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《読書》藤原正彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』ちくまプリマー新書

2005-12-30 05:39:51 | 読書

●〔90〕藤原正彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』ちくまプリマー新書 2005
(2005.12.11読了)
 藤原正彦は数学の啓蒙者として非常に優れた人物だと思います。純粋文系の私も思わず引き込まれてしまいました。小川洋子の『博士の愛した数式』も読んでみたくなりました。

小川 先生、その220と284が「友愛数」というのを説明して下さいませんか。
藤原 要するに、220の自分自身を除いた約数は1、2、4、5、10、11、20、22、44、55、110で、全部足すと284になる。一方、284の自分自身を除いた約数は1、2、4、7、142で、全部足すと220になる。(中略)
そういうことですよね。あんまりないんでしょう。
小川 フェルマーが一つとデカルトが一つとパガニーニが一つ、そしてオイラーは一人で六十二組も発見したらしいです。220と284は「友愛数」の中で一番小さな組み合わせです。(pp.51~52)

藤原 (中略)醜い定理として私の見つけたものを一つ披露すると、たとえば1729という数がありますよね、ここに出てくる数字を全部足します。1+7+2+9=19ですよね。で、これを逆転させると91ですよね。これにさっきの19をかけると元の1729へ戻るんですよね。81も同じ性質をもちます。81に出てくるすべての数字、すなわち8と1を足すと9です。9というのは一桁だから逆転させても9です。かけ合わせると元の81に戻る。あらゆる数のなかで、この性質をみたす数は、1を除いてこの2個しかないというのが私の見つけた定理です(図1〈2〉参照)。これを数学者の前に出したら、瞬間的に、「おお、なんという……」と言ってさげすまれる定理なんですね(笑)。美しい定理だけでは不公平だから醜いやつもあげました。私が発見するのはたいていこういった醜い定理です。(pp.67~68)

小川 もっと不思議なことがありますね。紙にたとえば10センチメートルの幅で平行線を何本も引いて、そこに平行線の幅の半分の5センチメートルの針を投げると、針は平行線に触れて交わるか、平行線のあいだに触れずに横たわるか、どちらかになる。その触れる確立が1/πになる、という問題があるらしいですね。(中略)
全然、円と関係ない問題にπが突然登場してくるということが、どうしても私には理解できないんです。(p.153~154)