「C列車で行こう!」

なるべく「ネタバレなし」で作品レビューやってます。※ 現在、中国駐在中。しばらく更新できません。。。。

ブロークバックマウンテン

2006-05-22 | レビュー(欧米・その他) ナ・ハ行

製作=2005年 アメリカ 134分
監督=アン・リー
脚本=ラリー・マクマートリー ダイアナ・オサナ
出演=ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール ミシェル・ウィリアムズ アン・ハサウァイ
公式HP=
http://www.wisepolicy.com/brokebackmountain/

【レビュー】
うちの地元は田舎なもので、待ちに待っての公開です。短期のロードショーなので、「ダ・ヴィンチ・コード」の長い行列を横目に、とりあえずこっち優先で観てきました。良くも悪くも「ゲイのカウボーイ映画」という扇情的な謳い文句が刷り込まれてしまったせいか、見終わった直後は、「意外に普通で、ありふれた映画」のような気がしました。こんなんで賞レースを総ナメしていたとは信じられない!と正直思ったぐらい。でも、時間が経つにつれ、そのシンプルさこそが、「誰の身にも起こりうる普遍的な出来事、普遍的な感情
」をより強調しているような気がしました。しかし、古い価値観(=イニス)と新しい価値観(=ジャック)がうまく折り合わない、価値観が曖昧な時代においては、その「普遍性」がかえって悲劇を生み出す原因になってしまったのだと思います。冷静に見れば、この男どもってかなり身勝手な生き方(奥さんや子供達が気の毒・・)していると思うのですが、主眼は「人間」ではなく、曖昧な「時代」(その象徴が「ブロークバック・マウンテン」)にあったと思えば納得できるかな?原作は「シッピング・ニュース」のアニー・プルー。元々は短編だったため、映画の方は原作にない部分も多少膨らませた感じになっていましたが、ラスト近く、ジャックの部屋でイニスに言わせた言葉(原作にはない言葉)は、監督の「こだわり」なのかな・・・?

監督のアン・リーは、本作でアジア人として初めてのアカデミー賞最優秀監督賞に輝きました。台湾時代のヒット作「ウェディング・バンケット」(1993)はもろゲイコメディでしたし、トビー・マクガイア、スキート・ウールリッチ共演の「楽園をください」(1999)も、直接的な描写はなかったものの、KUNSANには多少同性愛的な映画のように感じられました。アン・リー自身がどうなのかはさておき、ものすごく「ゲイ」にこだわっているのでは?と思ってしまうのですが(笑)・・・でも、時代に翻弄されて結ばれない恋人達を描くことにかけては、男性ながら繊細な感性を持つ人だと思います。今度は、原点に帰って「グリーン・デスティニー」のようなアジアンテイストの作品も撮って欲しいなあ・・・


キャストでは、オスカーでもノミネートされたヒース・レジャージェイク・ギレンホールミシェル・ウィリアムズの熱演が印象的でした。特にミシェル・ウィリアムズ。彼女が出演していたドラマ「ドーソンズ・クリーク」のファンなもので、自然に彼女の応援をしてしまうのですが、贔屓目を差し引いても今回の演技(特に二人のキス現場を目撃してしまった時の)は素晴らしかったです。ゴージャスな美人というわけではありませんが、子役出身ということもあって、まだ若いですが「地に足を付けている」感じがします。劇中では不幸な夫婦生活を送ることになりましたが、実生活ではこの撮影を機にヒースと婚約、昨年、女の子も生まれました。ちなみにゴッドファーザーはジェイク・ギレンホールということで、ミシェルはちょっと心配?(笑)


リンダリンダリンダ

2006-05-20 | レビュー(アジア) ラ・ワ行
リンダリンダリンダ

バップ

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製作=2005年 日本 114分
監督=山下敦弘
脚本=向井康介 宮下和雅子 山下敦弘
出演=ペ・ドゥナ 香椎由宇 前田亜希 関根史織
公式HP=
http://www.linda3.com/
キャッチコピー=女子高生がブルーハーツ。ボーカルは韓国からの留学生!?

【レビュー】
高校生活最後の文化祭を前にして、ギタリストのケガ、ボーカルの離脱・・・と空中分解してしまったガールズバンド。急遽、韓国からの留学生をボーカルに引き入れ、ブルーハーツの曲を猛練習するが・・・という至ってシンプルなストーリー。「スウィングガールズ」の二番煎じ?かと思いきや、KUNSANはこっちの”ダラダラ青春もの”といった空気感も結構好きかも。それにしてもブルーハーツ懐かしい!思わず部屋にしまいこんでいたCDを引っ張り出して聴いてしまいました(笑)。でも、ブルーハーツはやはり若い世代にこそ受け入れられる音楽かな・・?

