あざみ野荘つれづれgooブログ

おもに、サッカー関連のコメントを掲載していきたいです。
’78年のW杯アルゼンチン大会以来のサッカーファンです。

恐るべし!タラソワコーチ(芸術におけるワイルドなもの)

2006-01-17 16:38:24 | フィギュアスケート
 ニュースは、朝から、宮崎勤判決やヒューザーの小嶋社長の証人喚問、ライブドア問題で喧しいですが、そんななかで恐縮なのですが、もうすぐトリノオリンピックということで、フィギュアスケートに関した記事を書くことにしました。(ヒマネタなんで気楽に読んでください。)
 
 最近、女子選手の活躍もあってフィギュアスケートのファンは更に増えていると思いますが、かくいう私もマニアというほどではないのですがかなりのフィギュア好きなので、トリノオリンピックを楽しみにしているのですが、(いつもはお目当ての選手がいたりするのですが、今回は特にいませんが、女子シングルの三人の活躍は楽しみにしています。)
 私がこれまでに見た名選手を思い出してみると、(歳がわかってしまうけれど)やはりいちばんかわいかった札幌のジャネット・リン、高くて美しいジャンプと品のある美しいスケーティングの男子シングルのロビン・カズンズ、男子と女子のシングルのゴールドメダリスト、ペトレンコとバイウルのウクライナのふたりなど数々の名選手が思い浮かびますが、中でも、私が好きだったのはアイスダンスで、アイスダンスといえば、サラエボのトービル&ディーン組の「ボレロ」が有名ですが、私が一番思い入れがあったのはカルガリーオリンピックのアイスダンスで金メダルを獲った、ベステミアノア&ブーキン組です。(カルガリーのエキシビションでのアンコールに応えたダンスメドレーの演技も印象に残っています。)その彼らのコーチが、あの荒川静香さんのコーチだったことで(最近、彼女が同コーチの元を離れたことがニュースになりましたが)日本での知名度がアップしたタチアナ・タラソワコーチでした。勿論、彼女の名前を知ったのは最近のことで、当時は、あの、選手が採点を待つ”キッス&クライ”のコーナーで毛皮のコートを着て座っている彼女の迫力に圧倒されていただけでしたが、最近、ネットで彼女のことを調べて、”私が好きだった選手やペアの殆どを彼女がコーチしていた”ということを知って驚きました。すごいステップで確かオリンピックで三連覇したペアのロドニナさん(確か途中でパートナーが変わったと思う)、アイスダンスのモイセーワ&ミネンコフ(モイセーワが美女で評判だった)、そして前述のベステミアノア&ブーキン、前回ソルトレークの男子シングル「仮面の男」で金を獲ったアレクセイ・ヤグディンとフィギュア界の名選手、金メダリストばかりなのです。ヤグディンの「仮面の男」のプログラムは覚えておられる方も多いと思いますが、それを見てもわかるように、その振り付け、ステップ、選曲など、プログラムのすべてがとても洗練されていて完璧で欠点が無いことに驚かされます。顔の表情まで逐一振り付けられるということを聞いて、さもありなんとそのコーチングの厳しさ、完璧主義が想像されるのですが、今やその名声に違わない実績を残されて、知るひとぞ知るというより、日本でも有名になってしまった名コーチなのです。だから、予備知識なしに見ていても、彼女のコーチした選手やペアはわかってしまうのですが、そのカルガリーのアイスダンスのTVの解説で今も思い出すことがあるのです。解説は確か五十嵐文男氏だったと思いますが、彼は当時、このふたり(ベステミアノア&ブーキン)のプログラムがあまり好みではなかったらしく、解説で「好きじゃない」、「よくなかった」などと連発して、彼が押していた二位のロシアの別のペアを盛んに持ち上げていたのです。解説者が「好きじゃない」などという何か素人の個人的な感情みたいなことを言うことに当時かなりの違和感を感じましたが、やはりメディアに出て来るひとの意見はすべて正しいと思っているひとが多いのか、「(一位のふたりの演技は)よくなかった、と解説者も言っていた」という意見が多くって、私が、エキシビションのふたりの演技を熱心に見ていると「○○さんは、好みが濃いから・・」などどとからかわれたことを思い出します。このオリンピックのフィギュアで日本のマスコミが例によって集中的に報道していたのは、女子シングルの伊藤みどりと、ブルック・シールズに似ていると言われて人気のあった、あのカタリーナ・ビット(「カルメン」のプログラムで女子シングルで金を獲った)でしたが、オリンピックでエキシビションの最後に出てきたのは、ベステミアノア&ブーキンのアイスダンスのふたりで、会場は熱狂的な三回のアンコールを送ってふたりの演技をたたえたのですが、このとき私は、しぶしぶ彼らの実力を認めていた解説の五十嵐氏に対して、してやったりと思わずにはいられませんでした。
 この件については、もうひとつエピソードを付け加えると、皆さんご存知のシンクロの小谷実可子さんが、まだ現役だったころのインタヴューで、(彼女が次のオリンピックのプログラムに「カルメン」を選曲していたことが話題になっていた頃のことです)インタヴュアーに「カタリーナ・ビットのカルメンを参考にされますか?」と問われて、彼女は「私はビットよりもアイスダンスのベステミアノアのカルメンのほうがすごいと思う」と答えていて、最後にインタヴュアーは彼女に対して「変わってますね」などと言って「よく変わっていると言われます」と彼女は答えていましたが、私は、それを読んで、わが意を得たりと、とてもうれしかったのを覚えています。インタヴュアーは、自分の予想した答えが返ってこなくて当惑したのでしょうが・・。
 
