~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

~『空気人形』~ ※ネタバレ少々

2009-10-03 21:08:58 | 映画【日本】

  映画『空気人形』:公式サイト


誕生日

正直言って、この監督の作風は私好みではないので、
近年の作品は観ていないんですけど、
この『空気人形』は好きな女優(ペ・ドゥナ)が主演しているので
大阪公開初日に早速、観に行って来ました。

 
是枝監督の新作映画『空気人形』はペ・ドゥナ主演。

この監督はペ・ドゥナのファンとの事。
ペ・ドゥナはほとんどの場面出ずっぱりだったし、
ペ・ドゥナが地上に舞い降りた天使に見えるように
撮影監督に撮ってもらっていたような気がしましたよ。
ただ、空気人形の顔とペ・ドゥナの顔があまり似ていなかったよなぁ~。。。

空気人形・のぞみ〔ぺ・ドゥナ〕が
線のあるストッキングの中年の受付嬢:佳子〔余貴美子〕に
線を消す為のファンデーション?を渡す場面、
空気人形・のぞみがゲームセンターではしゃぐ場面は
サバサバしたドゥナちゃんの素が出てしまっていたけど、
言葉を覚えていくにつれ、台詞の間が少しずつ変わっていくところや、
心を持ってからは人形の持ち主:秀雄〔板尾創路〕に抱かれる事に戸惑い始める動揺を
瞬きせずにゆっくり横に動かす目で演じきっていましたね。
私は100%完璧に役になりきれる器用な女優(俳優)よりも
ドゥナちゃんのようにふと素が出てしまう人のほうが愛嬌あって魅力的だと思う。
前作『
グエムル -漢江の怪物- - goo 映画』ではパッとしなかったけど、

 
◆『グエムル -漢江の怪物-』◆ ※ネタバレ含

『空気人形』ではドゥナちゃんの透明感を活かせていたよね。

それにしても小顔・細くスラリと長い脚・長身スレンダーな
ドゥナちゃんの体型は素晴らしいよね。
他の韓国女優で空気人形を演じる事が出来そうな
雰囲気と演技力を兼ね備えているのはカン・ヘジョンぐらいかな?
日本の女優では上野樹里ぐらいかしらね?

出番は少なかったけど、人形師役:オダギリジョーの優しい瞳が印象的だったな。
オダギリジョーが空気人形・のぞみが恋する純一役を演じたほうが良かった気もしましたよ。

説明的な演出ではなかったので観やすかったです。
ただ、この監督の作風は観客に解釈を委ねるというよりも
監督自身が答えを導きだす事を無意識のうちに避けてしまっている感じがするのよね。
すなわち、“逃げ”を感じてしまうから私はこういう作風好きになれない・・・。
でも、この作品は“逃げ”というか“負の要素”を風に溶け込ませ、
タンポポの白い綿が空っぽな人達の心に
和らぎを運ぶような余韻を残しているのが印象深かったです。

22 コメント

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なるほどー。 (rose_chocolat)
2009-10-03 22:24:18
すごく興味深く拝読しました。

自分はこの映画のオダジョはすごく良かったように思いました。 ポイントだけでキーワードを言う役って今まであまりなかったから。

>監督自身が答えを導きだす事を無意識のうちに避けてしまっている
何か深いですねー。 ここ、ぜひ解説して下さい! お願いします。 ・・・ってそんなことをコメント欄でお願いする人も珍しいですよね(笑)
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オダジョ、監督。 (BC)
2009-10-04 00:14:56
rose_chocolatさん、こんばんは。
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*

オダジョの人形師役は良かったんだけど、
純一役の俳優さんが地味に思えてしまったので
オダジョが純一役を演じたほうが良かったような気もしたの。
特にベッドシーンではオダジョのほうが艶やかな色香を出せる気もしましたよ。

