蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って7月で18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

こうなると文学賞は?

2015-10-07 00:45:43 | 文学
ノーベル賞が勢いづいている。医学生理学賞の大村氏に続いて今日は物理学賞に梶田氏が続き、連日のノーベル賞受賞ラッシュに日本国中がわいた。こうなると一番の本命である、村上がどう思っているかだ。おそらく心穏やかではないはずだ。こうなったら文学賞も続けて日本人にやっちまえとなるか、いや、日本人ばかりにノーベル賞を与えるのもいかがなものかという意見が対立しかねない。そもそも文学賞は人類の平和と進歩に貢献した者に与えられる賞なので、文学が果たして平和と進歩に貢献しているかどうかということには疑問が残る。一部のハルキストは村上を読むことによって安寧を得られると反論するかもしれないが、あの軟弱な文章は、ジュニア小説以下だ。出版社勤務時代の詩人の先輩は、『1Q84?3ページしか読まなかったよ』と笑って答えてくれた。もっともその先輩は、我が心の中のノーベル文学賞候補である丸山健二には理解があまりなかった。もっぱら吉行淳之介で意気投合し、神保町の『日本特価書籍』で、ふたりして吉行の新刊本を買ったりしたものだ。
村上がノーベル文学賞の候補になって何年になるだろう。蟷螂は日本のノーベル文学賞は、三島由紀夫と安部公房、そして我らの丸山健二以外にはいないと思う。三島も安部も故人なので受賞資格はないが、我らの丸山健二は存命の上、筆力旺盛である。硬質な文体で、近年は難解なテーマを更に難解に掘り下げた作品が多いが、若い頃の作品には時代の壁を突き破る勢いがあった。だが、丸山健二は日本の文壇とは距離をおいているので、おそらくノーベル賞財団には推薦されないだろう。また、丸山健二の作品が翻訳されて世界中で出版されたという話もきかない。いまの日本の文学界で、丸山健二以外にノーベル文学賞に値する作家はいるのだろうか。もし村上がノーベル文学賞を受賞したら、書店は儲かるかもしれないが、真の読書家は眉をひそめるだろう。そして村上は今夜も眠れない夜を過ごすことだろう。
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