 私は、”世界標準”という言葉をそのまま素直に受け入れられない、あるいは、その言葉に反発を覚えてしまうことも多々ありますが、でも、特に芸術の世界において、自分が理解できない、自分が未知のものに対して”拒絶してしまう”あるいは”勉強不足の解説者や評論家の権威によって、それらを判断してしまう”ことは、とても損なことだと思うのです。単純に言ってしまうと、彼らだって正しいわけではないので、もっと疑おう、まず自分の目でみてみようということだと思うのです。

 私が、フィギュアスケートのおもしろさに目をひらかされたのは、ベステミアノアたちよりもさらに以前のアイスダンスのペア、モイセーワ&ミネンコフだったと思います。彼らが、NHK杯で、あの「タブー」の曲に合わせて踊ったときには、子どもごころに度肝を抜かれたのを覚えています。彼らの演技は、大人っぽくて色っぽいのですが、いやらしくはなかったのです。そこが、研ぎ澄まされた芸術表現と、ただのエログロナンセンスとの差だと思いますし、日本人には、むずかしい世界(エスコートやレディファーストの感覚が自然に出てくるような環境がないとあの感じは出せないだろうし、日本人だと、せいぜいホスト的になってしまいそうだと思う)ですね、ペアとかアイスダンスというのは。

 期待されているトリノの代表の4人にはがんばってほしいと思います。前回もでしたが、今回もアイスダンスに特にひいきのペアがいないので、私はゆったり見ようと思ってます。シングルのフリーのプログラムはなかなかむずかしくて、女子は特に、ひとりであの時間を飽きさせずに持たせる完璧なフリーのプログラムというのには、まだお目にかかってないと思う。(アルベールビルのバイウルの「黒鳥」はよかったけれど、あれはショートプログラムだったし)男子シングルの前回のヤグディンのフリーはかなり完璧なものだったと思うけれど、やっぱり私にとってのNO1はスケーティングがきれいで、ジャンプもうまく、表現力もあったロビン・カズンズですけどね。

