東京の弥生美術館で、ただいま「武部本一郎展」が開催中です。
武部氏といえば、ある年代以上のSFファンにとっては今も「日本一のSF画家」。
そして氏の描いた「火星のプリンセス」デジャー・ソリスは、SF史上に燦然と輝く
不滅の傑作です。
というわけで生ソリスを見るべく、猛暑の中を根津くんだりまで行ってまいりました。
今回は武部氏の没後初めての回顧展となるそうで、氏がSF画家として名を成す前の
紙芝居や児童書の挿絵に始まり、くだんのデジャー・ソリスが表紙を飾ったバローズの
『火星のプリンセス』を含む数々のSFアート、そして遺作となった絵本の挿画までを
一堂に集めた、実に見ごたえのある内容となっています。
展示は建物の1階と2階を使って行われており、1階では武部氏の手がけた紙芝居や
児童書の表紙絵、そして現存数が少ないとされる油絵を展示しています。
しかし武部氏がポプラ社のルパンとか少年探偵団のシリーズを描いていたとは初耳です。
偉人の伝記や『ガラスのうさぎ』などの名作も手がけているので、作家名は知らなくても
武部氏の絵には接していたことがあるという人も、意外と多いかもしれません。
一緒に展示されていた油絵では、「ニーベルンゲンの歌」を題材にドラゴン退治を描いた
「ジーグフリート」が、とにかくすばらしい。
ドラゴンの亡骸の前で血染めの指をしゃぶる美形のジーグフリートは、どこか耽美的で
これが児童画の展覧会に出されたというのがちょっと不思議なくらいです。
ちなみに現在の所有者は中島梓氏。なるほど、所有者のご趣味がよくわかります(笑)。
2階に上がると、そこは懐かしの名作SF・ファンタジーの表紙を飾った傑作が目白押し。
壁際に無造作な感じで飾られた『火星のプリンセス』の表紙画は、絵の前に立つと照明が
自分の体で遮られてしまいます。ただでさえ薄暗い館内なのに、これじゃ絵が見えないよ!
しょうがないので右から見たり左から見たり離れてみたりと、小さな原画の前をウロウロ。
幸いここは男鹿展ほど人がいないので、文句を言われることもありません。
生デジャー・ソリスは長い年月を経ても変わらぬ美しさで、絵の状態も良好です。
印刷では出せない色の美しさも堪能できましたが、いかんせん館内が暗いのには参りました。
この絵だけでも、もっと良く見える展示方法を考えて欲しかった…。
館内には火星シリーズのほかにも「月シリーズ」「金星シリーズ」「ターザン」「ペルシダー」
などのバローズ作品ほか、早川書房版コナンや「ウィッチ・ワールド」、「反地球シリーズ」、
「レムリアン・サーガ」などのイラストなども飾られており、武部氏の仕事はわが国における
ヒロイック・ファンタジーの歴史そのものなのだと、つくづく思い知らされました。
他には半村良氏の『産霊山秘録』の挿絵など、「SFマガジン」に掲載されたイラストの数々や
幻の久保書店刊「Q-Tブックス」各表紙の原画まで展示され、SFファンなら感涙すること必至。
おみやげには絵ハガキ5枚に加え、思わずポスターまで買ってしまいました。
ポスターは紙が薄くてペナペナなため、家に着いたら端がくしゃくしゃでしたが…。
今回展示された絵のほとんどは個人蔵ということなので、これだけの作品を一挙に見られるのは
これが最後になるかもしれません。
SF・ファンタジーに興味の無い方にも楽しめると思いますので、この機会をお見逃し無く。
美術館の公式HPはこちら。入館料も800円と格安です。
武部氏といえば、ある年代以上のSFファンにとっては今も「日本一のSF画家」。
そして氏の描いた「火星のプリンセス」デジャー・ソリスは、SF史上に燦然と輝く
不滅の傑作です。
というわけで生ソリスを見るべく、猛暑の中を根津くんだりまで行ってまいりました。
今回は武部氏の没後初めての回顧展となるそうで、氏がSF画家として名を成す前の
紙芝居や児童書の挿絵に始まり、くだんのデジャー・ソリスが表紙を飾ったバローズの
『火星のプリンセス』を含む数々のSFアート、そして遺作となった絵本の挿画までを
一堂に集めた、実に見ごたえのある内容となっています。