キャストの中では、韓国からの留学生ソンを演じたペ・ドゥナちゃんの存在が大きかったですね。彼女の実年齢から言うと、女子高校生役はなかなか厳しいかな?と思いましたが、ちょっとすっとぼけたキャラが可愛かったです。日本映画初出演ということでセリフやブルーハーツの歌詞を覚えるのはさぞ大変だったことでしょう。でも、作品の中での仲間達からの呼ばれ方が、「ソンさん」→「ソンちゃん」→「ソン!」と徐々に変わっていったように、はじめは距離感がありつつも次第にメンバーとうち解けていったんだろうなあという感じは受けました。香椎由宇前田亜希といった他のキャストもそれぞれ役のイメージにあっていてよかったです。単なるアイドル映画のように可愛さを強調せずに、ちょっと生意気だったり、ちょっと臆病だったり、ちょっと抜けてたりするところが、かえってリアルな可愛さを生み出していたような気がします。

みどころはもちろんクライマックスの「リンダリンダ」の演奏なのですが、ケガをしたギタリスト役の湯川潮音ちゃんにも注目(注耳?)です。遅れたバンドが到着するまでのつなぎとして歌声を披露するシーンがあるのですが、幼い時から合唱団のソプラノで活躍していただけあって、彼女の「天使の歌声」にはほんと聞き入ってしまいました。さっそく、彼女のCDもチェックせねば!


クライモリ

2006-05-14 | レビュー(欧米・その他) ア・カ行
クライモリ デラックス版

ジェネオン エンタテインメント

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製作=2003年 アメリカ・ドイツ 84分
監督=ロブ・シュミット
脚本=アラン・マッケルロイ
出演=エリザ・ドゥシュク デズモンド・ハリントン エマニュエル・シューキー ジェレミー・シスト 
キャッチコピー=帰れるのは、悲鳴だけ。

【レビュー】
洋画のタイトルに邦題をつけると、「どうしてそうなるのかな~?」的なものが多い中で、この「クライモリ」(原題:Wrong Turn)はなかなかよく出来たタイトル。あえて「暗い森」にしなかったところが、かえって色々な想像をかき立てられます。キャッチコピーから考えると、「Cry=悲鳴+森」とも言えるのかな?

B級ホラーは好きなKUNSANですが、実を言うと、ほんとに怖いホラー作品は少々苦手。。。「SAW」は始まって10分ほどで観るのをやめたぐらいです。この作品も途中で何度ストップボタンを押しかけたことか・・・なんでも、
あのスティーヴン・キングも「2004年度のベスト1映画」と絶賛したらしいです。ストーリーは他のホラー映画とよく似たパターンなのですが、90分弱しかないということで、ハラハラシーンがぎゅっと濃縮されている感じ。そして、化け物3兄弟の姿がリアルで怖い、というかキモイ・・・それもそのはず、その道の第一人者であるスタン・ウィンストンがVFXに参加しているそうです。

ヒロイン、ジェシーを演じたのは、ドラマ「トゥルー・コーリング」のエリザ・ドゥシュク。その他では、「チアーズ!」でキルスティン・ダンストの友人役が印象的でした。彼女は、
はじめにもらった台本をより膨らませて、弱さと勇敢さが共存するヒロイン像を作り上げていったそうです。なんとスタントも自らこなしていたそうで、メイクで作った傷なのか本当の傷なのか分からないほどだったとか。そして、医学生クリスを演じたのがデズモンド・ハリントン。ダークキャッスル印のホラー映画「ゴースト・シップ」にも出ていたそうですが、あまり印象にないなあ・・・今回も多分主役だったのに、強いヒロインの前に影が薄くなってしまったか?・・・・


「SPIRIT」ノーカット完全版!

2006-05-10 | トピックス

ジェット・リー主演「SPIRIT」のDVDリリースが決定しました。公式サイトによると、3パターンあるようです。

①通常版(7/14発売)1枚組。オリジナルキャストによる吹き替えを収録。特典映像はメイキング。2006年9月13日までの期間限定生産。

②特別版(7/14発売)=2枚組。初回限定豪華BOX仕様。80分を超える特典映像(撮影の舞台裏、来日時インタビュー、ジェイ・チョウPV映像、ストーリーボード・コレクション、スチールギャラリーetc.)。

③コレクターズBOX(今秋発売予定)=約40分の未公開映像を収録したノーカット完全版(未公開部分にはミシェル・ヨーが出演)。豪華封入特典には絵コンテ集、ポストカード30枚セット。

何と言っても目玉は、「ノーカット完全版」でしょう!世界初DVD化だそうです。以前、
レビューのところでも書いていましたが、本国版も日本版も約40分ものカットシーンがあったそうです。まあ、「ノーカットだから素晴らしい作品」とは限らないのでしょうが、とりあえずミシェル・ヨー姐さんのシーンが復活されるのは喜ばしいことです。それから、特別版に収録されるジェイ・チョウのPV。日本版では、ジェイのエンディング曲が日本の無名バンドのものに差し替わっていました。多分、ものすごーい抗議があったんでしょう。KUNSANは、別ルートからジェイのPVは入手済みなので、出来ればジェイの日本でのコンサートにコメントを寄せたジェット・リーの映像(←かなりハイテンションなジェット・リーが可笑しいらしい)を特典にしてほしかったな(笑)。


新世紀Mr.BOO! ホイさま カミさま ホトケさま

2006-05-08 | レビュー(アジア) サ・タ行

製作=2004年 香港 100分
監督=ワイ・カーウェイ
脚本=ワイ・カーウェイ オー・キンイエー
出演=ラウ・チンワン ルイス・クー ジョーダン・チャン セシリア・チャン フランシス・ン ジリアン・チョン(TWINS)、シャーリーン・チョイ(TWINS)、アンディ・ラウ(特別出演)
キャッチコピー=抱腹絶倒!一心同体!満身創痍!お笑い仙人が新たに蘇る!

