ナチュラルキャピタリストのブログ

地球環境問題を切り口にした諸問題解決をライフワークとしている筆者が、独自な視点で語ります。

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欧州は環境先進国? ― 地球環境分野における過度の欧州崇拝は止めよう!(その2)

2012-07-08 08:18:35 | 日記

前回に引き続き、地球環境分野における欧州崇拝の問題点について述べたい。

ところで話は変わるが、民主党を離党した小沢一郎氏が7月8日のNHK日曜討論に出演し、脱原発を明言したという情報を入手した。小沢氏とともに離党した三宅雪子氏はツイッターで次のようにつぶやいている。

https://twitter.com/miyake_yukiko35/status/221768210540789760

(引用開始)

再送) 小沢代表、日曜討論出演中。原発について。脱原発を明確に宣言。ドイツの例を出しながら10、15年を念頭に将来的にはゼロにするということ。

(引用終わり)

小沢氏としては、やっと明確に脱原発を宣言したのだが、筆者の感想は「菅直人と大して変わらないじゃないか?」。そして特に「またドイツかよ!」というのが本音である。我が国の政治家は、明治維新以来、我が国独自の政策を出さず、地勢も気象も文化も国民性も違う欧米の事例を元に政策を考える癖から抜けだすことができないようだ。

さて、前回は欧州諸国に「環境先進国」などあり得ない、という事実をEcological Footprint という指標を使い解説したが、今回は欧州社会の思想的な観点から地球環境分野への考え方にメスを入れるとともに、欧州等、海外の情報発信が実は非常に偏向的だという事実も指摘したい。


【キリスト教と地球環境】

まず、次の絵を見ていただきたい。

 

有名なジョットの絵「小鳥への説教」である。イタリアのアッシジにある世界遺産、聖フランチェスコ教会に描かれている壁画であり、聖フランチェスコが小鳥へ説教を始めたところ、小鳥たちがその説教を聞き始めたという伝説を絵にしたものである。この絵はイタリアのエコロジーの原点と呼ばれている。筆者も現地でこの絵を見ており、非常に感銘を受けたのだが、この絵の題の「説教」という言葉は嫌いであり、勝手に「小鳥との対話」と呼んでいる。

地球環境を考える上で重要なのは、

生態系>人間社会(経済を含む)

であるのだが、キリスト教の教義では「自然は人間によって支配される対象」であり、両者は完全に矛盾する。

「説教」という言葉は、所謂上から目線の言葉であり、生態系<人間社会ではないのか?という疑問を常に持ちながら、この絵を見ている。もっとも現地でイタリア人とこのことを議論したのだが、そのイタリア人曰く「バチカンの枢機卿なら別だが、ほとんどのイタリア人はそんなこと深く考えていないよ」と言われた。さすが(いい意味で)いい加減なイタリア人である。

スウェーデンも、キリスト教の教義と学問は切り離して考える傾向にあり、私がスウェーデンのルンド大学のHuman Ecology専攻の教授にインタビューした時も、「キリスト教とは関係なく、自然に対して傲慢であってはいけない」と言われた。

しかしながら欧州の環境政策には、やはりキリスト教の影響は否めない。例えばドイツだが、基本法第20条a項に

「国は未来の世代に対する責任という面においても生活基盤としての自然を保護するものとする」

とある。この条文をもって、我が国の専門家はドイツを「環境先進国」としているのだが、筆者は納得できない。やはりこれは「自然は人間によって支配される対象」というキリスト教の教義に影響された、生態系に対する人間の上から目線ではないのか?人間こそ自然によって保護されるべきではないのか?という疑問を筆者は常に感じている。少なくともキリスト教国家ではない我が国が、このドイツの法理念を真似るべきではないと強く感じる。


