わからないことを知ろう

読書ブログを中心に政治、古代史、民俗学、小説などについて書きたいと思います

「戦争が遺したもの」 鶴見俊輔 上野千鶴子 小熊英二 

2015-08-17 10:48:09 | 日記
7月にお亡くなりになられた鶴見俊輔さんを囲んで、上野さんと小熊さんがインタビューする
形で書かれた本です。

以前は、鶴見さんは、とても有名な思想家。ということしか知りませんでした。
テレビで特集されているのを見て、簡単なライフストーリーを知りました。

この本を読んで改めて、戦後を通じて、日本の思想をリードする大きな星だったのだなと思いました。

上野さんも、小熊さんも鶴見さんを敬愛されている様子ですが、対談では決してスポイルすることなく、
ときには鶴見さんを追い詰める形になっていることもあります。
そのような二人にも、誠実に答えていらっしゃる姿が印象的です。

戦中、従軍慰安所の仕事をされていたことは、意外でした。
自分も加害者であること、結局は殺さなかったけれど、いつ殺してもおかしくない状況だったことを話されています。

姉和子の手助けもあり、戦後「思想の科学」を刊行。
丸山眞男との交友もエピソードを交えて談話されています。
本当に生きた時代の証人であったのですね。

声なき声の会、べ兵連と時代を動かした運動の先頭にいつもおられました。

時代の息遣いが伝わってくる本でした。

自分が何かに迷ってしまったとき、鶴見さんの言葉を基準にして行けば、良いかなと
思いました。

こんなことを言うと、「自分で考えていくのが大事ですよ」とおしかりを受けるかもしれませんが。