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Brugge Style
ハンドバッグとビッグバン
あの時代に育った女児がそうであったように、わたしは大変おしゃれな子ども時代を過ごした(なんせ手本たる母親の外出着は七部袖に手袋帽子と、皇室メンバーのような服装だった)。
そして婦人用品の中でも、「ハンドバッグ」に著しい興味を抱いていた。
自分の全世界を入れて持ち運べるバッグ。
これも一種の代償形成なのだろうか?
当時一番の気に入りは、ちょうどティッシュペーパーの箱を縮小したような形のバニティケースで、蓋の裏には鏡がついており、白っぽいツイード張りだった。3歳頃に父から与えられた。
中には銀のロケットペンダントや、母のブローチから落ちたラインストーン、外国製の花柄のナプキンなどを入れていて、常に愛でていたと記憶している。
しかし、あれはいつの間にかどこかへいってしまった。
「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね... 」
「人間の証明」で引用された有名な詩。覚えていらっしゃる方、多いですよね?ね?
わたしの全世界が入ったハンドバッグ。
あのバッグとともにわたしの幼児的な世界は消えたのか?
それともあのハンドバッグが膨張して(あたかもビッグバンのように)わたしの今住む世界を形成したのか?
そうだとしたら、子どもだった頃のわたしに恥じないような大人になっただろうか?
近頃あのバッグのことをやけに頻繁に思い出すのである。
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