【実は偏向的な欧州発の情報発信】

地球環境分野における偏向的な欧州発の情報発信はかなり多い。私は数カ月に渡り欧州を視察したことがあるが、現地に行くと日本で収集した情報とは違うことが結構あった。特に日本人の欧州通や在留邦人に偏向的な情報発信の傾向が強い。あらかじめお断りしておくが、全ての方々とは彼らの名誉のためにも言わない。勿論、真面目に欧州の悪いところも含め、フェアな情報発信をされる方々もいる。

欧州通の日本人、在留邦人が、地球環境分野において偏向的な情報発信に行う原因は次の3点が考えられる。

1.あらかじめ、欧州に対する憧憬と劣等感を持っている。

2.疑うことから始めない。もっとも欧州の人々は常に疑うことから始めるというクリティカルシンキングの癖がついているのだが、日本人は信じることから始めてしまう。

3.これが一番悪質なのだが、欧州を看板に地球環境分野でビジネスをしている者はドイツやスウェーデン、デンマークが「地上の楽園」で、我が国は「遅れている」というストーリでなければ困る。

例を挙げよう。

巷ではドイツは脱原発国家と言われている。専門家でも飯田哲也氏などは「メルケル首相は福島第一原発事故の後、すぐに7基の原発の暫定停止を政治決断した」という旨の発言しているが、しかし、実際にドイツの脱原発政策の歴史を調べてみると次のようになる。

2002年 原子力法改正、脱原発決定。脱原発期限は2021年~23年。当時はシュレーダー政権(社会民主党(SPD)と緑の党他の連立政権)。

2005年 メルケル政権誕生(キリスト教民主同盟(CDU)、キリスト教社会同盟(CSU)、SPDの大連立)。「原子力法には触れない」という3党間合意。

2009年 9月 総選挙でメルケル保保連合(CDU、CSU)勝利。脱原発路線を主導してきたSPDが政権離脱。

2010年 12月 原子力法改正。脱原発期間を2035年に延長。

2011年 3月 福島第一原発事故。その後ドイツは国内原発17基のうちの7基を暫定停止。脱原発期限をわずか数カ月で2021年~23年に戻す。

福島第一原発事故後のドイツの早急な対応は評価できるが、注目するべきは2009年から2011年までの脱原発期限をめぐる迷走ぶりである。一体、2021年なり2035年の脱原発期限にどういう根拠があるのだろうか?根拠などない。単なる政治的な思惑に過ぎないのであり、今後の政局次第でどう変わるか分からないのである。

特に脱原発期限の迷走ぶりを飯田哲也氏が発信したのを私は聞いたことがない。こういう偏向的な情報発信がきっかけになり、ドイツ=環境先進国というイメージだけが先行し、このブログの冒頭に例を挙げた小沢一郎氏の発言につながったとすれば、これは非常に残念なことである。

私は何年も欧州に滞在していたわけではない。しかし全ては調べれば、誰にでも分かることなのである。脱原発を確実に行い、持続可能なシステムを構築していくためにも、主体的に情報を収集し、リテラシーをつけていくことが大切である(自戒も込めて言う)。

特に地震国であり、事故当時国でもある我が国は世界に率先して脱原発を進める(要はこれ以上再稼働をしない。)べきであり、ドイツの原子力政策、もっと言えば環境政策をそのまま精査もしないで真似てはいけないのである。


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欧州は環境先進国? ― 地球環境分野における過度の欧州崇拝は止めよう!(その1)

2012-07-07 08:20:56 | 日記

筆者は欧州に憧憬を持っている。旅行先としても大好きである。筆者と同じように多くの日本人が憧憬を持っていて併せて劣等感も持っている。それは無理もない。明治維新以来、我が国は欧州諸国から様々な分野で科学技術等を導入してきた歴史がある。さらに1894年に治外法権が撤廃され、1911年に関税自主権が撤廃されるまで、我が国は欧州諸国とは不平等条約を結ばされていたのだ。

近年では欧州諸国(特にスウェーデン、ドイツ)等が「環境先進国」ともてはやされ、欧州通の地球環境分野に携わる有識者から在留邦人まで、それを喧伝する。例えば、飯田哲也氏はツイッターでこうつぶやいていて、軽く100以上のRTがついている。

https://twitter.com/iidatetsunari/status/150788277530660864

(引用開始)

(引用終了)

このツイートの問題点なのだが、

1.「欧州」と一括りにして「常識」と論ずるのは如何なものか?原発が(動いてい)ないイタリアやオーストリアは異端なのであろうか?