 この記事のカテゴリーはスポーツということにしましたが、フィギュアスケートは芸術性の比重の高いスポーツだと思うので、芸術としたほうがよかったかもしれません。芸術に関しては、私がココログに以前に書いたレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術について言及された「ジョコンダ婦人の肖像」(E・Lカニグズバーグ)についての記事中で「芸術におけるワイルドな要素」の重要性について言及した部分を参考にしてもらいたいと思います。

追記:ココログブログのほうにウォン・カーウァイ監督の「2046」の感想をアップしましたのでよかったら見てください。
 

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私もカズンズのファンです (連翹)
2006-11-26 18:30:46
azamiさま
はじめまして。連翹と申します。本日、フィギュアとロビン・カズンズで検索していてあざみ野荘さまにめぐり合えました。フィギュアの記事を読みまして、「同感です!」と叫んでしまいました。私も一番好きな男子スケーターはロビン・カズンズです。また、モイセーワ・ミネンコフのアイスダンスに、それまでのアイスダンスのイメージを覆された衝撃を覚えています。多分NHK杯だったと思うのですが、ベージュ(薄茶色?)の衣裳で、その当時は珍しくシューズまでベージュで、音楽がそれまでのアイスダンスではありえない前衛的な曲だったプログラムを覚えていらっしゃいますか?まだ家庭用ビデオが無かった時代ですので、大好きなモイセーワ・ミネンコフ、トービル・ディーン、カズンズの演技もすでに記憶が朧になっていて悲しいです。小塚崇彦選手のスケーティングはカズンズに似ているな、と思っているのですが、しなやかな男性的な色気のある選手が少ない昨今のなかで私の注目株です。嬉しさのあまり、浮かれて沢山書いてしまいました。これからもフィギュア・スケートのお話を書き続けて下さいませ。楽しみにしております。 連翹
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はじめまして (azami)
2006-11-27 01:19:58
連翹さん、はじめまして。
古い記事へのコメントありがとうございます。
実は、私のフィギュア・スケートについて知識は、そんなにあるわけではないし、興味がいろんなことに飛んでしまうので、なかなか書けないのですが・・・。モイセーワ・ミネンコフの前衛的なプログラムですか・・・。空手のような振り付けのやつでしょうか。ほんとうにビデオがあればなあって感じです。(同じことを、Wカップ78大会のオランダチームのプレーについても思いますが)、たぶんタラソワコーチだったんでしょうね。
 カズンズについては、日本で行われたプロの大会だったかでの、エキシビションだったと思うけど、で観た、「ストレイキャツ」のナンバーに合わせて滑ったロック調のプログラムがかっこよかったことなども覚えています。彼のジャンプとスケーティングは本当にキレイでした。
 
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Unknown (Aya)
2006-12-04 12:41:04
はじめまして。私もスケート大好き人間なのですが一番印象に残っているのはベステミヤノワ・ブキン組でした。

いまだに「どの選手が一番好きでしたか?」と聞かれると彼らの名をあげるのですが、誰も知っておらず寂しい思いをしたものです。

激情的な演技も、しっとりとした悲しい演技も、そしてコミカルな演技も、ころころと表情が変わる彼らが大好きでした。
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Ayaさんこんにちは (azami)
2006-12-05 00:01:15
Ayaさん、はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございます。
私はベステミアノアと表記してますが、ロシア的にはベステミアノーヴァと書くのが近いのでしょうか。

