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日本はアメリカの属国/フィナンシャルタイムズより

2012-08-24 12:35:26 | アジア
 フィナンシャルタイムズは、日本がアメリカの「属国」であると明記し、脱亜論で150年前に飛び出した日本が、いまアジアに代えるべき場所がないことを指摘している。

 日本の戦争犯罪を追及し、問題にしてきた多くの市民運動家や歴史家の言う通りの状況となり、そのことが―今までもわかってはいたが口にはしなかった―英国の高級紙にもはっきりと乗るようになった。

 「属国」が一流の国であるわけも、大国であるわけもない。

 世界は日本をアメリカのみじめな、そして寄る辺ない属国だと―こう然と―話し始めたのだ。

「(2012年8月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

日本の民主党は3年前に政権を取った時、外交政策を抜本的に見直すことを約束した。民主党は、米国に対する「過度な依存」や中国との緊張関係に対処することで、米中両国との関係を再調整したいと考えていた。

 当時の鳩山由紀夫首相の言葉を借りるなら、米国一極支配から多極化しゆく世界の中で、日本はアジアが「基本的な生活空間」であることを再発見するはずだった。

瓦解した民主党の構想

 これは壮大な構想だったが、今ではズタズタになっている。日中間の緊張が再燃した後、今週、日本政府が駐中国大使の交代を決めると、構想の瓦解は一段と鮮明になった。

 日本の統治下にある尖閣諸島(中国名は釣魚島)を巡る舌戦が再び繰り広げられた後、先週末には中国各地の都市で反日デモが勃発した。

 民主党は政権を取ってから、より緊密な対中関係を構築することに失敗してきた。日本にとって間違いなく最も重要な同盟国である米国との関係は、米軍基地合意を巡る日本の対応の遅さに米国が何年も苛立ちを募らせてきた後で、ほぼ最悪の状態にある。

 日本は駐中国大使を交代させるだけではない。ワシントンとソウルにも新たな大使を送り込む予定だ。駐韓国大使の交代は、韓国との同様の領土紛争に続く動きだ。

 日本が70年前に地域の大部分を征服しようとしたアジア諸国と難しい関係が続いているのには、明らかな理由がある。

第2次世界大戦より前にさかのぼる根深い問題

 領土や歴史教科書、戦争記念碑、漁業権、埋蔵石油を巡る論争はその一部にすぎない。すべての問題の根底にあるのは、日本の戦時中の行為と(少なくとも近隣諸国の目からすれば)日本が自らの行為をきちんと悔い改めていないことだ。

 日本が特に中国、より一般的にはアジアとの間で抱える問題は、第2次世界大戦よりも前にさかのぼる。この事実は問題解決を一段と困難にするため、実に残念なことだ。

  1885年、日本の新聞に「脱亜論」と題した匿名の社説が掲載された。1万円札に描かれている元武士の近代化論者、福沢諭吉が執筆したとされる社説は、中華思想の世界を退け、西洋の学問を受け入れるよう主張した。

 こうした考え方が1868年の日本の明治維新の基礎だった。すなわち、侵入してくる欧米列強の植民地略奪から日本を守ることを目的とした大規模な近代化プログラムだ。

 日本はやることなすことにおいて、他国を侵略する慣行も含めて、西洋人の真似をした。これは残忍で悲劇的な結果を招いた。第2次世界大戦終結後、日本は西側陣営に残った。当初、米国の占領下に置かれた日本は、それ以来ずっと、軍を維持したり厳密に独立した外交政策を追求したりする権利を奪われ、米国との属国関係が続いている。

 日本が戦時中に何をしたのか十分理解している日本人は大勢いる。多くの日本軍兵士が勇敢にも、戦時中の残虐行為について口を開いた。日本政府は戦時中の行為について、数えきれないほどの場面で謝罪してきた。しかし、日本はいくつかの理由から、ドイツほど完全に「歴史問題」に取り組むことができなかった。

 1つは、その名の下に戦争が戦われた天皇が、その座にとどまったことだ。そして、もう1つは、戦後にアジアが冷戦の凍結状態に陥ったことだった。イデオロギーによる分断について和解できる見込みはほとんどなかった。冷戦が後退していくと、歴史に関する不快な問題が、ぬかるみから再び頭をもたげた。


尖閣諸島を巡る日中双方の言い分

 尖閣諸島を巡る論争は、日本の植民地主義の始まりまでさかのぼる。日本は1885年に尖閣諸島の調査を行った。福沢諭吉の「脱亜論」の社説が掲載されたのとほぼ同時期のことだ。

 島が誰かの影響下にあることを示す証拠はないとして、日本は1895年に尖閣諸島を日本領土に組み込んだ。

 中国政府は、問題の諸島は16世紀から中国の地図に記されていると主張する。中国の観点からすると、日本は西側に感化された植民地支配に乗り出した時に島を占領した。戦後、島は米国の管理下に置かれたが、1972年に沖縄返還の一環として日本に戻された。

 中国政府は、そもそも米国のものではないのだから、米国には島を日本に返還する権利がなかったと主張している。

 周到に準備された理由から、歴史的な憎悪を生かし続けることは中国政府にとって都合がいい。中国共産党の正統性の一部は、日本の侵略と戦う役割に由来している。

 小平は後に歴史的な相違を葬ろうとしたが、もっと最近の中国指導者は再び問題を掘り返している。日本の残虐行為が満載された教科書や博物館はどこにでも見られる。

 また、中国政府は日本のことを、太平洋地域における米国の影響力の代理と見なしている。無人の尖閣諸島を守る米国の決意を試すことで、中国政府は日米間にくさびを打ち込もうとしているのかもしれない。そうであれば、尖閣諸島は、台頭する中国と米国とのずっと大きな戦略的対立の一部になる。

 一方、このプロセスを中国政府が完全に掌握しているわけでもない。何しろ、先週、尖閣諸島に赴いた中国の国家主義者の中には、反政府活動家も含まれていた。

「脱亜」から150年、戻る道が見つからない日本

 摩擦がどう収まるのか、なかなか分からない。唯一の長期的な解決策は、欧州連合(EU)の線に沿った、何らかの形のアジアの政治共同体だろう。これは敵対関係にあった国々を制度的に結束させる取り組みになる。

 しかし、向こう数年間、あるいは数十年のうちに、そうしたプロジェクトが勢いを増す見込みは、まさにゼロだ。150年前にアジアを去った日本は、容易に戻る手段がないことに気づかされている。

By David Pilling
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-08-24 12:58:52
やっぱり日本はアメリカの属国だったのですね。
日本を陰で見えないように操っているのでしょうか。
政治家、官僚、マスコミなど抱き込んでいるんでしょうかね~。
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