2.スイスは脱原発に30年必要と言っているが、地勢や国民性も違い、地震国である我が国に「欧州の常識と現実」をそのまま持ち込んでよいのか?

3.そもそも欧州は環境先進国なのか?

今回のブログでは、2回に渡り、上記3の「そもそも欧州は環境先進国なのか?」について検証したい。

結論から言えば、大量生産、大量消費が行われている欧州の先進国が「環境先進国」である訳がないということなど、少し考えれば誰でも分かることなのだが、前述した日本人の欧州への憧憬と劣等感が我々を思考停止状態に陥らせているのである。かく言う筆者もかつては地球環境分野において「欧州は素晴らしい!」「地上の楽園だ!」と思い込んでいた。

【Ecological Footprint】

それを一変させたのは、Ecological Footprint(EF)という指標である。簡単に説明すれば次の通りである。

1.例えば全世界が日本並みの生活をすれば、地球が5.94個分必要ということ。

2.単位はgha(グローバルヘクタール)であらわす。

3.厳密に言えば自然の再生力があるので、人類は地球1.8個分の生活をすれば良い。日本の場合、5.94÷1.8=3.3 で、日本は3.3倍の生活をしているということになる。

さて各国のEFを見てみよう。

Ecological Footprint of top 25 countries

(出所:gogreenのHPより抜粋 http://www.go-green.ae/footprint/countries.php )

スウェーデンは7.53gha、スイスは6.63gha、ドイツは6.31ghaであり、日本より(環境負荷が)高いのである。日本の5.94ghaも決して誇れる数字ではないが、これを見ると欧州諸国が「環境先進国」であるという幻想は見事に打ち砕かれるのである。

もっと詳しく知りたい方はWWFが出している「生きている地球レポート2012年版」を読むことを勧める。

http://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/WWF_LPRsm_2012j.pdf

ところで、読者諸氏の方々の中には「先進国の日本で、いくらなんでも地球1.8個分の生活などできるわけがない」と仰る方がいると思う。しかし、理解することはできる。全ての日本人が理解をし、一部でも生活に取り入れる努力をすれば、例えば原子力発電所など、すぐ停まると確信する。


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メタボグリッドの治療法と原発の無力化

2012-07-05 20:38:26 | 日記

ツイッターで山本太郎氏に「先生、先生」と煽てあげられ、すぐに乗ってしまう筆者は、またブログを再開することとなった。

さて、2年前に私が作った造語である「メタボグリッド」だが、もう一回こちらを読んで欲しい。

http://blog.goo.ne.jp/casadelamusica/e/c24a4f65a3e5b4b9c411031c1e1972c6

我が国における所謂スマートグリッド構想が既存の原発を長距離高圧送電網ありきで構築されているため、全くスマートとは言えず、「メタボグリッド」になってしまっていることを書かせていただいた。もう一回復習すると現状の送電の仕組みは次のようなイメージになる。

Smartgrid3

(出典:東北北関東大震災で注目を集める「スマートグリッド」とは?http://blogs.itmedia.co.jp/assioma/2011/03/post-856e.html  から抜粋)

