偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏780海老敷・金毘羅山(千葉)狛犬

2018年02月12日 | 登山

海老敷・金比羅山(こんぴらやま) 狛犬(こまいぬ)

【データ】 海老敷・金毘羅山 208メートル▼最寄駅 JR内房線・館山駅▼登山口 千葉県南房総市海老敷、地図の黒丸印▼石仏 金比羅山山頂、地図の赤丸印▼地図は国土地理院ホームページより
【案内】 金毘羅山へは海老敷集落奥のため池から尾根に取り付くのと、集落の西から車道経由の2ルートがあり、どちらも入口に案内がある。出かけた日は池の土手が工事中だったので、車道から登った。広い山頂の一角に祀られた金毘羅社の神域は、5段1メートル高さに積まれた石垣に囲まれている。

 新旧二基の金毘羅社を護る狛犬は、高さ45センチほどの小さなもので「萬延二年(1861)」、「那古村石工由兵」の作。この日に登った山名金毘羅山、高石山で見た狛犬も同じような大きさだった。いずれも神社に向って右が口を開いた阿形、左が口を閉じた吽形となり、これは仁王と同じ配置である。大人しく蹲踞し、太く大きな眉や顎ひげの処理が単純で愛嬌があるのも、この地方の狛犬の特徴かもしれない。房総の山ではよく狛犬を見かけるが、総じて派手な装いはなく大人しい。地元の砂岩系の石を使っているため、風化も激しい。

【独り言】 獅子像の東漸 昨年夏の石仏公開講座(日本石仏協会主催、大正大学)で、明治大学・川野明正先生の「アジア獅子像の展開-中国の石獅を中心に-」という講演を聞きました。メソポタミアの聖獣ライオンが東の日本で狛犬になるという話です。その話のポイントをいくつかあげてみます。
 狛犬のルーツはライオンが生息していたメソポタミアで、聖獣としてライオンが城門に描かれているのが遺跡から出ている。これに翼がついてグリフィンに、人面になってスフィンクスに変化し、インドではシンハとなってヒンズー教の寺院に取り入れられ、仏教の台座(獅子座)にも引き継がれた。シンハを漢訳したものが「獅子」。
 中国では仏教が入る以前から有翼神獣が青銅器などに描かれていた。その代表が麒麟。後に仏教が入って仏像の左右を護る護法獅子も造られ、仏塔・墓所の左右を護る石獅としても発展する。この段階で阿吽の形も登場する。
 この仏塔・墓所を守護する獅子像は朝鮮半島にも伝わり、日本では古墳時代の三角縁神獣鏡に獅子がみられる。そして飛鳥時代の法隆寺壁画、宮中の調度品にも狛犬がみえ、「狛犬」は平安時代初期の舞楽の文献に登場する。日本最古の石造狛犬は東大寺の石獅子で中国南宋石工の作。
 以上、獅子のメソポタミアから日本への流れを、講演録からごくごく簡単に紹介しました。

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