偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏365石尊山(福島)

2012年02月20日 | 登山

石尊山(せきそんさん) 天狗(てんぐ)

365【データ】石尊山 524メートル▼国土地理院25000地図 田母神(地図に山名無し。神平集落の北東524.3標高点)▼最寄駅 JR磐越東線・小野新町駅▼登山口 福島県小野町皮篭石の神平集落▼石仏 524.3標高点の東にある小ピーク。地図の赤丸

365136523653【案内】ここに案内するのは『小野町の石塔石仏』(昭和61年、小野町)で「地域の人たちが集まって雨乞いを行ったという石尊山と呼んでいる」と紹介されている山。阿武隈山地にある小さな里山である。同書では、その山にある石造物を「頂上に馬頭観音や不動様の像とともに異様な石像が二基ある。修験道に関係ある像とも思われるが、たしかなことはわからない」としている。この石像を見にでかけた。登山口は集落はずれの馬頭観音などの石塔が立つ先。少し登ると左手のピークに大きな岩が見えてくる。異様な石像はその岩の上に祀られていた。二体とも天狗である。大岩中央の石祠が石尊山であろう。それを守護するように二体の天狗が祀られたのだろうが、いまはそれぞれ勝手な場所に立っている。石尊山は神奈川県の丹沢にある大山の雨降神社であり、雨乞い祈願の神であることはこのブログでたびたび紹介してきた。その祭神は大山山頂に祀られた石尊社・大天狗社・小天狗社であり、勧請された山でもこれに倣ったものがあって、中央が石尊山で左右に大天狗と小天狗を祀る例を石仏125石尊山(千葉)石仏245桐生・石尊山(群馬)で案内してきた。したがってこの小野町の石尊山の天狗も大天狗と小天狗に違いない。天狗団扇を持つのが大天狗、横向きに正座しているのが小天狗であろう。天狗の相方としては烏天狗が知られており、この傾向は石造物にもみられる。しかし山岳信仰のある山で見る天狗は神奈川県の堂ヶ尾山でも案内したように、大天狗・小天狗であることが多い。とくに石尊山を勧請した山にはこの傾向が強い。

36543655【独り言】石尊山の石仏は、近くに住む中野昌弘さんに案内していただきました。山麓をうろうろしていたとき、たまたま庭先に出ていた中野さんを見つけて、石仏を尋ねたのがきっかけでした。ただ、中野さんも子供のころに行っただけというので、近所の人に場所の確認をしてからの出発。雪が多いだろうというので長靴姿でした。私もスコップを担いで後に続きました。例年になく寒く雪が多い阿武隈の山に石仏を探すなどという無謀な頼みに、気持ちよく引き受けてくれた75歳の中野さんは元気な人で、ズンズン登ります。そして意外なことに石仏は石尊山の山頂とは別の小さなピークの岩の上に祀られていました。それは頭部のない不動、馬頭観音、石祠など。ところが目的の天狗は一体しか見当たりませんでした。ここで中野さんの昔の記憶がよみがえったのか、雪のなかから倒れていたもう一体を探し出してくれました。倒れていたためすっかり凍りついていました。中野さんのお陰で石尊山の石仏探しは完了です。陽がだいぶ西に傾いたころ山を降り、中野さんの自宅で奥様から温かいお茶の御接待をいただいて石仏探しは終了しました。中野さん、奥様、お世話になりました。

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