偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏732神行堂山(宮城)記念碑

2017年05月22日 | 登山

神行堂山(しんぎょうどうさん) 記念碑(きねんひ)

【データ】神行堂山 458メートル▼最寄駅 JR気仙沼線・志津川駅(気仙沼線は一部バス運行中)▼登山口 宮城県南三陸町入谷の石の平集落▼石仏 神行堂山中腹、地図の赤丸印。青丸は血の池、緑丸は金次郎墓石▼地図は国土地理ホームページより
【案内】 神行堂山の登山口には、「石の平歩けあるけの会」と「黄金山神社講」が立てた古い登山案内がある。登りだしてすぐ貯水槽の先から山道になり、杉林を抜けた平坦地に転がる石がここに案内する記念碑。杉の古木が数本並び、それとなく神域を感じさせる平坦地にある石なので気づいたが、山中にあれば見過ごしてしまいそうな石である。そこに刻まれた銘の彫りは、拓本でないと読み取れないほど浅く風化していた。
 「神行道金華山造建面記」とある記念碑は、山頂にある金華山の石祠を造立したときのものと思われる。縦45、横80センチの自然石に、施主の山内嘉茂之助浦、山内伊蔵など40名の銘が並ぶ。そのほとんどは山内姓である。造立年はないが、山麓で話を聞いた山内氏は、明治のころのものと話していた。小島俊一氏の『陸中海岸の石仏』の金華山には「明治維新前までは修験道当山派大金寺で、竜蔵権現を祭った。本尊は水神弁財天(略)海上安全、大漁祈願の神で、大小漁船の信仰が厚い。明治以降は黄金山神社となり、金銀財宝の福神」とある。
 山頂にある金華山石祠は台座もいれると90センチになる立派なもの。石祠が向く先には金華山の島が見えた。

【独り言1】 姥池 登山口の石の平集落で出会った女性に、このあたりのことに詳しい人と紹介されたのが山内太一氏でした。神行堂山山頂に祀られた石祠は金華山であること、そこから30キロ先の金華山が見えることも山内氏のご教示でした。
 神行堂山の東にある坂の貝峠下に、ウバユリに囲まれた血の池があることも山内氏に聞きました。血の池に立ち寄ってみると、杉林の中に赤い水の小さな池でした。峠を越える旅人が殺された血のために赤いとの伝えがあるようです。血の池となると、越中立山や信濃浅間や出羽湯殿山の血の池と姥神を思いだして、姥神を探してしまいます。話のなかの重要な部分が欠落しているような気もしますが、ここに姥神はありませんでした。
 峠道には金次郎仏の墓石もあります。「文政十三寅年(1830)」造立。山内氏の話では、気仙沼の奉公先から帰る途中にお金を奪われ殺された金次郎の墓だそうです。

【独り言2】 ツトッコミョジン 登山口の近くに巨石群があります。そのなかに、善人は通れるが悪人は通れないという胎内くぐりの岩があります。そこに祀られていたのが藁で造った屋敷神で、山内氏は〝つとっこ〟と言っていました。石祠などのない古い時代からあった神の依代で、『日本民俗大辞典』(注)の「ツトッコミョウジン」に「宮城県本吉郡・岩手県気仙沼地方などでいう屋敷神の呼称」とありました。
(注)『日本民俗大辞典』平成12年、吉川弘文堂


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