私が、彼らのプログラムで、かなり好きだったのが、トービル&ディーンの「ボレロ」が金だったサラエボの時の、曲名は覚えてないのですが、恋するカップルをちょっとコミカルに表現していたプログラムです。当時は「ボレロ」の影に隠れてあまり話題になりませんでしたが、ベステミアノアのコケティッシュな魅力によく合っていて、女性が男性(ブーキン)を振り回しているようなアクションとかもあったりして、とてもお洒落でかわいいプログラムでした。カルガリーの金のプログラム(「中央アジアの草原で」でしたっけ)よりも彼らの雰囲気にマッチしていて、好きなくらいでした。覚えていらっしゃますか?最近のアイスダンスには彼らほど魅力のあるカップルがいない気がしますね。
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Unknown (Aya)
2007-01-09 18:55:59
こんにちは!お返事ありがとうございます。
サラエボの演技だったら確か「キャバレー」ではなかったでしょうか。私はあまり大きくなかったので記憶が定かじゃなかったんですが、母もカルガリーのときよりこちらが好きだと言ってました。
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Ayaさんへ (azami)
2007-01-13 17:02:34
キャバレーですか?ライザ・ミネリのですか?
ちょっと記憶にないです・・・。
最初のふたりのポーズは何となく覚えているのですが。
お母様もB&B組がお好きだったとはお目が高いですね。
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Unknown (Aya)
2007-03-14 10:16:56
キャバレーの詳細は覚えてないのですが、今度調べてみますね。
母も私も世間的に言うところの「変わってる」部類のようです。

ちなみに母は男性スケーターのイチオシは故グリンコフでした。
セルゲイの暖かい視線、はにかんだ笑顔に完全にとりこになってました。

カルガリーのベステミアノア&ブーキンのフリーは韃靼人の踊りですね。EXのアルビノーニのアダージョもロシア民謡もすばらしかったですね。観客を熱狂させてましたもの。
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こんばんは (azami)
2007-03-15 00:52:15
こんばんは、Ayaさん、

忘れたころのお返事ありがとうございます。

もうすぐ世界選手権ですね。
(私の現在のイチオシは、高橋選手です。)
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ベステミヤノワ・ブキン組 (のみみ)
2007-12-27 12:32:48
俺たちフィギュアスケーター、という映画から次々と興味が枝分かれし、検索し続けているうちに久々にこのペアの名前にたどり着きました。時の流れは速いものですがその後の幾多の選手の中でもあの二人は私の記憶の中の大事なペアとして残っています。異例とも言っていい鮮烈な印象を与えたトービル・ディーンが出て、デュシェネ兄妹が出て、ベステミヤノワ・ブキン組、など口にする人は余程のマニアみたいな印象になってしまいがちですが。
 ブキンの異様ともいっていい風貌、かなりの身長差がありながらあの二人の演技は何か魔力が漂うような魅力を感じさせました。
 モイセーエワ・ミネンコフの名も懐かしいです。まだ20歳前後だった私が親戚の家のテレビで彼らを見ていて、例の空手を取り入れた演技に対して伯父が「やめとけばいいのにねえ。」と2,3回言っていた記憶があります。
 五十嵐文男さんに関してはいつも的確な解説をする人と捉えていましたが、ベステミヤノワ・ブキン組(名前長いですね。)をけなしていたとは知りませんでした。五十嵐さん、佐野稔さんなどに比べ地味な印象ですが演技もなかなかで、柄にもなくバク宙(公式試合では禁止されましたが)も出来たんですよね。
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はじめましてのみみさん (azami)
2007-12-29 23:51:55
はじめましてのみみさん、
コメントありがとうございます。

「俺達フィギュアスケーター」に関しては、観てないんですけど、映画紹介なんかで観た限りでは、少し懐疑な感じなんですけど・・。フィギュアを茶化してほしくないと言うか、フィギュアや男性スケーターが誤解されるんじゃないかとか、「もっと深い!」ものなのにと思ってしまうのですが、御覧になられました?

今日の全日本のEX、(フジの放送についてはかなり!思うところもありますが、)モロゾフのストレートラインステップのファンとしては、大輔君、安藤美姫さんともとてもよかったので楽しみました。安藤さんのカルメンを観ていて、小谷さんが挙げていたベステミアノアのカルメン、「観たい!」と思いました。それと「空手の振り付け」思い出しました。凄く前衛的な音楽で踊ってましたよね。
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