イルミナート「白鳥の湖」DVDより
2014年上演され絶賛された公演の一部をご紹介致します。
そして2015年、
西本智実芸術監督・指揮 イルミナートバレエ&イルミナートフィル「白鳥の湖」全4幕は
大阪と東京での再演が決定!
【吹田市文化会館 メイシアター大ホール】
2015年8月29日(土)16:00開演
【新国立劇場 オペラパレス】
2015年9月5日(土)17:00開演
9月6日(日)14:00開演
イルミナート「白鳥の湖」DVDより
2014年上演され絶賛された公演の一部をご紹介致します。
そして2015年、
西本智実芸術監督・指揮 イルミナートバレエ&イルミナートフィル「白鳥の湖」全4幕は
大阪と東京での再演が決定!
【吹田市文化会館 メイシアター大ホール】
2015年8月29日(土)16:00開演
【新国立劇場 オペラパレス】
2015年9月5日(土)17:00開演
9月6日(日)14:00開演
3月25日(水)〈本番〉
開演は20:00。日はとっぷりと暮れても、気温は35°C。
昨日の夜22時過ぎにベトナムに到着し、今日の午後に場当たりとリハーサル。そしていよいよ本番です。
日本歌曲と蝶々夫人のアリアは着物姿の坂口裕子さんです。
「(西本)日本歌曲についてはベトナムの人達にも共通する音階を感じてもらいたくてこれらの日本歌曲を選曲しました。
そして、ここサイゴンが舞台になった ミュージカル“ミス・サイゴン”の元の作品“蝶々夫人”も選びました。精神的共感があると思いますので、、、。
坂口さんは表情豊かな美声でかつ音域も広く様々な可能性を秘めている歌手です。
今後、イルミートのプリマとしてどんどん舞台に出演してもらいます。」
「(坂口/ソプラノ)この度は、貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございました!!
イルミナート公演に初参加させていただきましたが、
リハーサル、GP、本番と全く妥協することなく真摯に音楽と向き合ってらっしゃるマエストロ西本率いるイルミナートオーケストラに深く感銘をうけました。
溢れる音楽はずっと聴いていたい程心地よく、時に穏やかで時に激しく、時に切なく、エネルギー溢れる音楽にリハーサルから感動しっぱなしでした。
また、ダンサーの方々のこみ上げるような踊りとのコラボレーションは
感動で涙がでて歌えなくなりそうでしたので、舞台袖から見るのも、途中で控えた程でした。」
舞台装置が無い今回の舞台で大きな役割を担ったのはイルミートバレエ。
クラシックバレエを基本にしたアジアンテイストの振付と衣装で舞台を立体化しました。
「(西本)振付の玄さんは、クラシックはもちろんですがコンテンポラリーや即興的感性にも大変素晴らしいものがあり、
今回のようなシンプルでいて難しいアプローチに対しても、最善最上の仕上がりにしてくれました。
振付の玄さんも今回はダンサーとしても出演してもらいましたが、小田綾香さん、佐々木優希さん共に美しいダンサーであり、
装置無し、照明もほとんど無い簡素な舞台に肉体的表現で奥行きを創り立体的に仕上げてくれました。」
「(玄/振付&ダンサー)全ての地道な個々の過程がコラボレーションされた創造でした。
現地に到着してからでなければ分からない様々な条件。
しかし、時間にも限りのある準備期間の中で各セクションのイルミナートメンバーが目指すアートへの想いが連携プレーとなり。
本番ではベトナムの温かい観客の皆様が観て下さる中、
私は舞台上で各セクションが表現する”絵”が、マエストロの総合的に指揮される芸術で”重ね絵”のように層となり奏でられた光景を肌で感じました。」
「(西本)ヘアメイク&衣裳の山田麿由美さんには今回かなり広範囲な役割を担ってもらいました。
