~南知多キャリア・ビレッジ通信~

愛知県知多半島の南端、南知多町。若者の就労支援と南知多の活性化をコラボしていきます。合宿型若者自立プログラムやってます!

ニート対策 広がる取り組み

2005-11-30 20:58:23 | 若者自立塾
読売新聞の連載記事で、以下のような取り組みが紹介されていましたので、引用させていただきました。
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「親も一緒」の視点で 連載「職業観育成教育」(上)
 就職も進学もしないニートやフリーターが社会問題となるなか、中学、高校などで職業観の育成を図る学校が増えている。文部科学省は、本年度から「キャリア教育実践プロジェクト」の一環として、中学校を中心に5日間以上の職場体験を実施している。学校での職業教育の現状と課題を探った。


「働くって?」玄田有史・東大社研助教授が講演
 11月上旬の東京都江東区立深川第3中学校。ニート問題に詳しい東京大学社会科学研究所助教授の玄田有史さんが、会場に集まった中学1年生を相手に「働くってどういうこと?」というテーマで講演を行った。「中学3年の時点で夢を持っていた人が、大人になってやりたい仕事に就ける確率は15%」という話を紹介しながら、「どうすれば、やりたい仕事につけると思うか」「何故、勉強をしなくてはいけないのか」といった疑問にわかりやすく答えていった。

 「学校の勉強は、会社や社会に出て訳がわからないことに出会った時に、そこから逃げ出さない『心の体力』をつけるため」との言葉に、生徒たちも熱心に聴き入っていた。

 公立中学校で職業観を育てる試みや職場体験学習が広がっている。背景には、就職から3年以内に辞める「早期離職率」の問題や、ニート、フリーターなどへの危機感がある。富山県の職場体験「14歳の挑戦」や兵庫県の「トライやるウィーク」の成功が、こうした動きに火をつけたようだ。

中学生が教師体験!
 東京都では、文部科学省の「キャリア教育実践プロジェクト」を活用しながら、本年度から公立中学での職場体験「わくわくウィーク東京」をスタートした。中学2年生が5日間程度、地元企業などで仕事体験をする。町田市と杉並、江戸川両区の3区市が文部科学省の推進地域も兼ね、これまでに18区22市2町村の約4万人が参加した。



小学校での「先生」体験に取り組んだ町田市立堺中学の生徒 町田市では、9月26日から5日間、市内20校全校の2年生約2800人が一斉に職場体験を行った。町田市立堺中の齋藤直子校長は、この体験を通して「子が育つ、親が育つ、教員が育つこと」を狙いとし、「どの地域の学校でもできる方法」で取り組んだ。

 まず、職場、職種の希望調査を子、親双方に行い、家庭での親子の対話と職場体験への意識づけを促した。受け入れ先については、全校の保護者に対して職場の提供を呼びかけた結果、約50か所を確保した。校長は全事業所に自ら赴き、「求人条件」を打診。生徒と受け入れ先とのマッチングには2年の全教員が総力をあげて取り組んだ。

 小学校で教師の体験をした生徒は、「本当の教育実習生のようにしてもらい、小学生からも慕われて誇らしかった。将来は絶対、小学校の先生になる」と、手ごたえをつかんだ様子だ。

 「親や世の中を啓発して、共に子どもたちを育てていくことが大切」と齋藤校長。さらに「職場体験で生徒が一変するわけではない。心の中にきざした変化が、将来の目的ある学びにつながってほしい」と語る。

子どもは「社会人予備軍」
 江戸川区立小松川第1中は、昨年1日だった職場体験を、今年は5日間に拡大した。受け入れ先は、堺中と同様、校長が先頭にたち、教師や保護者を巻き込んで開拓した。子どもたちは、社会の大人たちと触れ合うことでいきいきと輝いて帰ってきた。日ごろ不登校の生徒も今回は全員参加するなど、職場体験への関心は高かったという。

 中学2年の「14歳」という年齢は、学校内の組織や行事でも中心にたち、責任感や他人への配慮が芽生える貴重な時期だ。宇佐美博子校長は「この時期に職場体験することが大切」と言い切る。さらに「キャリア教育とは、学力だけでなく、命を大切にするなど生きるうえで必要な『子どもの力』を育てること。社会全体の教育力が低下するなか、親や社会も一緒になって動かしていくことが必要」と力説する。

 都青少年育成総合対策部の若林彰課長は「子どもは社会人予備軍。学校だけに任せるのではなく、大人が意識を変えて、社会全体で育てていく必要がある」と話している。
(以上)
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実績として、富山や兵庫の例も挙げられていますが、やはり「働くということの実体験」は本人たちに何かを感じさせるものではあると思います。たまたま今日はNHKのラジオでも10代の金銭感覚というシリーズでの特集で高校生のバイトについて視聴者から意見を集めて放送していました。ある大学教授もコメンテーターを務めていましたが、その中でアメリカの小中高大学生とバイトについての話が非常に日本の現状と違い印象的でした。日本の高校生がアルバイトをする目的は、多くの場合「小遣い稼ぎ」というものが目立ちますが、これがアメリカの高校生は、大学へ行くための学費稼ぎだったり、留学費用だったりします。
中学生の取り組みとして、実際に金銭報酬を与える事まではなかなか想像しがたいですが、働くことと報酬は、切り離せないものであることも事実です。鳥取県では高校生のアルバイトを教育委員会が斡旋するという全国でも珍しい取り組みが行われています。自立という言葉の中には「態度」「精神」「経済」という領域があると思います。労働体験により、仕事観を養うことが目的にあるであれば、中学生にも是非報酬を与える労働体験も機会提供するような取り組みがどこかで行われないものか、注目していきたいです。
ただ、これも与えられるものではなく、構造から変化していかないと本質的に「やりたいことがないから働かない」「社会に出ることが不安」といったニートの声は消えることはないのかも。一面的な対策では解決は非常に難しいと感じます。そんな思いを持ちつつも、今現実にニート状態に陥っている人を底から脱却させる支援は「一面的」かもしれませんが、取り組めることの一つとして行っていきます。



