なんとか音が取れましたが、特に今回が一番難しかったです!(全編大変難しいですが、それでも特に) テンポはかなり落としてBPM100ほどにしてますが、これがなんとか弾ける限界です・・・。それでもかなりヨレヨレの演奏ですみません。
音を取る中で感じたのは、ジョン・ビレジクジャン氏の弾きかたがあってこそ、このようにアレンジされた彼の「アジーザ」の演奏が可能なのだ、ということでした。左手の肘の角度がギター演奏にやや近く、ネックをかなり自分に引き付けた状態にして、右手もサウンドホールに相当近めの位置になっています。こうしないと大変演奏がしにくいです。「速い運指」のウード奏者は数多いですが、もっとウードの伝統的な動きというか、音を構成しやすいというか。ビレジクジャン氏の音の構成は伝統からかなりはみ出しているので(独自さは彼自身も認めています)、伝統のままの運指や弾きかたでは大変厳しい、というのがよくわかりました。今回はエジプト・ウードのヴィンテージものを使用しています。チューニングは低い方からD,G,A,d,g,c。
さらにサウンドホール寄りの打弦位置にしたのが以下です。ビレジクジャン氏独特のふくよかな音に少しでも近づけた…でしょうか???
アバディ・アル・ジョハールも時々この位置で弾いてまろやかな音色にする場合があります。
彼の演奏を真似て弾いた後は、指の疲れが伝統奏法の奏者のものとは違うのに気がつきます。左手の指を目一杯開いて限界まで動かすので、そういう疲れです。
この演奏の耳コピ企画は次回のラスト・パートで終わりになります。畏れ多い企画でしたが、彼の音作りの解析に少しでも役立てればいいと思います。ビレジクジャン氏本人からも「私もウードを弾いて55年だから、いきなりすべてのテクニックを真似するのは無理だろうけど、大丈夫! がんばってゆっくり少しづつ努力すれば、いずれ世界中の素晴らしいウード奏者のような技術が身につくよ。でも私も一生かかっても極めることはできないだろう。私もまだまだこの素晴らしいウード音楽の一弟子でしかないんだよ」と励ましの言葉をいただいて感激しています。