山田さんのアイディアで水引やお箸のアイテムも!細部に渡って統一性をもって創ってくれましたので、やはり舞台に奥行きを与える結果になりました。
山田さんのメイキャップを坂口さんもダンサーたちも大層気に入って、
舞台が終わってからも皆“メイクを落としたくない”と言って打ち上げでも舞台メイクのままでした(笑)」
「(山田/ヘアメイク&衣裳)マエストロ西本芸術監督・指揮のもと、シンガーやダンサー、
彼らを演出する各分野のプロフェッショナルなスタッフ陣は、個性豊かな、まさにアーティストな方々。
作品に対してそれぞれに強い想いを持つ私たちを1つの方向へ導くマエストロの手腕に、深い感銘を受けました。
自ら創造する型にスタッフ陣を合わせさせるのではなく、各分野のアーティストにテーマを共有させ、自由に創造させる。
これはお互い確かな信頼がなければできません。
その信頼に応えるべく、各人が驚くほど調和し合う様が非常におもしろく、私自身、一アーティストとして、多大な刺激を受けました。」
「(西本)1曲目途中、チェロの弦が切れるハプニングがありましたが、
弦の切れたチェロを引き受けたチェリストの柳本直子さんが臨機応変に対処してくれて支障を最小限に食い止める事が出来ました。
また、最悪の事態を考えパーカッションの斎藤祥子さんが舞台裏に密かに走ってくれて
オケピット内の様子を舞台裏にいるスタッフに伝達してくれ、すぐに予備楽器の手配をしてくれていました。
こういった連携プレーが一言も言葉を発せずに出来るのも良きアンサンブルの現れと実感する瞬間でした。」
カーテンコールの際のこと、舞台上のミー・リンさんと、オーケストラピットとはいえ客席とフラットに立つマエストロの二人に、お花が手渡されました。
舞台上のミー・リンさんは坂口さんにそのお花を差しだしました。
その様子を見ていたマエストロは、マエストロが戴いたお花をオーケストラメンバーにリレーしてもらい、
舞台上のミー・リンさんにオーケストラピットから差しだしました。
「(西本)終演後の楽屋には、去年訪れた現地の小学生たちが一人一人お花を持ってきてくれました。
現地の大学生たちも楽屋に訪ねてきて、感動を直接伝えてくれました。
歌手もダンサーも素晴らしかったと言う彼らに、
すぐ隣の楽屋に歌手もダンサーもいるから直接伝えてあげて下さいと言いました。」
そしてマエストロは自ら、隣の楽屋に彼らを案内していました。
イルミナートの初アジア公演in Vietnamは、熱い盛大な拍手と感動の熱気の中、幕がおりました。
大成功を収めたこの公演の様子はべトナム国営ホーチミンテレビ(HTV)により、5月以降に4回放送される予定です。
3月26日(木)
昨夜の終演は22時過ぎ、余韻の中、早朝5:00にはホテルを出発し、空港へ。
スケジュールはタイトでしたが、各セクションのプロフェッショナルな創造性がさらなる相乗効果を生み、
大成功を収めたベトナム公演。イルミナートメンバーからも、この公演への熱い想いが寄せられました。
「(坂口/ソプラノ)私自身も皆様のお陰で、とても落ち着いてとても気持ち良く舞台に臨ませていただきました。
演奏後の鳴り止まない拍手に、音楽に国境はない、音楽は共通の言語だなと強く感じました。本当にありがとうございました!
マエストロをはじめ、戎先生、ダンサーの玄さん、佐々木さん、小田さん、ヘアメイク&衣裳の山田さん、吉村さん、
歌手のミー・リンさん、オーケストラの皆さん、ベトナムの民族楽器奏者のグエン・ミン・ダオさん、スタッフの方々、日本歌曲を編曲下さった野田先生、
常により良い作品にしたいと高め合え、リスペクトしあえる皆様に出逢えました事、宝物です。
心から感謝の気持ちです!!本当にありがとうございました!!
また、いつかご一緒できるよう精進してまいりたいと思います。
この感動は、一生忘れません!
本当にありがとうございました!
