵抗があるので、送電時に一部の電力は熱として失われます。当然ですが、送電距離が長ければ長いほど電力が失われます。また変圧機による昇圧、降圧時にもロスが発生します。

この一連のプロセスで、送配電ロス率は日本全国、4%と考えられますが、これを世帯数に置き換えて計算すれば、なんと年間1260万世帯分の電気が捨てられていることになります。

バカバカしいと思いませんか?

もっと簡単に説明しましょう。長距離送電自体をメタボリック症候群と診断された人(太っている人は体を流れる血流の距離が長いですよね。)、電圧を血圧、変圧機を昇圧剤・降圧剤、電力会社を悪徳医師に例えます。すると、こういうことになります。

「悪徳医師がメタボな人に朝に昇圧剤を与えて血圧を思いっきり上げて、昼・3時のおやつ時・夜の3回わたり降圧剤を与えて血圧を下げる」

とんでもないことなのです。

つまり既存の電力網(グリッド)は超メタボなんです。なので筆者は、twitterでやたら「メタボグリッド」とつぶやいているのです。

こんなメタボな電力網(グリッド)にIT、スマートメーター、Renewable energy(太陽光等)、EVを付加してもメタボはメタボでスマートグリッドになる訳がないのです。「メタボグリッド」のままなのです。儲かるのは電力会社・業者(悪徳医師等)だけです。

さらに、このスマートグリッドもどきの「メタボグリッド」構想が実用化されると、原子力発電所の地位がさらに盤石なものとなってしまいます。原発反対運動に携わる方々は、原発と併せ現状進んでいるスマートグリッド、つまり「メタボグリッド」も併せて反対して欲しいのです。

電気は「地産地消」で、つまり発電した周辺の場所だけで、極力、昇圧・降圧させず、低圧のままで使うシステムを作ることが今後の大きな課題で、そのためには、お上や電力会社任せではなく、一般市民が主体性を発揮することが重要なのです。


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