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魔法学校




美術や音楽など、ミューズ系の科目は、ベルギーの教育ではほとんど課外で行われている。

教育は大学まで無料なので、ミューズ系の科目も当然無料。税金でまかなわれているため、一定の成果はあげ続けなければならないが。
ソフトなエリート主義、とでも呼ぼうか。


その恩恵にあずかるべく、娘も音楽学校に通っている。

学校は適当なサイズの適当な位置に既にある建築物を流用している。例の、ブルージュの古い建物だ。
とは言え、メインの建物は改築も進み、防音システムなど、なかなか現代的ではある。

今月の初め、この学校でも娘のピアノの個人レッスンが始まった(だから彼女は今、ピアノの先生2人についている。わたしの賽の河原の苦しみが増えるわけである)。


教室として指示された建物、これが...

魔法学校か、ここは!

半開きにされた重い玄関ドア、黒光りする大きな階段、真っ暗な廊下のつきあたり、目玉が動きそうな人物が描かれたステンドグラス、無数に並ぶドア(ああ、カフカの「審判」の建物のよう)、骨とスジだけになったピアノの残骸、どこからともなく聞こえる陰気な管楽器の音、超芸術トマソン、ここにもトマソン、あそこにもトマソン...ブルージュはトマソン天国だ。

学校が迷路のように作られているのには意味があるという。それは知識の象徴なのだそうだ。


娘が大人になった時、この建物をどのように思い出すのだろう。

うらやましい。


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