バスターミナルなブログ

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・高速ツアーバス乗合移行から1年 完全予約制について

2014年08月16日 | 気の向くままに、、
2013年7月31日の高速ツアーバス乗合移行期限から、1年が経過しました。「WILLER EXPRESS」や「VIPライナー」、「さくら高速バス」・・・他にもたくさんの高速ツアーバスが高速乗合バスへと移行しています。

皆様は新しいタイプの高速乗合バスに慣れましたか?

私個人の感想を少し書いてみたいと思います。

高速ツアーバスが乗合に移行して、私が一番驚いたのが一部の高速バスブランドで採用している「完全予約制」(※事業者によって呼び名は異なる)という制度でした。バスに乗車するには事前の予約が必須であり、当日のフリー乗車(予約なし)は出来ないという案内をしている事業者があります。

当然、このような疑問が浮かびます。

乗合バス(路線バス)に移行したのだから、空席があれば「フリー乗車(予約なし)」が出来ないと、おかしくないだろうか?


↑完全予約制を採用している事業者 同社のHPでは予約がないと乗車が出来ない旨が案内されています

・・・でも、調べてみると事前予約が必要な乗合バスというのは2013年7月31日以前にも存在していました。具体的な例を出すと、南千歳・新千歳空港~帯広・十勝川温泉間を運行する「とかちミルキーライナー」(おびうん観光と北都交通の共同運行)です。十勝川温泉から乗車する場合は、1時間前までに予約をしないとバスが配車されずに帯広が始発になるシステムになっています。更に、生活路線でも予約があった場合のみ運行される乗合バス(コミュニティバスにみられる)というものが存在します。

これらの前例から、事前予約しないとバスに乗れない前提には、事前予約をしないと停留所にバスが来ない可能性がある事がわかりました。そして、この制度が過去にも存在していた事から、「完全予約制」は高速ツアーバスが乗合移行するために作られた制度ではなく、採用している事業者が少なかったが故に一般に知られていない制度だったと言えるかもしれません。

とはいえ、これまで乗合バス(路線バス)は予約しなくても必ず停留所に立ち寄り、座席があればフリー乗車出来ると認識してきた私達にとって、「完全予約制」は違和感のある不思議な制度で、すんなりと全てを受け入れられる方は決して多くないと思います。(私も全てを受け入れる事が出来た訳ではないです)

ところで、不思議な制度といえば、個人的には1980年代に確立された高速バスの「クローズド・ドアシステム」も謎の制度です。例えば、東名江田のBSで東京駅行きのバスを待っていて、超特急が来たら乗れるのに、昼特急が来たら降車専用となる扱いは不思議に思えませんか?どちらも同じ乗合バスなのに、どうして乗れるバスと乗れないバスの2つの制度が存在するのでしょうか。

でも「クローズド・ドアシステム」に異を唱える人を聞いた事がありません。その理由は「クローズド・ドアシステム」が当たり前のように定着しているからではないでしょうか。東名高速バスや名神高速バスなど、「クローズド・ドアシステム」がなかった頃から運行している高速バスは、今も基本は中間停留所で乗車も降車も可能です。しかし「クローズド・ドアシステム」の普及により、もはや高速バスの世界では東名高速バスや名神高速バスの制度の方が希少な取り扱いに思えてくるようになりました。


↑中央道双葉東の停留所 路線によって降車専用と乗車停留所の2種類がある

話を「完全予約制」に戻します。今は違和感の多い「完全予約制」ですが、「クローズド・ドアシステム」と同様に定着するかどうかが今後の鍵のような気がします。「完全予約制」は事業者側の立場からすると、効率的な運行が出来たり、座席配置を事業者側が決めて座席の隣り合わせが同性になるようにする事も出来るメリットがあります。しかし、事前予約という制約からフリー乗車を希望する乗客を逃してしまうデメリットもあります。事業者にとって、乗客を逃してしまうリスクを背負いながらも「完全予約制」を採用する価値はあるのでしょうか。

その答えは、今後、市場が判断する事になると思います。多くの利用者が「完全予約制」のメリットを支持したり、受け入れたりすれば、必然的に「完全予約制」は生き残る事になるはずです。

遠鉄バスは「e-LineR横浜線」の東名御殿場や山下公園前の停留所を、前日18時予約までの「完全予約制」にしましたし、イーグルバスでは一度は「事前予約・事前決済制」を採用しながらも、フリー乗車可能(※但し運賃は割高になる場合もある)に変更にするなど、各事業者で新しい動きも出ています。

さて、5年後、10年後・・・「完全予約制」は定着しているのか?衰退しているのか? どうなっているでしょうか。
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17 コメント

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私自身の乗りバス体験より (ももいわそう)
2014-08-17 03:26:29
①・海部観光、ウィラーアライアンス

ツアーバス転業組が目指す目標なのでは?と愚考します。徳島駅近くの乗り場には朝早くからの乗車券発券にも対応出来しかも、夜行の東京線到着時(朝6~7時前後)からはシャワー利用も可能です。一方、ウィラーアライアンスでも空席ありの場合は求めがあればきちんと乗車券の発券もしてくれます。

②・「北海道の事業者」「(鳥取)日本交通」

来週から利尻・礼文島に滞在の後に稚内~札幌線の夜行(=深夜)便に乗りますがその時は礼文島滞在中の発券を検討しています。そのココロは、ハートランドフェリーの窓口が北都観光の代理店となって乗車券の発券をしているからです。もし時間が合わなかったら、稚内駅前の窓口でも発券できますよとのこと。一方(鳥取)日本交通では発車オーライネットに加入していない事業者でして、阪急梅田BTやミント神戸のように窓口が早めに閉まるケースもある上に夜行便の乗車の予定、さてどうするか…。実は予約の段階でケースによっては運転手に乗車券を預けることも可能とのこと、でした。

