ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

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《読書》安原顯『安原顯の乱聴日記』音楽之友社(その2)

2007-02-23 05:01:32 | 読書
(承前)

○同業者の悪口
CDの「解説」を見ると、岩浪洋三さんが書いている。彼の綾戸智絵評価は辛かった。ぼくと岩浪さんはしばしば会っているにもかかわらず、小林桂の話など、一度も聞いたことがない。要するに岩浪さんはジャズに飽き飽きし、嫌いになっているのだ。ならばこの業界から足を洗えばいいようなものだが、それでは食っていけない。そこで仕方なく、イヤイヤ「仕事として」やっているのではないか。しかし、岩浪さんはそれでもいいだろうが、現場で身体を張ってるプレイヤーたちは、たまったものではない。岩浪さんに「なぜ綾戸を認めないの?」と問うたところ、「ダイナ・ワシントンと比べると……」みたいなことを言っていた。これでは批評以前、何かを言ったことにはならない。つまり新人作家が出た折、「ドストエフスキーと比べると……」と批判するのと同じだからだ。嫌いならどこが、なぜ嫌いなのか、駄目というなら、具体的にどこが駄目かをきちんと書き、語ってこそ批評というものだろう。ましてや、不世出の大型新人が登場した場合、批評家のすることはただ一つ、良いところを見つけ、それを伸ばすよう進言することではないのか。昔からぼくは、ジャズ批評家の存在など、まったく認めていない。せいぜい趣味が高じ、人より多少ジャズを聴いているだけのご仁ばかりだからだ。(p.227)

 中山康樹『スイングジャーナル青春録』(経書房)は誉めてました。

 寺島靖国氏とは仲が良いようです。
『音の書斎』(音楽之友社)を持っている人は、もう一度、93頁~97頁を開いてみてほしい。彼の書斎が載っているからだ。モトヒロに言わせると、寺島宅の装置、この半年間で大幅に変わったとのこと。『音の書斎』を見れば分かるように、彼の書斎は本、LP、CD、10インチ、EPが所狭しと積み上げられ、帽子掛けには一本数十万円というオーディオ・ケーブルが無数にぶら下がってもいる。その部屋の中央に、スピーカーがどーんと据えられ(高さ1・4m、幅84cm、奥行80cm、重量200㎏)、二つのスピーカーの間にはフランス製JDFのモノーラル・アンプが二台(ペアで四八〇万円也!)、これまたどかーんと置かれているのだ。その二台のJDFを収めたラックもスピーカーの下に敷く台も、特注品で、値段はいうところの「時価!」らしい。しかし、この一〇〇キロもするラックを中央に置いたことで、低音がぐぐぐっと前面に出てきたと寺島さんは満足そうだった。
 スピーカーはレイ・オーディオRM-6V(ペアで三九六万円)だが、彼はその上に、さらにJEMのトゥイーターTS208を補足している。このトゥイーターも、ペアで一二○万円也!(しかしこれまた翌九八年には買い替えたとのこと)。それやこれやで、いま使っているシステムだけでも締めて約一〇〇〇万円という計算になる。そのスピーカーの右横にはアンプ群がずらりと並び、マーク・レヴィンソン№26Lは、もはや「お払い箱」とかで(モトヒロが密かに狙っているらしい)、現在はハンドメイドの特注プリアンプ「寺島モデル!」(むろん「時価」だが、最低でも一二○万円はするだろうとはモトヒロの言)を使用、CDプレーヤーはCEC TL1(四五万円)、D/AコンバーターはセータのDSPPRO BASIC(四八万円)とのラインナップである。さらに驚くことに、つい最近プリアンプとD/Aコンバーターを繋ぐケーブル(な、なんと、二本で一一〇万円![その後、九八年、二本で一二○万円のケーブルも買う!] 帽子掛けに無造作にかけられたケーブルの総額も、おそらく凄い値段になっているはずだ)を買ってしまい、音が断然良くなったと、ご本人は至極ご満悦の様子。この、あまりに個性的かつスケールの大きい装置というか「寺島靖国のオーディオ思想」を前に、ぽくは音を聴く前から、すでに口アングリ状態に陥ってしまう。(pp.15~16)

 ジャズ喫茶ってよっぽど儲かるんですかね。

○現代音楽好き
また、最初に買ったLPは一九五五年、ブーレーズ/シュトックハウゼン『ル・マルトー・サン・メートル/ツァイトマセ』、園田高弘の弾く『諸井誠/湯浅譲二のピアノ・ソナタ集』、ジャズは一九五八年の『チェット・ベイカー&ヒズ・クルー』と、六〇年の『クール・ストラッティン』だった。後者は輸入盤で、一枚三三〇〇円もした。(pp.94~95)

○あらすじ紹介
 「こんな面白い評伝、読んだことがない」(pp.117~126)では、早崎隆志『コルンゴルトとその時代-“現代”に翻弄された天才作曲家-』みすず書房 (1998)が紹介されていましたが、なんと延々8ページ以上にわたってあらすじが書かれているだけ。これはちょっとひどいんじゃないでしょうか。全般的にあらすじ紹介が多いです。

○五味康佑について
 「五味康佑を読み、久しぶりに心洗われる」(pp.73~79)では五味康佑について書かれていました。私も中学生の時、ちょっとオーディオに興味を持って、五味康佑『五味オーディオ教室』ごま書房(1976)を買って読みました。さすがに中学生には高尚過ぎました(^_^;)。

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