The Wonder Stuff(ワンダー・スタッフ)の18年ぶりの来日公演から3日経ったが、まだまだ余韻が残っている。
感動と感激と興奮と、楽しさと感謝と嬉しさと、夢心地なのと終わった後のちょっとした寂しさが入り混じって、もうお腹いっぱい胸いっぱいだ。
怒涛の全25曲 !! 本当に充実した中身のこゆ~いライヴだった。
来日のニュースを知った時、そもそもThe Wonder Stuffのライヴをこの目で見て生の音を聴けるというだけで夢のようだった。その夢が現実となったのだ。
94年の無念の来日キャンセルからは15年。前日に目の前にいるMiles(マイルス)を見て実感し、ついにその日を迎えた。
この日は、通常のライヴよりも30分遅い開場・開演時間だった。これは、主催のVinyl Junkieさんの計らいで、ファン層を考えてのことだったらしい。
普段は荷物を預けたりしないのだが、この日はロッカーに預け、気合を入れて迷わず最前に行って時間が来るのを待っていた。でもなかなか人が集まらず、だんだん不安になってきた。ステージからフロアを見てガラガラだったら、メンバーがガッカリするだろうし、もう二度と来てくれないかも知れない・・・。
でも、開演時間前になると後方は空いていたものの、それなりに埋まってきたのでひと安心。
開演時間の19:30が近付くにつれ、会場のテンションもだんだん上がって行くのが感じられ、真ん中にいた人たちのコールが合図のように自然と手拍子が起き、始まる前からあんなに湧いたライヴは初めてだった。私たちみんなの待ちきれない気持ちは、きっと袖にいるメンバーにも伝わっていたことだろう。
やがて10分ほど押して客電が落ち、ステージの照明が瞬き出して、90年代の音楽がDJ風に大音量で流れてきた。
ついに、Erica(エリカ)を除くメンバー4人が登場。大歓声と拍手が沸き起こった。MilesとベースのMark(マーク)は、手に持ったワイン・ボトルを掲げて登場。この日のワインは料理ワインではなく、ちゃんとしたワインだった。そしてなんと、Milesは素足にサンダル履き! これには笑った。
彼らの1stアルバム 『The Eight Legged Groove Machine』 の1曲目でもある 「Red Berry Joy Town」 でスタート。ビートに合わせた声援が続く。“あぁ~~~、ワンダー・スタッフだぁ~~~っ!” と誰もが思ったことだろう。
本当に、自分の目の前でThe Wonder Stuffがプレイしていることが信じられなかった。その音が、夢ではないことを証明してくれた。
『The Eight Legged Groove Machine』 の曲が続く。当たり前だが、バンド・セットでもMilesの声は昔とちっとも変わっていない。
「It's Yer Money I'm After, Baby」 では、おどけた表情で歌うMilesの、両頬のエクボがとってもキュートで、足を交差させて笑顔でギターを弾く姿のMilesが、確実にそこに居た。
そして、コーラスはしないので、黙々とベースを弾いているMarkが、めちゃくちゃ華奢な体つきだったのにはちょっと驚いた。
“Give Give Give?” と言ってやったのは、もちろん 「Give, Give, Give Me More, More, More」。まだ始まったばかりだったけど、“もっともっと~!” という気持ちが高ぶるばかりだった。
「Like A Merry Go Round」 でのMalc(マルク)のコーラスも健在。“STOP!” のところで、ピタッと音が止まるのが気持ち良かった。
ここでヴァイオリンのErica嬢が登場し、一気にステージが華やいだ。黒地に赤の大きな水玉模様の、裾が広がったドレスに身を包み、泣きボクロを付けて今夜もお化粧バッチリ。ヒールのないブーツを履いているのだが、とても長身なので本当にステージ映えし、指先のない黒いレースの手袋をはめてドレスの裾を揺らしながら軽やかに、そして力強く弾くEricaに自然と目が行った。
「The Animals And Me」 の複雑なドラミングにEricaの躍動的なヴァイオリンの音色が絡み、本当にカッコ良かった。
“ちょっと静かな曲をやるよ。Malcは最年長だからね。ちょっとゆっくりしなきゃ” と言ってアコギに持ち替えて 「Some Sad Someone」 をしっとりと聴かせてくれた。
“みんな手伝ってくれる? ずっとやってると息切れして痛々しい顔になるんだ” と顔をゆがませながら言って、Dのキーで “ha,ha,ha,ha” とMilesの後に続いて触りを練習して 「Mother And I」。“ha,ha,ha,ha” のところに入る前に手で合図して、Milesの指揮に合わせながらみんなで大合唱して楽しかった。
Ericaが去って、Milesがギターを替えて “Groove Machineをやるよ” と言って 「Grin」 が始まった。この曲は、Malcのギターが特徴。力強いメロディがMilesの歌と調和して冴え渡る。そして、“So!” と叫ぶ。楽しい~! 正にGroove Machine。心地良いグルーヴ感と、音がキメのところで停止するところが何ともカッコ良かった。