若者自立塾フォーラム参加後記

2005-11-27 01:40:56 | 若者自立塾
11月20日(日)に、名古屋市で行われた若者自立塾フォーラムにパネラーとして参加してまいりました。当日は引きこもり支援団体の方、その親を支援する団体の方もパネラーを務められ、進行は東京のNPO法人「育て上げ」ネットの工藤啓氏でした。
会場には約40名ほどの聴講者。ほとんどが親世代でした。会場の空気は重く、いかに子育てに悩んでいらっしゃるかが、身にしみる思いでした。パネルディスカッションの後、個別相談を受けましたが、やはりそこで語られる親の悩みに、ただただ頷いて聴いているしかないという感じでした。過去、当自立塾の説明会にいらっしゃった親の中にも、個別に話しているうちに涙を浮かべる人が数名いましたが、働かない若者本人も苦しんでいる(そうでもない若者もいますが、、、)のでしょうが、その親も同様に、或いはそれ以上に自分を責めたり辛い思いをしているという現実にこの問題の深さを感ぜずにはいられません。自立塾の受益者負担額は、その後解決に向かうとすれば決して高いものではないですが、どんな経済状態の人でも参加できるという額ではないのも事実です。そういう意味では来年度に全都道府県にニート相談所のようなものが開設されるという話は、広く(浅くはなってしまうでしょうが)悩んでいる人たちの拠り所として期待を抱かせてくれます。
本人たちへの支援同様、親支援の必要性を強く感じた会でした。私も2児の父親。我が家は大丈夫?

若者自立塾に対する認識

2005-11-12 21:40:14 | 若者自立塾
今日は南セントレア「キャリア・ビレッジ」が運営する若者自立塾第二期生募集の公開説明会を実施しました。その参加者(母親)の言葉に、私にはショックでもあり憤りにも似た気持ちを持たずにはいられませんでした。
ひととおり自立塾の主旨を説明した後、質疑応答の場面でのことでした。
「若者自立塾に入塾する事でニートというレッテルが貼られ、社会的に不利を被るということはないですか。」・・・絶句です。
ニート状態が続いている人を企業が積極的に正社員として採用する流れは、どう考えても見えてこないのが現状です。採用担当者が履歴書を見て、働いていない期間をどう評価するのかは言うまでもありません。学校卒業後、就職していないからといって新卒として扱われるはずがないですし、むしろ、その人の経験値はゼロ以下の評価しか下されないと言ってもいいでしょう。そんな状態の人が真剣に就職を考えるのであれば、そのためにどんな努力をしたのか語れるものが必要なのは当然です。当自立塾では、「キャリア」=「仕事の経験・経歴」の薄い、或いはキャリアといえるものが皆無の状態の無業者が少しでも履歴書の不利を埋めるための支援を真剣に考え、パソコンの資格取得やYESプログラム取得をカリキュラミングしています。さらに学習を通じて本人の自信回復、学習による習得の大切さ=キャリア形成は短絡的なものではないという気付きを付与していく活動なのです。
若者自立塾は確かにニート状態だから入塾するのですが、ここにこないニートたちがその状態をさらに続け、社会の一員として活躍する事もなく時間だけが過ぎていくことのほうが、よほど深刻である事をその質問者には説明しました。面接に行く気力も勇気も失っているニートが多いという現実。長引けば長引くほど、そこから抜け出すことができないということは、うすうす本人たちも分かっているはず。行動のためには準備が必要です。その準備として何をすべきか、当自立塾はその視点に立ったプログラムを提供する場であり、決して質問者が懸念するような「ニート収容所」などではないということを、質問された人と同じような捉え方をしている人には理解をしていただきたいと切に願うばかりです。

自立塾一期生の卒塾

2005-11-02 23:09:00 | 若者自立塾
本日、南セントレア「キャリア・ビレッジ」の卒塾者がまず2名ありました。
3ヶ月の合宿生活を経て、1名は精神的に不安定な面がある男子でしたが、就職先もほぼメドが立ちました。もう1名は以前にもブログで書いた既往症のある男子で、卒塾を迎えるまでに面接3件、電話問い合わせ10件、派遣登録と積極的に就職活動は行わせたのですが、結果的にはまだ見込みが立っていません。
取材などでよく聞かれるのが「3ヶ月という期間の長短」です。就業意欲の獲得という面だけを見れば、3ヶ月の間にほとんどの塾生が達成しています。(10名中8名)その先にある就業先の決定というところまで含めると、これは個人の能力差も関係しており、一概にその長短を語ることはできません。この質問に関しては、正直閉口してしまいます。まるで自立塾が魔法を使えるがごとくどんな状況下の人でも3ヵ月後には就職が決まっているという結果が求められているのかと感じざるを得ません。彼らは3ヶ月の間に「INPUT」した状態まではたどり着いていますが、「OUTPUT」されてくるのが早い人もいますし、ゆっくりな人もいます。その個々人にあわせたキャリアカウンセリングを行い「自ら選択する」ということの大事さを重視すればするほど、時間がかかる人は3ヶ月以上かかってしまってもそれは妥当な状態だと考えています。
まだまだこれから卒塾の人が続きます。さすがに3ヶ月も一緒に過ごすと、情が湧いてきます。明日の朝の点呼時には卒塾生はいないと思うと、やや感傷的になってしまいます。さあ、切り替えて明日からもがんばろう!