この既存の電力網の問題点だが、

1.原発をはじめとした大規模集中電源ありきの送電網なので、当然原発の盤石化に貢献している(逆に失くせば原発は無力化する)。

2.送電ロスを迎えるため高圧で送電するが、それでも長距離送電することにより、送配電ロス4%として1260万世帯分の電気を捨ててしまう。

3.実は安定供給にも問題がある。(超)高圧変電所等が地震等でやられると大停電が発生する。2011年4月の震災の余震による広域停電の原因と思われる。

以上を頭に入れておきたい。

 

さて、スマートグリッドだが各社のコンセプトを見てみると、

1.東芝

スマートグリッドの図

 (出典:東芝のHPより http://www.toshiba.co.jp/env/jp/energy/distribution_j.htm

 

2.日立

[画像] スマートグリッド概要図

(出典:日立のHPより http://www.hitachi.co.jp/environment/showcase/solution/energy/smartgrid.html

 

注目してもらいたいのは東芝、日立両者とも絵の中にしっかりと原子力発電所が存在することである。見事に原発と再生可能エネルギーが同じ基幹送電網上に共存してしまっているのだ。

つまり、現状のスマートグリッド構想とは既存の大規模集中電力、長距離送電ありきで送電ロスを発生させ、原発と再生可能エネルギーを共存させるスマートなどとは程遠い「メタボグリッド」なのである。

さらに両社とも再生可能エネルギーが出てくるが、想定しているのがメガソーラーや洋上風力であろう。これらは業者にとっては小規模の電源をちまちまと販売するのと比べれば、非常においしいビジネスなのである。特にメガソーラーは7月から施行される再生可能エネルギーの固定価格買取制度において、kW=42円という高値買取の波に乗り一時的に爆発的に普及することが見こまれているが、これも再生可能エネルギーの中では大規模であるメガソーラーを長距離高圧送電するということなのである。

しかも不安定なメガソーラーを基幹送電網に逆潮流するので系統に混乱をもたらすことになる。「系統の混乱」とは誰にでも分りやすく例えるとすれば、不整脈である。従って既存発電所のバックアップが必要となり、火力発電は勿論だが、場合によっては原子力発電所もバックアップのために必要であるというとんでもないことになりかねないのである。

筆者が危惧するのはこのことである。全てが電力会社ありきのシステムなのである。

 

さて、この「メタボグリッド」の治療法であるが、既存の送電網の発想を変えることと自家発の導入である。

送電網の発想の転換だが興味深い事例があるので紹介する。次の絵を是非見て欲しい。

(出典:VPEC株式会社HP http://www.vpec.co.jp/eco.html より抜粋)

最大の特徴は送電網を「基幹系」と「ローカル系」に分けていることである。ローカル系において小規模の電力クラスターを構築し、再生可能エネルギーで自給自足しようというコンセプトであり、大規模集中電源、長距離送電網ありきの基幹系電網に非常時以外は依存しないということであり、言い方を変えれば、「主体性を持った脱原発」なのである。

さらに再生可能エネルギーを基幹送電網に逆潮流もしないということにも注目して欲しい。従って基幹系送電網の系統の負荷も低減できる。分りやすく例えれば不整脈にならないのである。

このローカル系の送電網を我が国でより安定的に運用するために筆者が勧めるのは中山間地域における小水力発電を中心とした電力クラスターの構築である。小水力発電は安定電源であり、急峻な我が国の地勢に非常に適している。

次に自家発の導入だが、7月4日の「環境ビジネス」に興味深い記事が出たので是非見て欲しい。

「トヨタ、自家発8基を新設、新開発の見える化システムを全工場に導入」 http://www.kankyo-business.jp/news/002721.php

(引用開始)

トヨタ自動車は、今夏の節電に向けた新たな取り組みとして、供給能力拡大のため、最新の高効率コジェネレーションガスエンジン発電機を8基新設するとともに、全工場に新たに開発したエネルギーマネージメントシステムを導入すると発表した。これらにより、今夏、中部電力管内企業に求められている節電目標5%(2010年の夏季買電ピーク電力比)を確実に達成する。

(引用終わり)

原発推進を強力に推し進めている経団連企業の中核であるトヨタが電力会社の基幹送電網依存から脱する動きをしたことは注目に値する。さらにトヨタのことであるから、おそらく自家発だけでなく、今後さらにPPS事業に参入していくことも十分考えられる。このトヨタの動きに他の企業も追随していくだろう。

大飯原発は残念ながら再稼働してしまったが、脱原発の動きは着実に進んでいるということが言えよう。


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【福島第一原子力発電所事故】我が国の電力システムのパラダイム転換を行え!

