朝は、予想に反して空気が冷たくて、Tシャツのパジャマにシーツをかぶっただけでは、肌寒く、綿の織物のベッドカバーを引き上げた。
夫は珍しくゆっくり寝ていた。聞けば、昨夜、蕁麻疹が出て薬を飲もうと思っていたのに忘れて寝てしまい、朝方にかゆくて目が覚めて、薬を飲んだのだそうだ。抗ヒスタミンの薬だ。それじゃあ起きれないよね。
起きても書き物をする場所もないので、私もベッドでごろごろ・・・。
9時にタクシーが来るはずだから、8時に食堂へ行く。夫は、英国式朝食Ehglish breakfast、私は、ベリーズ式朝食を食べた。
結構たっぷり・・・卵は、普通は、2個。私は1個にしてもらった。これにコーヒー、オレンジジュースがつく。BZ$15。
夫の方は、卵2個にベーコン、ソーセージ、トースト、コーヒーとオレンジ・ジュース。分量は、たっぷり。呼び方が、English breakfastと言うのがちょっと妙・・・。私の感覚からするとアメリカンブラックファースト。BZ$15。
ちょうどそこに、昨日の昼間のレセプションの女性がいたので、私たちの今日のタクシーの手配をしてくれたか、確認すると、してないと言う。昨夜の女性からは、何の申し送りもなかったという。ガーン!急いでやってくれると言う。
9時前にレセプションに行ったら、手配ができたと言う。よかった。レセプションの外で待った。9時前にKIAの車(韓国の自動車)が来て、行き先を確かめて、乗り込んだ。ナンバープレイトが、タクシーの緑ではないのが、ちょっと気になったが、ホテルと個々に契約している車の場合、タクシーでないこともある・・・。
人柄のよさそうな人でほっとした。道中ちょっとしたことも説明してくれて、期待していなかったので、得をしたような気になった。話しているうちに、この人は、昨日の夜のレセプションのぽっちゃりした女性のお父さんだとわかる。(ぎゃぁー)
と言うことは、昨夜の彼女は、私たちには、自分でアレンジしないと言っておきながら、ちゃんと自分でアレンジしてくれたんだ。と言うことは、今朝別のレセプションの人が、別のドライバーをアレンジしてくれたはずだ・・・マズ
今更じたばたしても仕方ないので、そのことは忘れることにした。
20分ぐらい見晴らしのよい丘のようなところを走った。川に着く。フェリーのようなもので、向こう岸に渡るといわれていたが、これだった。
手作りっぽい。ここを渡るためだけの屋根のついた床という感じ、ワイヤーを張ってあって、それを引っ張って、進む。これだったら、危険はない。
しかも、手漕ぎ、・・・と言うか手回し・・・面白いね。
ゆっくり進んで、数分で向こう岸に着いた。
そこで、また車に乗って、5分ぐらいで、シュナントニッチ遺跡に着いた。
入場料は、US$5
規模がかなり大きい。海外からの旅行者ばかりで、数人ずつのグループがいくつか、どのグループも案内人がついている。ガイド兼運転手かもしれない。私たちのように自分たちだけで回っている人は少ない。私は、ガイドつきが良いけど、遺跡とかは、考古学の単語は難しいのでガイドさんに説明してもらってもわからないことが多い。夫は、自分の好きなところで、好きなだけ写真を撮りたいので、あんまりガイドさんを頼みたがらない。
でも自分たちだけだと、せっかく行っても、肝心の物を見逃したり、行ってはいけない所にいったり、やってはいけない事をしてしまったりする可能性もあるので、他のグループを横目で見ながら行動したりするんだけれど、たまたま、周りに人がいなかった。
エル・カスティージョと呼ばれる高さ40mのピラミッドに登った。壁面のレリーフがかなりよい状態で残っており興味深い。これは本物なのか?(やっぱりガイドさんがいるよね。)
さすがにここは、観光客が多い。下を見たら、アメリカからのヨガのグループかな?すぐ近くの木には、ホエザルの群れがいる。赤ちゃんもいるが、まったく人間を気にかけていないようだ。
レリーフのあたりで、どっちへ行っていいのかわからなくなった。夫は、もともと写真を撮りたくて来ている。別に天辺まで登らなくてもいいのだ。私は、理由はないけど、天辺まで上りたい。夫は、山間部出身で足腰は丈夫なのだが、最近は、あんまり上りたがらない。特に今日は、抗ヒスタミンのせいで、だるいらしい。私は、上りたいのだが、方向感覚がよくなくて、自分で行っても戻ってこれないことがよくある。一人で行くのは、ためらわれた。
さっきから、迷彩服に機関銃を方から下げた、兵士が(遺跡の警備をしている。ここは、国境に近いし、ジャングルの中だから、こういう装備なんだろうね。)私のほうをちらちら見ていた。近づいてきた。なんか怪しまれているのかな?こういう時は、こっちから話しかけるほうが良い。
「オフィサー、この上は、登って良いんでしょうか?」
「もちろん!」
「どういけばいい?」
「案内してあげるょ。」
意外な展開、あわてて、後を追う。小太りの彼は、さすがに兵士、軽い足取りで上っていく。石で囲まれた小さな部屋のようなところがあって、私たちは、覗いただけで引き返したが、その一番奥に細くて急な階段があるのだ。こういう階段は、急いで上ると後で、心臓に来る。私は、ゆっくり目に登って行った。
そしたら、案外簡単に、一番上に出た。
最後の壁の上には登れないが、最後の壁の周りをぐるっと回れるようになっている。
わぁ~お!これはすばらしい。360度完全に見渡せる。
しかもアルトゥンハ遺跡より遠くまで見渡せる。
兵士は、端っこで、だらっーと腰を下ろし、携帯でメールしてた。なるほど彼には彼の目的があったんだね。こんなところでも電波が届くのだろうか?
しばらくして、迷わないように、ちょっと恐る恐る降りた。道を間違えるほどのことはないのだが、そういうところでも迷ってしまう私のなのです。夫のいるところまで戻ってほっとして、ここで辞めては、夫も悔やむだろうと思って、夫に、強く薦めて、もう一度登った。夫はいやそうに登ったが、やっぱり上からの眺めはすばらしかった。私も、夫と一緒のほうが、なんとなく落ち着くんだよね。
もう一度、ピラミッドの上のすばらしい時間を堪能した。天辺に上れないのは、残念だが、一番上の壁に人一人くらい通れる隙間があって、そこに入って、天を仰ぎこっそり私の儀式をやった。
このところ、私は、遺跡の登るたびにちょっとした儀式をやっている・・・願いをかけている。
もう一度登れてよかった。これで、思い残すことはない。その頃には、ほかの観光客がたくさん登ってきて上は、結構な賑わいになっていた。
赤い矢印の所まで、登った。
満足して、タクシーに戻った。2時間には、少し早かったが、思ったよりも時間がかかった。1時間でなくて良かった。渡し舟に乗って、来た道を戻った。なかなか快適なドライブだ。町の観光客用の通りで降ろしてもらった。11時半。とても楽しいツアーだった。