“馬の歌を歌うよ” と言って歌った 「Ruby Horse」 では、ドラムのAndres(アンドレス)がカウ・ベルを叩きながら大活躍だった。最後はもちろん、 “Ha Ha Ha~” の笑い声で締めくくった。
Milesは、滴る汗を腕で何度も拭いながら(後ろに置かれたタオルは一度も使わなかった)ニコニコ顔で歌い、「Poison」 まで勢いよく突っ走った。
ここで一旦メンバーがハケた。1stから全曲やるので、2部構成になると聞いていたが、もう終わり?と思った人たちからのアンコールを求める声が続いた。
インターバルは10分くらいだっただろうか・・・。再びEricaも含めた5人が登場すると、自分も含め、みんなとっても温かい気持ちで彼らを迎えているんだという気持ちが、割れんばかりの歓声と拍手に籠められていた。
第2部一発目は、大大大好きな曲 「On The Ropes」 で幕を開けた。Ericaのイントロの力強いメロディを聴くと、鳥肌が立った。1部は比較的ゆったりとして見ていられたのだが、この曲の途中からグワ~ンと一気に盛り上がるところに突入した途端、大波が押し寄せてきた。チビの私はもみくちゃにされそうになりながら、ピョンピョン飛び跳ねて楽しんだ。だって、本当に嬉しくて、楽しかったのだから。Malcもピョンピョン跳ねているのを見て、改めて一緒の時を過ごしているんだ~という実感が沸いた。
“僕らの故郷、バーミンガムのことを歌った曲” とMilesが言うと、もう何の曲だかはみんな承知、「Caught In My Shadow」 だ。バーミンガム市庁舎前で撮影されたこの曲のPVが頭の中をよぎって行った。そして歌に入ると、もう大合唱の嵐。そして、一気に時を90年代に戻してくれた。たまらなく好きな曲を生で聴けている嬉しさに、涙が出てきた。
続いて 「Golden Green」。軽やかで爽やかなグルーヴに酔いしれながら、もちろん忘れずに “HUP!HUP!HUP・HUP・HUP・HUP!” と叫び、笑顔が耐えなかった。
そして、「Don't Let Me Down, Gently」 とキラー・チューンが続いたあと、「Song Without An End」 で終了。アグレッシヴに盛り上がったあと、Malcが去り、MarkとAndresが去って、アウトロでMilesとEricaふたりだけになり、Milesはモニターに腰掛け、何度も何度も “Thank you!” とクチパクであちこちに言いながら、ヴァイオリンの哀しげなメロディでしっとりと終わった。
鳴り止まない拍手の中、再び5人が登場。Milesが “この曲は、Malcの子供がいちばん好きな曲なんだ” と言ってやったのが 「Mission Drive」。Malcの弾くギターのイントロが流れてくると、またまた泣けてきた。
二度目の歌詞 “all the shite you say” を合図かのように、この日二回目の大波が押し寄せた。躍動的に激しく舞うように弾く、Ericaのヴァイオリンの音色が素晴らしかった。
続く 「Circlesquare」 でも、Ericaが大活躍。The Wonder Stuffの曲に、フィドルの音は欠かせない。オリジナル・メンバーのMartin Bell(マーティン・ベル)の陽気な音色とはまた違った、Ericaならではの音色で楽しませてくれた。
チューニングをするMilesに “More!” と声が飛ぶと、“そんなにせかさないでよ。僕を殺す気?” とニコニコしながらおどけるMiles。この時だったかどうかよく覚えていないが、“リクエストある?” と言うと、あちこちでいろんな曲名が乱れ飛んだ。それに大きく頷くMilesだったが、結局リクエスト曲はやらなかった。
“牛のこと歌ったの、覚えてる?” と言ってやった 「The Size Of A Cow」 もハンド・クラップ&大合唱で、バンドとオーディエンスとの一体感が素晴らしかった。
最後の曲は、ライヴ・アルバムと 『The Eight Legged Groove Machine』 の20周年記念リ・レコーディング・アルバム収録の 「Ten Trenches Deep」 で、エネルギッシュに締めくくった。
まだまだ終わらないで~と言わんばかりに、拍手が鳴り止まない。客電も点かないので、期待を胸にみんな叫びまくる中、MilesとEricaがふたりで登場。
“この曲は、今はバンドでプレイしていないんだ” と言って、バッキングVo.で共演した亡きKirsty MacColl(カースティ・マッコール)のことを含むように言ったあと、「Welcome To The Cheap Seats」 をふたりで演奏。アコースティックもいいけど、今度は是非バンド・セットでやってね、と思ったのは正直な気持ち。
“Radio Ass Kiss!” とMilesが叫び、“次は 『HUP』 でまた戻ってくるよ~” と言って、最後に 「Radio Ass Kiss」。本当の本当にこれが最後だったけど、もっともっと続けてほしい、もっともっと聴きたい曲いっぱいあるよ~と言う気持ちはみんな同じだったはず。
でも、これで最後じゃないんだし、2時間近くもやってくれたことに心から感謝。そして、The Wonder Stuffを呼んでくれたVinyl Junkieさんに本当にありがとうという気持ちでいっぱいだ。