【レビュー】
喜劇王マイケル・ホイ(今回もスペシャル出演!)が生み出した伝説のコメディシリーズ、”Mr.BOO!”のリメイク作。KUNSANは昔のMr.BOO!シリーズを見たことがないので、前と比べてどうこう言えないのですが、いつもながら香港人のコメディセンスには、あきれるほど(笑)感心させられますねぇ。余計な説明は不要、ほんと、愛すべき”おバカ映画”です。

名作コメディを派手にリメイクしただけあって、キャスト陣も豪華です。魔法学校の生徒ハミー・ポッポー(完璧パクリです・・・)に扮するのがセシリア・チャン。「PROMISE」でチャン・ドンゴンと真田広之の二人に尽くされる王妃を演じた人とはとても思えない!オカッパのかつら、牛乳瓶の底のようなメガネ・・・まるでコントです。久本マチャミです。声もダミ声だし、というのは前からそうですが(「PROMISE」の時は、香港女優のくせして、その悪声のために吹き替えられていました。)そして、ポッポーの妹たちの”お箸ツインズ”(←意味不明・・・)には、香港の人気アイドルデュオ「TWINS」の二人。最近、KUNSANは彼女たちの出演作(「ツインズ・エフェクトⅠ&Ⅱ、ツイン・ローズetc.)にハマっているのですが、ちょっと頭のネジ1本抜けているような”バカカワイイ”二人がとてもいいです。それから、「インファナル・アフェア/無間序曲」ではクールな役だったフランシス・ンが今回は突き抜けたバカっぷりでびっくり。最後になりましたが、主役の三バカ大将を演じたラウ・チンワンルイス・クージョーダン・チャンも三人三様の好演(?)でした。ちなみに一番のボケ役だったジョーダン・チャン(陳小春)、「頭文字D THE MOVIE」でジェイ・チョウの敵役をしていた人です。

ストーリーはさておき、こうやってご贔屓のキャストを目で追うだけでも楽しい作品でした。アンディ・ラウもちょびっとだけ出演しているのですが、ワイ・カーウェイ監督とは「マッスルモンク」「フルタイム・キラー」「ダイエット・ラブ」などで組んでいるので友情出演なのかな?特に「アンディ・ラウの麻雀大将」は、タイトルから見て、これもMr.BOO!関連作と思われるので、もしレンタルショップにあるのならば(笑)是非借りてきてみたいものです。


カオマ

2006-05-04 | レビュー(アジア) ア・カ行

製作=2004年 香港 88分
監督=ロー・チーリョン
出演=カリーナ・ラム アンジェリカ・リー アンディ・ホイ 

キャッチコピー=最も怖い愛。
関連HP=http://www.link-r.com/karena/index.html(カリーナ・ラム公式サイト)

【レビュー】
なんか想像していたストーリーと違うなと思っていたら、「カルマ」と間違って借りてきたみたい(笑)。でも、同じカリーナ・ラムちゃんとロー・チーリョン監督のコンビということで、当たらずとも遠からず??・・・ホラーというより、メディカル・サスペンス的な作品でした。それにしても、薬で昏睡している間に腎臓を奪われ、売買されるというビミョーにリアルな設定が「もしかしてあり得るかも?」と思えて、それが一番怖かったなー(笑)。そして、最後に生き残ったヒロインが、「安堵感」ではなく「敗北感」を感じるという、ちょっとひねったラストが印象的でした。

一番の見所は、「カルマ」のカリーナ・ラム、「the EYE」のアンジェリカ・リーというホラーヒット作のヒロインによる”恐演”でしょうか。「ティラミス」「恋の風景」では清純可憐な女性を演じたカリーナが屈折した役で、一見悪女風できつい感じのアンジェリカが標的になる方というのは、ちょっと意外な配役。メスvs斧って(笑)・・・KUNSANは思わずカリーナの方を応援しましたよ。そして、アンジェリカの恋人でありながら、カリーナとも浮気をしている医師役にマイケル・ホイじゃなくて、アンディ・ホイ。彼のルックス同様にどっちつかずの(笑)中途半端な役でしたねー。そんなホイさんの次回作は、F4ヴィックと韓国のパク・ウネ(「チャングム」のヨンセン)と共演した台湾ドラマ「Silence深情密碼」です。

個人的に、「香港ホラー」というのは、映画のひとつのジャンルとして立派に成立していると思うのですが、本作もそんな香港的B級テイストを感じさせる作品でした。「カルマ」と「the EYE」の方も是非観てみたいと思います。