嫉妬は自分よりも高い地位にある者、自分よりも幸福な状態にある者に対して起る。
だがその差異が絶対的でなく、自分も彼のようになり得ると考へられることが必要である。
全く異質的でなく、共通なものがなければならぬ。
しかも嫉妬は、嫉妬される者の位置に自分を高めようとすることなく、
むしろ彼を自分の位置に低めようとするのが普通である。
嫉妬がより高いものを目差しているように見えるのは表面上のことである、
それは本質的には平均的なものに向かっているのである。
この点、愛がその本性においてつねにより高いものに憧れるのと異なっている。
このようにして嫉妬は、愛と相反する性質のものとして、
人間的な愛に何か補わねばならぬものがあるかの如く、
絶えずその中に干渉してくるのである。