“監督自身が答えを導きだす事を無意識のうちに避けてしまっている”
に関してはそれほど深くないかもしれないけど(^-^ゞ
監督さんの中には自分の中で答え(考え)を定めてその上で
“あなたはこれを観てどう思いますか?”
と観客にストレートに突きつけるように提示するラストにする人がいますよね。
(最近の映画では『縞模様のパジャマの少年』や『クリーン』など。)
私はそういうラストを観て、
「これはいったいどういう意味なんだろう?」
と想像したり思いをめぐらせたり出来る映画が好きなんですけど、
『空気人形』の監督さんはラストをオブラートに包んでいてつかみどころがないと言うか
ハッキリ言えば、ズルイ気がしてしまうので私好みの作風ではないんですよ・・・。
あっでも、タンポポの白い綿が舞い飛んでいるのは
ファンタジックでキレイだと思いましたよ♪
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同じくです (KLY)
2009-10-04 00:53:36
この作品のオダジョーは最近見た中で一番良かったと思いました。人形師としての優しさがにじみ出る言葉が実にいい感じで。
そもそも空気人形の存在理由は一つしかないわけで。秀雄にそれを否定されたら彼女は存在している意味がなくなってしまう。通常ならそこで終わりだけれども、心を持ってしまったが故に人形師の下をたずねる訳ですよね。自分は一体何のために存在しているのかを知るために。
まさかオダジョーのあのセリフがラストになって出てくるとは思いませんでしたけど…。
ペ・ドゥナちゃんの演技力もさることながら、醸し出す雰囲気に魅了されてました。
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なるほどなるほど。 (rose_chocolat)
2009-10-04 07:32:11
ご丁寧にお答え下さりありがとうございます。
確かに、
>ベッドシーンではオダジョのほうが艶やかな色香を出せる
・・・と思います^^
最後はどうなるのかと考えるとそこもまた面白そうですね。
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「そうなの!」 (ituka)
2009-10-04 10:25:33
ペ・ドゥナのもの凄く安心したというか、
ホッとした「そうなの!?」「そうだったんだ~」
これを聞いた時に、一抹の不安がココロを過りました!(笑)

自分のうすい影を気にする行為が可愛かったです。

脇に登場する人物らが自力で立ち直っていく様子は
人形との関わりが少なかった分、もうひとつ盛り上がらなかったです。

でも、こういう映画は好きです^^
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人形師。 (BC)
2009-10-04 14:56:52
KLYさん、こんにちは。
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*

私がオダジョーを映画で観たのは『悲夢』以来でしたけど、
『悲夢』よりかは人間味があったように感じました。
人形師が同じ形状で人形を作っても、
人形は持ち主の扱われ方によって損傷の度合いが違い、形相も変わり、
やがて、捨てられていく・・・。
人形の運命(さだめ)を知る者ならではの達観した語りでしたね。

>まさかオダジョーのあのセリフがラストになって出てくるとは思いませんでしたけど…。

そうですよね、まさかと思いましたよ。
オダジョー演じる人形師が穏やかな眼差しで解説した事だったので
まさかその言葉が“キーワード”になる展開とはビックリでしたよ。
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ぺ・ドゥナちゃんとオダジョ。 (BC)
2009-10-04 16:10:24
rose_chocolatさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。(*^-^*

空気人形・のぞみ:ぺ・ドゥナちゃんと
人形師:オダジョが台詞を交わす場面は穏やかで神聖な雰囲気だったので
ぺ・ドゥナちゃんとオダジョが主演の映画も観たいなぁ~と思ったりもしました♪
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含み言葉。 (BC)
2009-10-04 16:56:39
itukaさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。(*^-^*

空気人形・のぞみはある日突然、心を持ってしまったものの、家族も友達もいない・・・。
空虚で孤独だから自分と同類の
“心を持ってしまった空気人形”
との出逢いを求めていたのかもしれないですね。
だからこそ、線のあるストッキングの中年受付嬢を自分と同類だと勘違いしたり、
レンタルビデオ店の若い従業員・純一の言葉を真に受けて自分と同類だと勘違いしたり・・・。
空気人形・のぞみは言葉を覚え始めたばかりの幼子のような感性なので
大人の人間達が何気に使う“含み言葉”を全く知らず、
言葉自体をありのまま受け止めてしまうからこそ、
招いたスリラー?悲劇?だったのかしらね?

>脇に登場する人物らが自力で立ち直っていく様子は
人形との関わりが少なかった分、もうひとつ盛り上がらなかったです。

確かに、空気人形とのつながりが希薄だったので、ピンとこなかったですね・・・。
監督は散文詩みたいな演出にしたかったのかもしれないけど、
物語の盛り上がりには欠けていましたね・・・。
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こんばんは! (kira)
2009-10-06 01:49:52
最近、ほとんど韓国映画を観ていなかったので、
ぺ・ドゥナ、初めての作品でした。
空洞を抱えながら暮らす人たちと関わりながら、
生まれたての子供のような心でそこにいる空気人形。
とても自然に彼女の変化を受け止められました。
音楽も映像も、合ってたので、後味の悪さが残らなくて良かったです~
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ペ・ドゥナ、柔らか。 (BC)
2009-10-06 21:05:31
kiraさん、こんばんは。
コメントありがとうございました。(*^-^*

ペ・ドゥナは数年前に日本映画『リンダ リンダ リンダ』に主演していたので、
韓国映画を観ない人達にも知られているようですよ。
ペ・ドゥナは際立った美人ではないけど、
高校生役から主婦役、シリアスな役もコミカルな役も自然に演じられる女優さん。
この『空気人形』では無垢な演技で新たな一面を魅せてくれたような気がしました。

物語のクライマックスは衝撃的ではあったけど、
ラストは音楽や映像で柔らかく演出していたのが良かったですね。
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