2011-03-18 09:20:37 | 日記

東北関東大震災の発生、さらに東京電力福島第一原子力発電所で深刻な事故が発生している。まずは地震、津波で、さらに福島第一原発事故により、避難所生活を余議なくされている東北地方を中心として被災者の皆様に、この場を借りて心よりお見舞いの言葉を申し上げたい。また救出活動にあたっている地元消防団、自衛隊、海外からの救援隊、さらに福島第一原発事故対応で健康被害の可能性があるにもかかわらず命がけで対応されている、東京電力、協力会社の現場社員、警察、自衛隊等にの皆様にも敬意を表したい。

さて、福島第一原発事故により、我が国だけでなく全世界の電力システムのあり方、地球温暖化等地球環境問題の考え方が今後劇的に変わると、筆者は考えている。今回は、この機に電力システムの「あるべき姿」というものを考えてみたい。

1.福島第一原子力発電所の対応について

今回のブログの本題ではないが、まずこのことを書かざるを得ない。まず地震は天災であるが、原発は人災であるということを認識しなければならない。人災と言っても二つに分類することができる。一つ目は重大な事故が起こったということ自体、人災である。さらに二つ目は、現在はこちらがより重要なことだが、適切な処置そして情報開示が行われないことにより被害が拡大することも人災である。非常時の処置に関しては、冷却システムが動作しないのであれば躊躇なく海水を注入するべきであったが、これは筆者の想像ではあるが、廃炉になるのを躊躇したのか決断が遅れた。このことはチェルノブイリ原発事故に関与したロシアの技術者も指摘していることである。また周辺住民への避難指示の対象地域が2km,3km,10km,20kmと小出しにされたことも問題があると言わざるを得ない。つまり現状、政府・東電の対応は完全に後手後手なのである。さらに政府・保安院・東電による情報開示も十分とは言えない。このことは海外のメディアからも指摘されている。例えば、被災後の空中写真(非常用ディーゼル発電機の燃料タンクが跡形もなく流されているのが分かる。)が公開されたのはつい数日のことである。さらに3号機は危険なプルサーマルであるということを何故か記者クラブメディアは伝えない。何と言っても事故の本質とも言える圧力容器、格納容器のダメージの度合いに関しては、一体何が起こっているのかよく分らない。当局も分からないなら、分からないとはっきり言うべきである。とにかく情報開示に関しては、これ以上被害を出さないように包み隠さず行って欲しい。さらに今回の事故は国内だけでなく全世界が注目している。不誠実な対応、情報の隠蔽は我が国の信用問題にも関わる。株価や為替相場にも如実に影響する。この事故を機に膿を出し切るべきである。

2.今後の原子力政策について

とりあえず即刻全国の原発を停め、安全な解体技術を早急に確立し廃炉とするべきである。この福島第一の事故により原発の恐ろしさが身にしみて分かったと思う。さらに事故の深刻さの度合いによっては時間が経つにつれてさらに恐ろしい事実が明らかにされるであろう。この後に及んで「原発は必要」とか「津波によく耐えた」などと妄言を吐いている人間は、もはや国賊のレベルである。原発利権に巣食う政官学財電から構成される「悪徳電力ペンタゴン」の実体は徹底的に糾明されなければならない。

