文淵の徒然なるかな

日々の徒然なるのを綴る

駄文

2014-12-31 16:09:22 | 日記
「たいへんです。博士!」
 慌ただしく学生が勢いよく扉を開いた刹那、鈍い音と共にガラスが砕ける音が研究室に響いた。
「博士。大変です!」
 学生はそんな音と妙な手応えも気にする事もなく、扉を開いて同じ言葉を繰り返した。
 学生の足元にはガラス片を撒き散らした惨状の床に横たわる博士と呼ばれる男がいた。
「博士。仮眠は仮眠室でってお願いしたじゃないですか!!」
 学生は横たわる博士に情け容赦ない声を浴びせた。
「お前が扉を勢いよく開けるからじゃろうがっ!!」
 学生の声に呼応するように勢いよく立ち上がり、声を荒げる学生に博士は怒鳴り返した。
「逆ギレですか!」
 学生も負けじと怒鳴り返した。
「逆ギレは貴様のほうじゃ!! 勢いよく扉開けて人を吹っ飛ばしておいて、いきなり何じゃ!」
 博士も負けじと怒鳴り返したが、勢い余って口腔内粘液の飛沫がどうやら学生にかかったらしく、あからさまに不快感を示す態度で、顔を歪めながら顔を両手で顔を荒げる庇い、庇った手をハンカチで拭きはじめた。
「いや、そんな事よりもですね博士たいへんです」
 そう言いながら学生はさり気なくハンカチを汚物を扱うかのようにゴミ箱へ捨てる。
「さっきから大変大変と一体なんじゃ!」
 いろいろと言いたい事のある博士だが、ゴミ箱に捨てられたハンカチを見て諦め、詳細を聞くべく学生に訪ねる。
「メロンパンの皮が単品で販売されました」
「え?」
「単品でメロンパンの皮が販売されました」
「は?」
「販売されたんですよ。メロンパンの皮が」
 先ほどから文言の順番が変わるだけで具体的な説明が全くない学生の発言と、人を扉で殴打しておいてこの報告、セキセイインコのセキセイとはどのような意味だったかという疑問に言葉を失う博士にかまわず学生は続ける。
「先ほどコンビニに『ドキッ!第24回シジミの貝殻で作る巨大ロボット』の予約する為に行った際に、レジ横に発注ミスと思わしき商品が山積みになっていて思わず購入しました」
 そういい学生は懐から田舎まんじゅうを取り出し博士に手渡した。
「うん、ありがとう」
 博士は学生から田舎まんじゅうを受け取り研究室を無言で退出した。
 博士は世の中の広さや理不尽さを改めて痛感していた。
「すべての事象は連続性に成り立つ訳ではない。断続的に事象は不連続であり、その連続性は我々がただ補完している故に連続性を保っているに過ぎない錯覚であり事象は連続性と不連続性のいずれでもある……」
 田舎まんじゅうを博士は口にしながら独白する。そしてゆっくりと窓を開けて食べさしの田舎まんじゅうを手に叫ぶ。
「脈絡がなさすぎるわーっ!」
 博士は窓から全力で田舎まんじゅうを放り投げた。
 セキセイインコの背黄青鸚哥という漢字から背中が青や黄色という意味だと後日博士は知るのだった。



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