永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

でいせん【泥線】

2013年08月27日 | た行
海底に泥が沈殿しはじめる線。


「外海に面した海では深さ20メートルのところにあり、これより浅い所では、波や潮流が激しくて泥は沈殿しない」のだそうだ。

 へえ、そうなのか。どうりで、浜辺の海がいつもにごっているわけだ。前から不思議だったのだ。

 すべての海がにごっているわけではなくて、澄んでいる海とにごっている海がある。漠然と、にごった海の近くには工場があったり、住宅からの生活排水が流れ込んでいるのだろうと思っていたけれども、冷静に考えると今どきそんなことが許されるわけがない。あれは汚れているのではなくて、沈殿しない泥が海水に混じっているのだ。

 そういえば澄んだ海は、サンゴ礁があったり、深い入り江になっていたりする。澄んでいるのは波や潮流がおだやかだからなのだ。澄んだ海がきれいで、にごった海は汚いというのは、間違った認識だったのだ。

 ネットで調べていると、泥線のもうひとつの意味を見つけた。シロアリがつくる仮の通路も泥線というのだそうだ。泥線を見つけたら、すぐに駆除したほうがいいかもしれない。


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