終わった後の場内では、“楽しかったね~!” と言う声があちこちから聞こえ、みんなステキな笑顔だったのが印象的だった。そして、The Wonder Stuffを愛する多くの人たちと、一緒の時間を分かちあえたことも嬉しかった。
再始動後の2枚のアルバムからの曲はなかったので、正に “おかえりなさいライヴ” だった。次回の来日では、きっと新しい曲もやってくれることだろう。
開演前にMiles&EricaのCDを物販コーナーで買ったら、サイン会があるとのことで整理券を貰えた。
実は何だかそんな予感がしていて、もし何かあったら・・・と思い、『escape from rubbish island』 を持ってきていたのだった。このアルバムを選んだのは、ジャケットにスペースがあるのと、今いる3人が参加しているアルバムだからということもあった。
並んでいると、Malcと目が合い “Hi!” と言ってにっこりしてくれたので、緊張してきた私。
まずMarkから。タトゥーがすごい!って言うと、タトゥーにあるのと同じ絵を描いてくれて、おまけにシャツを脱いでその絵を見せてくれた。
続いてMalc。もうカンゲキで・・・来てくれて本当にありがとう、もう今の気持ちは言い表せないとか何とか言ったら、それをMilesも聞いていてくれていてニコニコしながら頷いてくれていた。
Malcの方から手を差し伸べてくれて握手したあと、Milesが突然立ち上がって、えっ!?と思っている間もなくほっぺにチュッ! うわ~ビックリした~。でもめちゃくちゃ嬉しかった。
ドキドキしながら気を取り直して、ちゃんとMilesの前に行き、もう一度来てくれたお礼とどんなに待っていたかを伝えてサインをもらい、握手しながらまた来てくれることを約束してくれた。
Ericaに、綺麗な肌を保つ秘訣は?と聞いたら、サンシャインを浴びないことよと、当たり前のような答えが返ってきたが、イギリスは曇り空が多いからいいねって言ったら、そうなのよ~とニコニコ。とっても可愛かった。
最後にAndresにもまた来てねと言って、ほくほく気分でリキッドルームを出た。
駅までの道や、家に着くまでの電車の中でも楽しくって仕方なかった。iPodで曲を聴きながら思い出してはニンマリしていたかもなので、変に思われていたかも・・・。
★Setlist★
・Red Berry Joy Town
・No, For The 13th Time
・It's Yer Money I'm After, Baby
・Give, Give, Give Me More, More, More
・Like A Merry Go Round
・The Animals and Me
・Rue The Day
・Some Sad Someone
・Mother and I
・Grin
・A Wish Away
・Ruby Horse
・Unbearable
・Poison
~interval~
・On The Ropes
・Caught In My Shadow
・Golden Green
・Don't Let Me Down, Gently
・A Song Without An End
~encore pt.1~
・Mission Drive
・Circlesquare
・The Size Of A Cow
・Ten Trenches Deep
~encore pt.2~
・Welcome To The Cheap Seats (Miles & Erica)
・Radio Ass kiss
(もっと、もっと、もっと ワンダー・スタッフより )
セットリストを貰えたのだが、よく見ると①と書いてあった。そう、25曲もやってくれたセットリストは、3枚に渡っていたのだった。
僕もワンダー・スタッフのライブに行きました。
本当に最高な時間を過ごせました!
僕は洋楽は大好きだけど、英語は苦手なんで、マイルスがなんて言っていたのか気になっていたんですが、それがわかって嬉しくなりました。
ライブのときの興奮がまた蘇ってくるようなこんな素敵な記事を書いてくれてありがとうございます。
ほんとにまた来日してくれるといいですね!
あのときが眼前によみがえるように詳細で、且つ、熱い気持ちもいっぱい詰まっていて、読んで感動しました。
最前で堪能されたのですね!私は2-3列目の
中央付近で見ていました。
私もサイン会のとき「日本のサイトを永遠やります!」みたいにマイルスに言ったら、マイルスがほっぺにチュしてくれてびっくりしました^^;。そのときエリカに”わぉ”みたいな表情されましたのが思い出深いです^^;
今度HUPでbloomさんにお会いできることを祈りまして!
長文なのに読んで頂き、ありがとうございました。
あの夜は、本当に最高のひとときでしたね!
今まで数多く見たライヴの中でも、5本の指に確実に入る、素晴らしいライヴでした。
本当に、再来日を切に望みます。皆さんと一緒に、楽しい時間をまた共有したいです。
セットリストを見ながら書いていたら、つい長くなってしまったのですが、書きながらも思い出してはひとりではしゃいでいました。(笑)
本当に楽しくって嬉しくて、忘れられないライヴになりました。最高でした。
HUPで是非また戻ってきてほしいです。私は個人的にフジには行きにくい環境なので、フジに出ても単独でやってほしいです。
いつか、お会いできるといいですね♪