心からの感謝を込めて~。」
「(玄/振付&ダンサー)ダンサーとして、マエストロの奏でる音楽と共に舞えた喜びは、言葉には表せない雄大な瞬間でした。」
「(山田/ヘアメイク&衣裳)心が揺さぶられると申しますか、言葉で言い表せない大きな感動と新たな創造意欲を掻き立てられた素晴らしい時間でした。
特別な空間であったとしか言いようがありません。
最高のスタッフと仕事ができ感謝いたします。ありがとうございました。」
〈電通メディアべトナムのスタッフは〉
マエストロ西本がホーチミンの街を歩いていると、しばしば現地の方から声を掛けられます。
その様子に、電通メディアべトナムのスタッフの方が驚いていました。
「これまでにも日本の有名な方を案内してきましたが、ベトナムの方はそっと見守るのが一般的。
直接声を掛けられるほど、マエストロはベトナムでも大人気です。
舞台を観ていて本当に誇らしかった。」
今回の公演は、23日に国内リハーサル、24日夜べトナム着、25日午後リハーサル、夜本番、
26日早朝べトナム出国というタイトなスケジュールです。
3月23日(月)日本でのリハーサル
都内スタジオでリハーサル。日本からのメンバーがここで揃いました。
玄玲奈さんらバレエメンバーは早々にスタジオ入りし、各自バーレッスン等で準備を進めます。
ソプラノの坂口裕子さん、オーケストラメンバー、ヘアメイク&衣裳の山田麿由美さんもスタジオ入り。
傍らでは今回演奏する曲をオーケストラ用に編曲した野田雅巳さんが最終確認をする中、
マエストロの指揮のもと、国内リハーサルが進められました。
3月24日(火)
マエストロ西本とイルミナートメンバーはベトナムへと出発しました。
成田空港を18時頃発の便で、 ホーチミンの空港には22時過ぎに到着。 時差は日本のマイナス2時間。
寒さの戻りだった東京から一気に真夏の蒸し暑いホーチミンです。
3月25日(水)
〈リハーサル〉
午前中、出演者たちはゆっくりでき、日本人の口にも合うベトナム料理を堪能。 各自時差調整や街を探索して過ごしました。
その間、舞台スタッフたちは、午後からのリハーサルそして本番に向けて、搬入などの仕込みで時間との戦いです。
ヘアメイク&衣装の山田さんらスタッフも午前から着々と準備を進め、お昼すぎにはイルミナートのバレエダンサーたちが劇場入り。
今回はリノリウムが無い舞台なので、床に水を含ませたタオルで入念に準備をします。
そしてダンサーたちは場当たりを始めました。
床作り!をしている頃にマエストロが劇場入り。
到着してすぐ舞台上の床の様子、衣装やヘアメイクの準備をチェックされるのは、劇場畑で育ってきた指揮者ならではの行動です!
今回最大の難関は舞台照明。 劇場に備え付けのライトしか使用できません。
赤・青・黄の基本色から1色と、ムーヴィングの4色から1色との組合せしかありません。
尚且つ照明が当たる方向は変えられません。
マエストロはその事を薄々予想していたものの照明プランナーもいない様子なので、限られた条件の中、すぐに照明作りに入りました。
「(西本)付帯照明だけではほとんど変化を付けられない事がすぐ判明しましたが、
まずは各曲の季節感やテーマに合わせて基本色を決めて、ムーヴィングは衣装とのバランスを考えて、
かなりザックリとしか出来ませんでしたが、照明を付けていきました。」
そんな中、オーケストラメンバーが続々と劇場入り。
ベトナムの国民的歌手ミー・リンさん、ダンバオ奏者のグエン・ミン・ダオさんも劇場入り。
予定していた舞台リハーサルの時間になり、オーケストラのチューニングが始まりました。
全体の流れを劇場スタッフや関係者に分かっておいてもらうために、リハーサルは本番同様のプログラム順に進めていきます。
「(西本)劇場の響きは予想していたよりとても良く、オーケストラやクラシック歌手にとっては世界基準でみても大変良い響きの劇場です。」
リハーサルが進んでいく中、ミー・リンさんの楽曲では幾つかの問題点が出てきました。
ミー・リンさんから送られてきた楽譜を元に、今回のオーケストラの編成に合わせたオーケストレーションが野田雅巳さんによって編曲されましたが、
ミー・リンさんが思っていたテンポ感とは少々異なる場面もあったようです。
