バンビの独り言

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「原発を止めても大丈夫(東電、中電、関電編)」名古屋大学 高野雅夫先生

2011-07-09 06:41:00 | 高野先生(だいずせんせい)
豊田のヒーロー、名古屋大学の高野先生(だいずせんせい)の最新ブログを紹介します。

高野先生、本当に優しい先生で、人に順位をつけないし、威張ったり罵ったり脅したり煽ったりしない。
誰に対してもフェアであったかい。
子どもに向けるまなざしも優しい。

高野先生を嫌いな人って、私が知る限り、誰もいない気がする。
会う人みーんな、高野先生の笑顔と優しさに癒され、ノックアウトされちゃいます。

だから、高野先生の発信を拡散したい一方、叩かれたら嫌だなぁという思いもある。
でも、「逃げも隠れもしません」って覚悟して発信してくれてるから、やっぱり多くの方に真実を知って欲しい。
高野先生、ありがとう!

………転載します………

「原発震災(33)原発を止めても大丈夫(東電、中電、関電編)」(2011-07-07)

http://blog.goo.ne.jp/daizusensei/e/5d6a77320c641c30b6ed32cf97bde105

 7月に入り、東京電力、中部電力、関西電力管内では、電力会社の要請により、事業所では15%の節電に取り組んでいるところも多い。
また個人でも、さまざまに節電に取り組んでいる。

 電力会社は、ピーク時の電力供給力を設定し、一方で需要予測を行い、それに応じて消費者に節電の要請をしている。
もちろん、ピーク需要がまかなえなければ、家庭でブレーカーが飛ぶように、広い範囲で突然の停電が発生してしまう。
そうなれば社会的・経済的な損失は計り知れない。
交通信号や病院などの電源が失われれば人命にかかわる事態にもなりかねない。
それは絶対に避けなければならない。

 しかしながら、電力会社が電力供給力と言っているものは、いったい何なのだろうか。
一般には電力会社が持っている発電設備容量を示しているととらえられている。

 それぞれの電力会社では原子力発電所が相当に停止している。
東京電力は、3月11日に発生した東日本大地震で被災した福島第一、第二原発がすべて停止している。
また2007年の新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の2,3,4号機が依然として止まっている。
中部電力は政府の要請により、地震・津波対策が万全となるまで、中部電力唯一の浜岡原子力発電所が停止している。
関西電力では、定期点検で停止した美浜原発1、3号機、高浜原発1号機、大飯原発3号機が、地元自治体の認可が下りないので、運転が再開できないでいる。

 一般の人々の認識は、これらの原子力発電所が止まっているために、電力供給力が低下し、需要予測に対して電力が不足するので、そのために節電をしなくてはいけない、というものである。
本当にそうなのだろうか?

 そもそも、電力会社の言う電力供給力とは何なのだろうか。実はこれがよくわからないのである。

 まず、ハードウェアとしての発電設備容量について見てみよう。
これには統計書がある。
最新のものは、経済産業省資源エネルギー庁・ガス事業部編 『平成22年度電源開発の概要』奥村出版2011年で、この中の「平成21年度末電気事業者の発電設備」に、電力会社および卸電力事業者、卸供給事業者のすべての発電設備についての情報が載っている。
この統計書は市販されており、誰でも入手できる。
もちろんその数値は、電力事業者から経産省に届け出られたものである。

 ここで、卸電力事業者とは、主に電源開発株式会社のことである。
この会社は国策会社として、戦後ずっと、電力会社に電力を卸すことで、日本の電力供給を支えてきた。
卸供給事業者は、ガス会社、石油会社、製鉄会社など、電力会社以外の民間企業が、電力会社に電力を販売する目的で発電している事業者である。
これらの事業者は、電力会社に電力を卸すわけなので、消費者からみれば、これらの事業者の発電設備容量は、電力会社の電力供給力の一部と見ることができる。



 表1は、この夏の状況を整理したものである。
『平成22年度電源開発の概要』に掲載されている、東電、中電、関電の一般水力、火力、揚水の各発電所の設備容量に、この夏稼働している原子力発電所の設備容量を計上してある。
さらにこれに、電源開発が持っている揚水発電所の設備容量を、所在地を管内にもつ各電力会社に振り分けた。

 さらに、電源開発の火力発電所と、卸供給事業者の発電設備(すべて火力)を各電力会社に振り分けた。
どの事業者がどの電力会社に電気を卸すかは、この統計書には書かれていない。
したがって、この振り分けは私の推測と仮定であり、それを示したのが表3である。
これは原則として、所在地を管内に持つ電力会社に振り分けた。
ただ、電源開発が平成に入ってから建設した、中国、四国、九州地方にある四つの巨大な石炭火力発電所は、関西電力に電力を卸すものとして振り分けた。
大需要地を抱え、美浜、高浜、大飯の各原子力発電所の一部が止まっている関電に優先的に電力を供給することは、国策として考えた場合に妥当な選択であろう。



 さらに、東京電力では、震災後に緊急に設置する発電設備http://www.tepco.co.jp/cc/pressroom/hukkyuu-j.htmlが200万kWに上る。 

 表1をみると、この夏の状況では、三つの電力会社とも発電容量の上ではピーク需要を上回る。
当初からの今年の夏のピーク需要予測で比較すれば、予備率((発電容量-ピーク需要予測)/発電容量×100で計算した)は、東電、中電、関電すべてで10%を超える。
したがって、節電すら必要ないレベルである。

 昨年度並み猛暑の予測でも、中電、関電は、10%以上の予備率で問題ない。
東電は3.3%なので少し足りない。
関電のホームページhttp://www1.kepco.co.jp/notice/gosetsumei_2011.pdfによると、予備率は最低5%はほしいということなので、あと1.7%足りないということである。
猛暑の日の午後2時から4時の2時間、ほんの少しの節電で足りる設備容量である。

