偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏番外 堂ヶ尾山(神奈川)

2012年02月04日 | 登山

堂ヶ尾山(どうがおやま) 天狗(てんぐ)

362【データ】堂ヶ尾山 405メートル▼国土地理院25000地図 青野原(地図上に山名なし。小津久の南の山中にある神社記号▼最寄駅 中央本線・藤野駅▼登山口 神奈川県相模原市緑区牧野の小津久バス停▼石仏 堂ヶ尾山山頂の飯綱神社境内

3621【独り言】天狗探し 『ふじの文化財探訪』(1997年、藤野町教育委員会)で見た堂ヶ尾山の飯綱神社にあるという二つの天狗の面=下の写真左=は衝撃的でした。それは千葉県房総の嶺岡浅間山に祀られた石造面=下の写真右=とほぼ同じものがあったからでした。そのなかの口を一文字に結ぶ面の名前をどうするか、悩んだことがありました。その結果『里山の石仏巡礼』(2006年、山と渓谷社)では能楽の天狗の首領などに使われる癋見(べ3622 3623 しみ)形の「鬼面」としました。その後丹沢山中にある大山阿夫利山の「大山伯耆坊」に変更したことはこのブログ133嶺岡浅間で案内したとおりです。そしてこの面と同じものにいつか出合えるかもしれないと思っていたところに、情報が目の前に出てきたのですから驚きました。

 その堂ヶ尾山に二つの天狗面を見に出かけました。面があるはずの飯綱神社は山頂のブロック造り社殿にある木祠。その前に立つ石仏(多聞天・鎮宅不動)についてはブログ362堂ヶ尾山で紹介しました。木祠は二つ。どちらも扉が外れて少し荒れた感じ。『ふじの文化財探訪』にはそれぞれの木祠に一面ずつ天狗が納められていると紹介されていました。向かって右側の木祠に納められていた木札には「飯綱大権現御神霊 奉勧請大天狗 奉勧請小天狗」「昭和四年四月拾五日 再建本祠 氏子全衆」「享和三癸亥正月吉日建築之祠宮破損ニ因リ今回之を再築し以前記載の例に倣ひ此御牘を記し奉安春」とありました。ところが、肝心の天狗面が見当たりません。木祠の中や裏など探したのですが見つかりませんでした。私の見落としか、それとも山麓の人が預かっているのか……。後日、この飯縄権現を奥の院としていた蓮乗院の御住職や、御住職から御紹介していただいた地元の人、それから藤野町の文化財に詳しい人などに尋ねましたが、わかりませんでした。その人たちの話によると、この天狗面は二つとも木型に紙を張り重ねた張子面だそうです=下の写真左は『ふじの文化財探訪』よりコピーしたものです=。

そんなわけで、残念ながら天狗面とは対面できませんでしたが、天狗の癋見形面が飯綱神社にもあるということは、ブログ133嶺岡浅間で示した「大山伯耆坊」説もあやしくなってきました。ただ同様の面は大山阿夫利山や飯綱神社だけでなく、かつて天狗といわれた修験道がかかわった山の神社に隠れているような気がします。そして名称はあまり深く考えないで、堂ヶ尾山の飯綱神社木祠の木札にあった「大天狗」としておいた方がいいのかもしれません。

コメント (1)
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