3.当面の電力供給の問題

我が国の電力供給は、たとえ原発が全停止しても、現在フル稼働していない水力や火力の稼働率を上げれば対応できることは複数の専門家が言及している。さらに全国民に徹底的な節電を呼び掛ければ対応は可能であると考える。節電に関しては、世界中から称賛されている我が国民の民度の高さをもってすれば乗り切れると考える。

4.地球温暖化に関する考え方

地球温暖化に関しては、昨年の12月19日のブログで、①6種類の温室効果ガスによるもの、②排出される回収困難(エントロピー)な熱によるもの、と書いた。

http://blog.goo.ne.jp/casadelamusica/e/4721bd52751aad7e6ca383c3f179d6ab

しかしながら、地球温暖化防止においては、なぜか二酸化炭素(CO2)削減だけがクローズアップされ、「低炭素社会」などというよく分らない言葉が一人歩きしている。このことが「発電時にCO2を出さない原子力発電所」というとんでもないキャッチフレーズ(原発は実は解体も含めた発電時以外のプロセスでは莫大なCO2を排出する。)とともに、原発推進に対しての追い風になっていたことは否定できない。今回の福島第一原発事故を契機にこの風潮は変わらざるを得ないであろう。本質は節電により温暖化ガスだけでなく、熱そのものを出さないということである。火力発電は当然CO2を排出するが、「火力はダメで原発はいい」などという単純な話ではない。今回の事故で、地球温暖化対策に関する、もっと本質的な議論が今年南アフリカで開催されるCOP17で行われることを願いたい。

5.電力システムの見直し

筆者は我が国の電力システム、特に大規模集中型発電、長距離送電に関し、「メタボグリッド」と命名し、その問題点を昨年5月20日付けのブログにおいて指摘した。

http://blog.goo.ne.jp/casadelamusica/e/c24a4f65a3e5b4b9c411031c1e1972c6

twitterにおいても再三その問題点を発信し続けていたが、今回の震災にで、やはりその弊害が出てしまった。被害が甚大な地域だけでなく、軽微な地域においても停電が相次ぎ、首都圏でも東京電力による計画?停電が行われている。地域システムの自給が進んでいれば震災の被害が軽微な地域が巻き込まれることはない。どのような電力システムが望ましいかに関しては、次のように興味深い構想があるので紹介する。

http://www.vpec.co.jp/eco.html

上記URLのコンセプト図の下部のような既存のグリッドから独立した極力低圧の小さなグリッドを構築し、Renewable Energyで地域電力を自給しようという考え方であり、既存のナショナルグリッドには一切、逆潮流は行わず、非常時のバックアップのみにするということである。このような地域電力システムを今後増やしていくべきである。尚、逆潮流しないことが地域電力の自給であると定義すれば、現在、山口県の祝島で計画されている、「祝島100%自然エネルギー自給プロジェクト」は、海底ケーブルに系統連系し、太陽光等の不安定電源分についてはナショナルグリッドからバックアップを受け、売電で相殺しようという考え方なので、私は、このプロジェクトを地域電力の自給とは定義しない。そうなると、固定価格買い取り制度も否定される。電力は発電した周辺の場所で使い切ることが原則なのである。

6.ITを過信しないこと

オバマが大統領になってから米国発の「スマートグリッド」という構想が出てきている。筆者は前述の通り、メタボな既存のナショナルグリッドありきの構想には賛成できない。さらにITによる双方向の通信、デマンドコントロールを行うということであるが、実はITの過信は危険なのである。分かりやすい例では、震災における計画停電で茨城、千葉の被災地が対象になったことを考えてみればよい。これは計画の杜撰さが原因ではあるが、これをスマートグリッドでITを最大限に活用したシステムを組んだとする。さてITに「人道上の配慮」ができるだろうか?実は地球環境問題の取り組みの原則の一つは、システムにできるだけ労働集約的な要素を入れることなのである。ITを全否定しないが過信は禁物である。

