バンクーバーから21日午後3時半ごろ、帰国した。地震の余波で日本はかなり変わったといろんな人から聞いていたので、かなり身構えて帰国したが、とりあえず空港の移動通路が止まっていたり、駅の標識の電気が消えていたりしていたこと以外には、特に出国前との変化は分からなかった。とはいえ、日本人なら共有すべき傷跡みたいなのが抜け落ちてしまったような、自分は日本人として欠陥を抱えてしまったのではないかというような、変な後ろめたさを引きずっている。
部屋の中もさぞかし混乱をきたしているに違いないとおそるおそる引き戸をあけたが、予想に反して以外に整然としており、乱雑に積み上げていた本の一部が崩れ、倒れているぐらいが、わたしのアパートにおける震災の爪跡だった。食器などは台所の天井近くに据えつけられた棚にいい加減に並べていたので、確実に床の上に落下し、バラバラに割れて惨状をきたしているとばかりと思っていたが、食器たちは2月にどたばたと部屋を後にした時のまま行儀よくならんでいた。拍子抜けといえば拍子抜けである。
出発時、空港に持って行くのを忘れた携帯電話の電源を五カ月ぶりに入れると、早速、非通知電話がかかってきた。読売新聞大阪本社文化部の記者からで、わたしの『空白の五マイル』が「第一回梅棹忠夫 山と探検文学賞」を受賞したので、コメントをくださいとの電話だった。
開高賞、大宅賞に続き、三つ目の賞となり、大変ありがたい。だが正直言って、そこまでの内容を自分は書けていたのだろうかという戸惑いは、たしかにある。
部屋の中もさぞかし混乱をきたしているに違いないとおそるおそる引き戸をあけたが、予想に反して以外に整然としており、乱雑に積み上げていた本の一部が崩れ、倒れているぐらいが、わたしのアパートにおける震災の爪跡だった。食器などは台所の天井近くに据えつけられた棚にいい加減に並べていたので、確実に床の上に落下し、バラバラに割れて惨状をきたしているとばかりと思っていたが、食器たちは2月にどたばたと部屋を後にした時のまま行儀よくならんでいた。拍子抜けといえば拍子抜けである。
出発時、空港に持って行くのを忘れた携帯電話の電源を五カ月ぶりに入れると、早速、非通知電話がかかってきた。読売新聞大阪本社文化部の記者からで、わたしの『空白の五マイル』が「第一回梅棹忠夫 山と探検文学賞」を受賞したので、コメントをくださいとの電話だった。
開高賞、大宅賞に続き、三つ目の賞となり、大変ありがたい。だが正直言って、そこまでの内容を自分は書けていたのだろうかという戸惑いは、たしかにある。
トリプル受賞おめでとうございます。
おめでとうございます。