「(西本)ミー・リンさんが実際歌っている音源を元に野田さんがアレンジして下さいましたが、その音源が少しポップス調だったようです。
私もオリジナルのテンポ感の方がしっくりくるので、その場でテンポ感をオリジナルに近づける事に対しては全く問題ありませんでした。
“トロイメライ”だけは、オリジナルではフェルマータの箇所が、
今回のアレンジにはフェルマータを付けずに拍子も変えず音が書かれていましたので、少々調整が必要でした。」
リハーサルを終え、一旦休憩になり、いよいよ本番です。
ベトナムのホーチミンオペラハウス公演の制作日記です。
今回の公演は、ベトナムの国民的歌手ミー・リンさんとの共演をはじめ、
イルミナートからもオーケストラ、ソプラノ、バレエ、ヘアメイクアーティストが参加しました。
出演者全員が揃ってのリハーサルは本番当日の午後3時間のみ。
舞台の準備もリハーサルまでに間に合わせなければならず、日本では本番にむけて各セクションで準備が進められてきました。
「(玄/振付&ダンサー)私自身、ベトナムという初めて訪れる未知の国での公演でしたので、“無”からスタートした舞台でした。
マエストロより選曲された上演演目を聞いた時も、どのように踊りで視覚化するか。
またマエストロが奏でるオーケストラの音楽の聴覚と融合する事が出来るか?と、イメージをフィックス出来る事なく、
毎日のように曲を聴いては自分の心が躍るばかりでした。」
「(山田/ヘアメイク&衣裳)マエストロが提示したヘアメイクのテーマは“シンプルだけど力強く、地味だけど派手に”というもの。
また、念頭に置くべきものとして“ベトナムと日本の文化交流作品である”ということでした。」
「(玄/振付&ダンサー)最初にビジュアルとして確定したのはコスチュームフィッティングで拝見した格調高い着物の衣装でした。
気品溢れる桃色の着物。
その時に『さくらさくら』を選曲されたマエストロの“さくらが散っていく舞を。”という情景とがリンクしました。」
「(玄/振付&ダンサー)ダンサーとの初リハーサルの日に歌手の坂口裕子さんが既に自らがレッスンされていた
『さくらさくら』の歌声を送って下さいました。
スマホから流れる歌声であっても、それは体温を含んだ想いを感じ。
その時に踊りの振付けだけに視野が狭まっていた私の脳を開放してくれました。
旋律だけでなく歌声を聴けた事で世界が広がった事がダンサーにも動きに息吹を与えてくれた瞬間でした。
『さくらさくら』ではジャパニーズ・チェリーブロッサムが春の訪れを表す様を、
坂口さんの歌声と共にベトナムにも桃色の風が吹けば、と。
劇場では木のフロアーで踊って頂く事になるかと、とお聞きしてましたので、
同じく木の床で舞う日本の伝統舞である日舞の要素を取り入れたいと考えました。バレエダンサー特有の“動”から日本の“静”の佇まいを!と努めました。
またヘアメイクアーティストの山田磨由美さんの想いから生まれた水引や編みこまれた髪の毛を基調とする
ヘアデザインからインスピレーションを頂き、“紡く”日本人の繊細な腕/指先を意識した振付が創りだされました。」
「(山田/ヘアメイク&衣裳)“両国の伝統的文化的なアイテム”ヘアメイクデザインに取り入れる試みをしました。
まず両国をイメージした時、ベトナムはアオザイ、黒髪ストレートなどを代表されるように“直線的”、日本は帯締めの編む技術など“曲線的”なイメージ。
これをいかに表現するか。そこで挑戦的に取り入れたアイテムが、ベトナムの“箸”と日本の慣習である“水引”でした。
水引には“人と人を結ぶ・繋げる”という意味合いがありますから、両文化交流を深めたいという想いを込めて選択しました。
デザインは様々な家紋から取り入れていますので、日本の方には馴染み深い印象を受けるのではないでしょうか。
水引はご存知の通り、軽く形成しやすい。ダンサーの髪飾りとして適していたようです。
また今回の方向性である“シンプルだけど力強く、地味だけど派手に”という真逆の対比を一体化させるために、引き算式でデザインしました。
余分なところを限りなく除いて、印象強いところだけを残すようなイメージです。
この作品にてベトナムの方、又日本の方に双方の文化について何か感じて頂ければ幸いです。」