7.Renewable Energy

今回の震災で原子力政策の見直しが世界的に進むであろう。同時にRenewable Energyの導入が加速されることが考えられる。私見だが、エネルギーのあるべき姿から、一般的には次の通りの優先順位で進めるのが良いと考える(但し詳細な地勢、地域性は考慮していない)。

バイオマス発電≧小水力発電=温度差発電>水素=風力発電>>>>>太陽光発電=地熱発電

この優先順位付け、特に太陽光発電、地熱発電の優先順位を下げたことに関しては前述、昨年12月19日付けのブログを参照願いたい。さて地域性を大まかに考えると次のように普及を進めていくのが良いであろう。

①中山間地域

我が国は地勢が急峻であり、中山間地域では小水力発電が非常に有効である。河川だけでなく、農業用水等落差のあるところでは、どこでも対応が可能であり、しかも安定電源である。さらには位置エネルギーであるので、人間の欲望が暴走するメガソーラーのような過ちを犯さなくても済む。中山間地域では地域電力の自給がかなりの割合で可能だと考える。これにバイオマス発電等を組み合わせると良いであろう。

②平野部及び都市部

Renewable Energyの中で安定電源によるバックアップを確保するのが課題ではあるが、下水汚泥に生ごみを混ぜたバイオガス発電は是非進めるべきである。長期的な話になるが、都市ガス供給網が老朽化した際は是非水素の供給網を整備するべきである。その際パイプラインには新素材を使うことになるだろう。

以上、今回の福島第一原子力発電所を契機に電力システムのあり方に関し、パラダイム転換を行い、我が国こそが世界をリードして欲しいと切に願うものである。


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TPPとイタリアのエコファーム

2011-01-02 20:19:05 | 日記

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

さて総理の年頭所感だが、時事通信によれば次の通り述べられていた。

首相は、11年を「明治の開国、戦後の開国に続く『平成の開国』元年」と位置付け、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参検討に当たり、「欧州連合(EU)や韓国、オーストラリアとの交渉を本格化させる」と表明。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011010100008

『平成の開国』だと?それを見た筆者は脊髄反射的にtwitterで、次のように思わず毒をつぶやいてしまった。

「政治とカネ」への失望を解消=税制改革、TPPに意欲-菅首相年頭所感 http://ow.ly/3wGF 一応毎年総理の年頭所感は見るが、今年ほど腹立たしい所感もない。(中略)TPPは「平成の売国」じゃねぇか!!

http://twitter.com/torrecolombaia/status/20969001932824576

元旦から罵詈雑言のつぶやきはお詫びするが、『TPPは「平成の売国」』は偽らざるものであろう。時事通信の記事を見ても、明治の開国、戦後の開国に続く」と書いてあり、これらの歴史は日本のアメリカに対する敗北(または無条件降伏)である。菅総理は年頭所感で、「アメリカへの無条件降伏」を宣言してしまっているのである。少なくともTPP加盟は今年上半期の最大の政治課題であり、かつ政局にも大きな影響を与えるポイントであることに間違いはないであろう。筆者としては、このブログを地球環境を切り口に書いている。TPPに関してもこの観点―「地球環境とグローバル経済は両立しない」―で今後とも考えていきたいと思う。

さて、正月早々である。お堅い話は止めにして、私がおととし2ケ月に渡りEUの地球環境への取り組みを視察した中から、イタリア、ウンブリア州のエコファーム「Torre Colombaia」を取り上げたい。イタリア人の「郷土愛(カンパリズモ)」と「地球環境に優しい農業」あるいは「食へのこだわり」を少しでもご理解いただき、TPPがいかにナンセンスで危険かを少しでも実感していただければ幸いである。イタリアと言えば1986年にマクドナルドがローマに進出しただけで、反対デモが起こったほど、「食の伝統へのこだわり」は強い。対する我が国だが、TPP加盟のような重要課題にも一般国民のリアクションが感じられない上、前原外相の「日本のGDPのうち、農業など第1次産業は1.5%。1.5%を守るために98.5%が犠牲になっているのでは」などというとんでもない発言にも、表だった批判さえ出てこない。

