バスターミナルなブログ

全国のバスターミナルやバス旅の紹介(※ブログ内のデータは原則として撮影時のものです)

・湧網線 最後の夏へ

2010年07月09日 | 気の向くままに、、


網走バスの「湧網線」は、1987年まで運行されていた国鉄湧網線(中湧別~網走間約90km)の廃止代替バスです。現在は湧別町、佐呂間町、北見市常呂町、網走市の、2市2町をまたいで運行されています。

国鉄湧網線はサロマ湖、能取湖、オホーツク海に沿って線路がひかれていたために美しい景色が車窓から眺められる路線として有名でした。その後、湧網線は国鉄再建法の成立に伴い、第2次特定地方交通線に指定されて鉄道は廃止、網走バスに転換となったのですが、転換から23年経過たった今年の9月30日をもって、その転換バスが廃止される事になりました。

事の発端は沿線に位置する佐呂間町です。路線維持のために補助金(湧網線を含むバス3路線で年間2500万円以上)を出していましたが、実際は佐呂間町が運行している町営スクールバスと重複する区間が多々あり、不経済な状況が続いていました。そこで佐呂間町は路線バスを廃止し、町営スクールバスの本数を増やし、かつ、一般の乗客も乗れるようにしたいと提案がなされます。台所事情が苦しいのは他の町や市も同じ。常呂町の調査では、湧別や佐呂間への乗客はほとんど無く、時期的に観光客が乗る程度で、生活圏として使われている様子は全くなかったようです。結局、湧網線の廃止代替バスは廃止され、利用客の見込める常呂~網走を除いて各自治体が独自でバスを運行する事になりました。

中湧別(湧別町) ~×~ 佐呂間(佐呂間町) ~×~ 常呂(北見市常呂町) ~ ~ 網走(網走市)
 
代替バスの廃止により、分断(上記×の区間)されるのは湧別町~佐呂間町間と、佐呂間町~北見市の2区間です。このうち後者の佐呂間町~北見市間は常呂町の北見市営バスが佐呂間町まで延長する見込みで話が進んでいますが、湧別町~佐呂間町間はバスが通らない区間になってしまう可能性があります。


↑鉄道廃止後、サイクリングロードになった線路跡

「乗って残そう○○線」

かつては赤字ローカル線でよくみられたスローガンです。鉄道を廃止してバス転換にする議論があったのはとうの昔。今はその代替バス廃止の議論が行われる時代になりました。同じ北海道を走る士幌線の十勝三股~糠平間の代替バスは廃止され、代わりにその区間を通過していた都市間バス「ノースライナーみくに号」が2往復停車(まもなく1往復減の予定)するようになるなど、これからは、そのようなケースも増えてくる事でしょう。

国鉄再建法では鉄道廃止時に1km当たり最大3000万円の転換交付金、更にバス転換の場合は5年間の赤字全額保障が付いていました。バス転換時に、交付金でバスの購入やターミナルの整備が行われ、残金を「基金」として積み立て、利子で赤字を補てんしてゆくビジネスモデルでしたが、バブル崩壊とともに利子はほぼ0の状態になり、基金を取り崩す自治体もでています。代替バスの将来はどうなるのでしょう。

補足(網走バス湧網線の廃止について)
網走バスHP公式ではまだアナウンスされていませんが、各自治体の発表等から廃止と書かせて頂きました。
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