以上の体験談からふまえると、キーワードは「お客様目線になれるか?」と愚考します。北海道中央バスの定期観光バスのように前日夕方までに予約がない場合は運休しますと時刻表にも予告がある場合はともかく、大半のツアーバス転業組は完全予約制の名のもと乗り場での乗車券の発券はしないと、現金の授受ややり取りが面倒くさいからやりたくないというのはいろいろな意見はあるのでしょうが「まったくやる気がないんだね…」という印象を抱きます、お客様目線になれない事業者が多いのには首をかしげてしまいます。
ただ乗りバスの路線の乗車の回数や大きなバスターミナル等で見る回数は人よりは多いのかもしれません、ただ、某巨大掲示板を利用した有りもしないガセネタは流さないようにしようと改めて誓うのでした…。
「インターネットの情報を眺めたり他人の取材データを読んでいるだけでは、現場の音や風を知ることはできません。現場を知っているからこそ、語れる言葉があると私は信じています。」「見たいテレビ」が今日もない/長谷川豊著(双葉新書)より引用。
長文になりましたことをお詫び致します。
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Unknown (Unknown)
2014-08-17 07:17:25
ももいわそう

非常に読み辛い
何を言いたいのかわからない
日本じゅうから非難されている
長谷川の引用なんか全く意味不明
書き込む前に自分で読み直して
推敲しましょう
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Unknown (Unknown)
2014-08-17 12:25:56
ももいわそう

“お客様目線”と付ければ「オレいい主張してる」なつもりですか?

守るべきルールを守ってから(①②は尚更)、それから各社・地域の都合で最善を尽くすものでしょうに。
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Unknown (Unknown)
2014-08-17 13:33:56
>愚考します

確かに全部が愚考ですな…
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完全予約制の高速バス (みどり)
2014-08-17 21:30:02
バスターミナルなブログ管理人さま

新制度開始から1年経ちました。
移行組はこれを機に路線免許を取得して、ツアー方式から路線バスに転換しました。

従来組も新制度の活用、移行組の変化などいろいろあった1年でしたね。

テーマにある完全予約制なんですが、少なからず採用している路線は、その体系に即したものであって移行組のとは違います。

移行組の完全予約制は、ツアー時代のやり方をそのまま継続しているのであって、良し悪し別にその方がやりやすいからなのかもしれません。
ほとんどが、ネットやコンビニで販売されているところが、今の時代に合っているのでしょう。

販売方式は、サービスを提供する事業者が決めるものです。

クローズドア方式は、中央高速バスから始まったものと記憶しております。
新宿~伊那・飯田線の開設の際、沿線の事業者の調整で生まれたのです。
乗降の制限を設けることで、起点側と終点側を直行するのを実現したのです。
この方式が、その後開業する高速バスのモデルになりました。

名神や東名の全停留所乗降可能は、昔の名残りです。 新しい方式に移行するのが、自然の流れでしょう。

路線バスの定義も確かにあります。
実体に即したのであれば、いろいろな乗降方式があることを受け入れなければなりません。

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クローズドア (京帝117)
2014-08-17 23:28:43
みどりさん

中央高速バスのクローズドアは
伊那飯田線開業のはるか前
富士五湖線開業時からあります
上野原だけ双方に開いているのは
京王もその辺りまで免許が
残っていたことによるものです
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クローズドア (みどり)
2014-08-18 02:20:04
京帝117さま

富士五湖線開業時からクローズドアが始まったのですね。
ご教授ありがとうございます。

中央道上野原の上下乗降可能の訳は存じております。 京王の路線がありましたね。
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Unknown (京帝117)
2014-08-18 06:44:32
JR東名や小田急箱根高速は途中バス停間の乗降が相当あり、地元の貴重な足として定着していますし、地元の他の事業者との関係も薄いのでクローズドアにすることはないでしょうしできないのではないでしょうか
小田急箱根高速の御殿場~桃源台間の場合、グループである箱根登山が全く運行していないので、完全に地元相互間の足を兼ねています
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完全予約制 (バスターミナルなブログ管理人)
2014-08-18 10:21:40
>ももいわそうさま
やる気の有無は実際のところはわかりませんが、確かに結果的に利用者を選んでいるようになってしまっているようにも思えます。実際にはフリー乗車の利用者はほとんどいないのが実情ですが、少ない定員の中で1人分の収入というのは大きいと私は思います。ただ、その1人に見合うコストをかけられるのかと考えると、致し方ないのかな・・・とも思ってしまったり。
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乗車券 (バスターミナルなブログ管理人)
2014-08-18 10:27:46
>みどりさま
>今の時代にあった
最近は、古くからの大手老舗路線も移行組のサイトで売るようになりました。私が一番今の時代にあったと思ったのが乗車券の所持の仕方です。以前からの当たり前であれば、自宅のPCでバスを予約して、乗車券を購入という2つの作業を行わなければならなかったのですが(特に後者は面倒でした)、移行組のサイトで購入した大手老舗路線も携帯・スマホの画面を見せるだけで乗車出来るという取り扱いも出来るようになりました。

異常時など、これによるデメリットもあるでしょうが、バスに乗りやすくなった点は大きく評価出来ると思います。
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