とにかくお堅い話は止めよう。エコファームの話を写真を交えてすることとする。

エコファーム「Torre Colombaia」はサッカーの中田英寿で一躍有名になったペルージャの郊外にある。世界遺産のアッシジにも近い。オーナーはアルフレッドさんといい、イタリアで一流大学を出てカトリックの枢機卿にもなれる逸材のインテリであったが、若き頃より政治活動に目覚め、イタリアの反原発国民運動にも関わったそうである。現在はこのエコファームで、ひまわり・リーノ(これらはオイルにする。)、大麦、小麦、レンズ豆等を作っている。私が視察したのは2009年の10月だったので収穫期は終わってしまっていたが、4日間の滞在で、EU各国からも取材陣が訪れるこの農場の素晴らしさを実感することができた。

まずはエコファームの全体像を次の簡単なマップで把握いただきたい。

 http://www.torrecolombaia.it/new/visitalazienda/visitalazienda.php

ここで注目いただきたいのは、総面積160haのうち農場(上記マップの茶色の部分)は60haに過ぎず、残り100haは森林(原生林)として残していることである。これによりエコファーム内の生物多様性は維持され、持続可能な農業が実現することができる。原生林の中の写真を示す。

原生林の中には湧水のある池もある(前述マップ上の番号1)。

さて、農場であるが、ヨーロッパで中世以来一般的な三圃式、いわゆるローテンション式農業であり、耕作地、休耕地、放牧地に区分されている。農場にはヤギも飼われている(残念ながら写真に撮ることはできなかった)。写真はオフィスに書いてあった区分図である。

さらに一番感心したことだが、農地が一定の区画に区切られ、その間にふんだんに樹木が植えられていることである。次の数枚の写真を是非ご覧いただきたい。

樹木の中には果物が実っていて、実際にジャムにして食卓に出されていた。


アルフレッドさんはこう言った。「敢えて森林を多く残したり、農地を一定の面積の区画に区切ることが有機農業で大切」。「鳥は有機農業で重要な役割を果たす」。さらに彼はアメリカ等の「農業風工業」をこう斬って捨てた(ここまで書くとアルフレッドさんに怒られるかもしれないが、敢えて書く)。「あいつら(アメリカ人)はバカだから、土地は全部残らず農地にするだろうね」。

さらに次のタンクの写真を見ていただきたい。

これは空気中から窒素を取りだしタンクに充填して麦を劣化させずに保存していると言う。化学的なものは一切使用していないそうである。

また、エコファームのエネルギーは全て太陽光で賄われている(筆者は個人的に最近太陽光には反対しているが、今回は述べない)。

さて、料理だが、決して高級ではないが、素朴なイタリアの家庭料理を満喫することができた。

まずは地元産のトリュフ。

次にパスタ。パスタは当然、農場で作ったもの。チーズもヤギの乳から作ったものだという。但し、肉に関して尋ねたのが、残念ながら「デンマーク産」とのこと。グローバル経済の波は、イタリアでさえも完全には防ぐことは困難なのが現実なのだ。

面白かったのは次の写真のリゾット。なんと隠し味にターメリックとさらに日本の味噌が使われているという(これは地消地産とは言えないが・・・)。アルフレッドさんはインドのヨガにも造詣が深いのと、さらに親日派である。このリゾットがなんとも言えず美味しかった。

さて今回のブログでは、私のイタリアでの経験の一つを紹介したが、今月NHKのBS-hiで「イタリア7つの輝き」と題して、イタリア特集をやっている。

http://www.nhk.or.jp/italy/

特に「郷土料理」と「トスカーナの山暮らし」は必見だと思うので、見れる方は、是非視聴するなり、録画をされることをお勧めする。


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