展示は建物の1階と2階を使って行われており、1階では武部氏の手がけた紙芝居や
児童書の表紙絵、そして現存数が少ないとされる油絵を展示しています。
しかし武部氏がポプラ社のルパンとか少年探偵団のシリーズを描いていたとは初耳です。
偉人の伝記や『ガラスのうさぎ』などの名作も手がけているので、作家名は知らなくても
武部氏の絵には接していたことがあるという人も、意外と多いかもしれません。
一緒に展示されていた油絵では、「ニーベルンゲンの歌」を題材にドラゴン退治を描いた
「ジーグフリート」が、とにかくすばらしい。
ドラゴンの亡骸の前で血染めの指をしゃぶる美形のジーグフリートは、どこか耽美的で
これが児童画の展覧会に出されたというのがちょっと不思議なくらいです。
ちなみに現在の所有者は中島梓氏。なるほど、所有者のご趣味がよくわかります(笑)。
2階に上がると、そこは懐かしの名作SF・ファンタジーの表紙を飾った傑作が目白押し。
壁際に無造作な感じで飾られた『火星のプリンセス』の表紙画は、絵の前に立つと照明が
自分の体で遮られてしまいます。ただでさえ薄暗い館内なのに、これじゃ絵が見えないよ!
しょうがないので右から見たり左から見たり離れてみたりと、小さな原画の前をウロウロ。
幸いここは男鹿展ほど人がいないので、文句を言われることもありません。
生デジャー・ソリスは長い年月を経ても変わらぬ美しさで、絵の状態も良好です。
印刷では出せない色の美しさも堪能できましたが、いかんせん館内が暗いのには参りました。
この絵だけでも、もっと良く見える展示方法を考えて欲しかった…。
館内には火星シリーズのほかにも「月シリーズ」「金星シリーズ」「ターザン」「ペルシダー」
などのバローズ作品ほか、早川書房版コナンや「ウィッチ・ワールド」、「反地球シリーズ」、
「レムリアン・サーガ」などのイラストなども飾られており、武部氏の仕事はわが国における
ヒロイック・ファンタジーの歴史そのものなのだと、つくづく思い知らされました。
他には半村良氏の『産霊山秘録』の挿絵など、「SFマガジン」に掲載されたイラストの数々や
幻の久保書店刊「Q-Tブックス」各表紙の原画まで展示され、SFファンなら感涙すること必至。
おみやげには絵ハガキ5枚に加え、思わずポスターまで買ってしまいました。
ポスターは紙が薄くてペナペナなため、家に着いたら端がくしゃくしゃでしたが…。
今回展示された絵のほとんどは個人蔵ということなので、これだけの作品を一挙に見られるのは
これが最後になるかもしれません。
SF・ファンタジーに興味の無い方にも楽しめると思いますので、この機会をお見逃し無く。
美術館の公式HPはこちら。入館料も800円と格安です。
ソリス姫、永遠の美しさですね。
武部氏の画集に携わった方のコメントを見つけました。
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0105_01.html
ご参考に^^。
喜んでもらえたようで、お勧めした甲斐がありました。
>武部氏の画集に携わった方のコメントを見つけました。
うは~、創元の小浜さんの文章ですね。
「武部本一郎画伯の描くデジャー・ソリスは、34年前と変わらず
火星でたたずみ、世代が二めぐりしようとも三めぐりしようとも、
なお甦り、つねに現代的でありつづける。」う~ん名文。
この人がいなければ、火星シリーズの復刊は無かったかもしれません。
今回の展示でもいろいろとご尽力されていたようですね。
ちなみに武部氏の生涯を綴ったリーフレットの記事を書かれた
大橋博之さんのHPでは、小浜さんと開会前の下見に行った話が
書かれています。
ttp://www.garamon.jp.org/
さらにジーグフリートのオーナー、中島梓さんの文章はこちら。
ttp://homepage2.nifty.com/kaguraclub/07-7-20p1.html
これまた思い入れたっぷりで、読んでてじ~んとくるものがあります。
武部氏を語るとき、みんなついつい熱くなってしまいがちなのは
氏へのリスペクトの大きさから来るものなのでしょうね。