 もっとも、昨年並み猛暑で、東京電力は6000万kWを予想しているが、このような需要になるかどうかは疑問である。
すでに今年の6月24日は各地で35℃を超えるたいへんな猛暑だったが、ピーク電力は東京電力で4400万kW程度であった。
すでに日常的に節電が行われているし、震災の影響で事業者の電力需要が下がっているのではないだろうか。
従来どおり、5500万kWを想定しておけばよいのではないかと思う。
そうであれば、節電はまったく必要ない。

 原子力が全部止まった場合に、水力、火力の設備容量でどれだけ需要をまかなえるかを試算したのが、表2である。
中部電力については、表1と同じ内容である。
つまり、中部電力は浜岡原子力発電所を全部止めても、十分にやっていける設備容量がある。
実際、中部電力のホームページhttp://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/teirei/3157131_7032.htmlによれば、中電としても予備率4.8%を確保できたとしている。
もう浜岡原子力発電所の運転を再開する必要はない。

 関西電力では、電源開発の中国、四国、九州地方にある大型石炭火力の電力を受け入れるという仮定の上での話であるが、こちらも、原子力発電所が全部止まっても、十分やっていける。

 東京電力では、ピークでは少し足りない。
5500万kWのピーク需要に対しては、予備率3.8%で、少し足りない。
しかしながら、わずかに節電すれば、原子力発電所をすべて止めても大丈夫である。

 これが何を意味しているかというと、従来は、原子力を優先して運転しており、その分、火力や水力の設備が止まっていたということである。逆に火力、水力を優先して運転すれば、原子力を動かす必要はないということだ。

 もちろん、以上の数字は、設備容量というハードウェアの量を意味している。
実際は、火力なら燃料を投入し、水力なら必要な水量が確保される必要がある。
また定期点検で止める必要があるし、故障などで止まることもある。
設備容量にこれらソフトウェアの要素が加味されて、実際の電力供給力となる。

 おそらく、電力会社が発表している電力供給力は、主に火力の燃料調達によって決まっているのではないかと想像する。
たしかに、燃料は前年度に調達しているだろう。
今年のように計画外に原子力が止まると、余分な燃料を急ぎ調達する必要がある。
たしかに、これはたいへん難しいと想像される。

 石油はもう生産のピークに達していて、供給余力がない。
これから数年後には石油は必要な需要すべてを満たすことはできなくなると思われる。
天然ガス、石炭も調達が難しくなっている。 
燃料に関しては、各国の調達合戦の様相を呈しており、一電力会社で対応できるレベルの話ではなくなっている。
したがって、調達に関しては、国が外交的手段を駆使して責任を持つ必要があるだろう。

 そういう事情は理解しうるものである。
電力会社は、設備容量と電力供給力の差がなにに起因するのか、消費者に詳細に説明する必要があると私は考える。
節電を要請する前に、まずは納得できる説明をしてほしい。

 実際は、そのような説明なしに、電力会社からの節電要請がある。
そうすると、人々は、「原子力が止まると電力が不足する」という認識を自然に持ってしまう。
それは、少なくとも設備容量の上ではまちがった認識なのであり、電力会社が、人々に事実と異なる認識を持たせるように世論操作をしているととられてもしかたがない。

 あるいは、事態を正確に表現するならば、消費者が節電すればするほど、電力会社は余分な火力の燃料を使う必要がないので、その分、経費を節約できて、黒字の減少を止めることができる。
消費者に節電を要請するのは、消費者が困る停電のリスクを避けるというよりは、電力会社の経営を助けてほしい、ということであろう。

 最近出てきた、エネルギーシフトの議論にも混乱があると思う。
これを、「原子力から自然エネルギーへのシフト」ととらえると、この先、何十年も原子力を動かさなければならない、という論拠になってしまう。
そうではなく、上で見たように、火力、水力を原子力よりも優先して運用すれば、現時点ですでに、原子力を動かす必要はないのである。

 実際、中部電力では、原子力が全部止まっていても何の問題もない。
浜岡原子力発電所を再稼働する理由はないのである。
あるとしたら、電力会社が投資を回収できないという経営上の問題があるだけだ。
電力会社の経営リスクと引き換えに、放射能汚染のリスクを消費者に課すことが、消費者として納得できるだろうか。

 誤解のないように指摘しておくが、私は、節電は不要という立場ではない。
原子力発電を止めたうえで、化石燃料の消費と二酸化炭素の排出を抑えるという意味で、できるだけ節電するべきと考えている。
しかし、まず大事なのは、原子力発電所を止めることであって、その後に節電に取り組むべきと考える。
そして、節電量が相当な量になったときに、自然エネルギー社会へのシフトが現実的な日程にのぼることになる。
それは十年、二十年という時間のかかる課題だろう。
その日をめざして努力していきたい。

………………………………

2011.3.17のブログ
「原発震災(7)原発を全部止めたら?」
http://blog.goo.ne.jp/daizusensei/e/4fdfb6bead84198c5ecbd05030cc142d

「原発震災(34)原発を止めても大丈夫(全国編)」
http://blog.goo.ne.jp/daizusensei/e/180d8f57c8e0db5590d5c6fa6c068212

高野先生がテレビ出演した動画はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/banbiblog/e/1fcf0edfccfa7659006944a429d92298

「節電しなくても電力は足りる」って言ってる高野先生こそが、エネルギー自給して小さな電力で幸せに暮らす「豊かさ再考」を私たちに気づかせて下さっている先生なのです。
http://blog.goo.ne.jp/banbiblog/e/cf71d8e0bbc86ce486953594f1748497


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