Amazon.co.jp ギィ・リブ著、鳥取絹子訳『ピカソになりきった男』
逮捕された時、彼はもう描かなくて良いという
安堵感に満たされた。
手がけたピカソの贋作が真作としてカタログに載り
シャガールの娘から本物だとお墨付きをもらう。
そんな作者の半生を描く。
画家本人になりきるために文献で研究し憑依させる。
画材や額縁も当時の物を取り寄せる。
その努力は並大抵のものではない。
的確でないかもしれないがテストのためにカンニングペーパーを
作ったら結果として勉強したことになったのに似ているなあと思った。
贋作ビジネスには画商も絡んでおり、アート界全体が
素人を騙すためにグルになっている。
新人画家の傑作よりも有名画家の贋作の方が
需要があるというのが付け込まれる隙きになっている。
逮捕後に有名画家風の絵を描いて欲しいと依頼されるというのは
何だか皮肉に思える。