~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『大地(Social Distancing Version)』□ ※ネタバレ有

2020-07-12 17:17:57 | 〔RR〕


  『大地(Social Distancing Version) 』:公式サイト

私は三谷幸喜さんの舞台は初めて観ました。
映画やドラマはシュールなライトコメディぽい印象だったので、
所々、小ネタで笑い取りにいっているのは三谷作品の王道な印象だったけど、
主題はシビアかつシリアスで今の世相を反映した社会派の作風に少し驚きました。

マウンティング意識は女性の場合なら、それを時に意図してあえてほのめかすことで
自ら鼓舞していたりするから女性特有の意識だと私は思い込んでいたけど、
男性は体裁を真っ先に気にしてマウンティング意識をあからさまに見せないだけで、
実は男性のほうが自分と相手を比べて無能な者には容赦ないのかもしれない・・・。
それはいつの時代でも変わらない人間の醜い側面なのかと思うとやるせないですね・・・。

11日のクライマックスの大泉洋さんの目を真っ赤にして目力がみなぎっていた演技物凄かったな。
それまでは共演者の演技を受けて飄々と掛け合っていた感じだっただけに、
クライマックスは観ていて胸が熱くなった。
キャストそれぞれ見せ場があったけど、クライマックスで大泉さんが美味しいとこを全て持っていった感じ。^^
それでこそ、主演俳優なんだろうな。
三流俳優の役だったけど、大泉さんは一流の役者さんですね。

山本耕史さんは若い頃は華奢でナイーブなイメージだったけど、
今は体型からして逞しくなって骨太な役者さんになったよね。
往年の映画スター風に気取ってカッコつけた動きに自己満足している役だけど、
今の観客の感覚で観たらそれが滑稽で可笑しい。^^
そういう真面目面白い感を絶妙に醸し出していて独特の味がありました。

竜星涼くんはフォトコールの時は滑舌微妙だったけど、11日も12日もその点はさほど気にならなかったです。
11日のカーテンコールは足早にはけた感じでツンデレにも見えたけど、
12日は女形役らしい柔らかな仕草の佇まいで美しかった。
竜星くんは可哀想な役柄というか難役が多いよね。
早い段階で役のキャラクターをつかんでキープ出来るし、技巧と感性のバランスも取れるようになってきている。
何より泣きの芝居が上達してきているのも強みになってきていると思う。
まだ若いから感情表現は一直線だけど、一つだけではない多数の感情が入り混じった
深みのある表情や声の表現が出来るようになれば一皮むけると思う。
そういう意味では泣き笑い演技が得意な大泉さんとの共演は得るモノが大きいと思います。

格子状のセットに少し傾斜をつけているのは観客が奥のキャストも見渡せるようにする為だろうけど、
そうする事でソーシャルディスタンスによって常に間隔が開いてしまうキャスト同志の立ち位置の違和感を
客席から観た時に実際のステージではキャスト同志が立ち位置2m以上離れて芝居していても
観客の視覚的にはキャスト同志が近い距離で立っているように想起させ、自然な立ち位置に見せる為でもあるんだろうな。
私はPARCO劇場へは今年2月に行きましたが、客席の各列の段差が高めな設計が特色なので、
観客の視線の角度を考慮したセットの組み方なのかもしれないですね。

カーテンコール全キャストが一人一人登場するのが良かったですね。
一人一人にスポットが当たるし、皆さん一人一人が主役という感じがするから。
このご時世に配慮して1回限りのカーテンコールだからその分一人一人に時間確保出来る。
無駄に何度もカーテンコールするよりも効率的だと感じましたよ。

そういったわかるかわからないかの細部でも配慮が行き届いている。
三谷さんの舞台愛・演劇愛が伝わってくる作品でした。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Nakaji)
2020-10-11 22:27:43
私もこの舞台オンラインで見ました。
なんかすごいな!って感心しながら見てました。
すごーーく三谷さんって舞台愛があふれているな~ってぐっときました!
舞台愛。 (BC)
2020-10-13 00:20:44
Nakajiさん、こんばんは。

三谷さんは映画やドラマも手掛けてはいるけど、ホームグラウンドは演劇で舞台愛が溢れていますよね。

キャスト一人一人にも愛情を注いでその人に合う役を与えている印象ですし、観客への感謝の気持ちも伝わってきますね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。