四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
甲府SUNDAY 出張シノギングの様子
各地で猛暑が続いているが、低山も猛暑が続いている。こんなに暑けりゃ尾根歩きなんぞ出来まい・・・。
ということで、本日のシノギングは暑さを凌ぐ沢歩き。
沢歩きとてシノギングはシノギング。やることはいつもと何ら変わらない。まずは凌とシノギングについての説明を。夏になるとお試し品も少なくなってしまうが、それでもクナイと休憩時に使うハヲリモノOcta、ゲッカビジンをお貸出し。その後は低山小道具研究家の森勝氏に引き継いで、
地形図の見方とコンパス見ながらの方位チェック。本日のシノギングのエリアを地形図で確認。周囲の情報から現在地を特定。現在地を知り、この日に凌ぐルートを把握、さらにその周りの地形を頭に入れておくことは一般登山でもシノギングでもとても大事なことだ。
駐車スペースの標高は1,000mほどだが、それでも空気は生ぬるい。涼を求めて凌ぎ始める。
すぐにきれいな沢の流れ。足を入れると一気に涼しくなる。
おっと、森勝氏は砂金を採る気満々だ(笑)
ほどなく、本日のクライマックス?大滝に到着。流れをシャワークライムできるのか?試したことはないが安全に高巻いて通過。
一段上がるとこの通り穏やかな流れが続く。
どこまでも続く美しいナメ沢に一同うっとり。
たったこれだけ水に浸かっているだけで十分に涼しい。
切り立ったり、尾根が入ったり、
林道が並走したりしながら沢の流れを遡る。まわりの地形の変化やそのほかの情報、方位の変化をつぶさに拾い上げ、現在地を更新させながら歩くのは尾根歩きも沢歩きも同じだ。
2条2mの滝。釜の水深は股下くらいで、足場がしっかりしているので容易に登ることができる。
この辺りで左岸が開けてくるが、地形図を見ると一段上に気になる白場がある。その白場で休憩できるであろうと想定し西に進む。時計を見るとちょうど昼時だ。
かわいい食べごろのタマゴダケ。腹が減ってきた・・・。
地形図にははっきり表現されていない尾根を辿ると・・・、
果たして、目星をつけていた白場は楽園のような広場だった。はい、別荘決定~!
今回はベテランさんが多いので各自思い思いにハンモック休憩をしてもらう。森勝氏のハンモックポイントはスポットライトが当たって暑いらしい(笑)
新人さんにはマンツーマンの個人レッスン。シノギングにおける休憩時の基本であるゲッカビジン(ハンモック)とヤナギニカゼ(タープ)の張り方を一通り説明。そして実践。
立木にバックパックを吊るすロープワーク。片結びを組み合わせるだけでこんなことができてしまう。新人さんもちゃんとできましたよ(パチパチ)。
シノギングの休憩は、長い(笑)せっかく見つけた広場、のんびりしてください。
静に、そしてゆっくりと時が流れる。
草鞋は沢歩きにちゃんと使える。こうして吊るしてあるだけでも絵になるんだな・・・。
長めの休憩を終えて、いざ出立。立つ鳥跡を濁さず。そこにいたことがわからないように去るのはシノギングの鉄則であり、凌の美学だ。
帰りは新人さん+サポートメンバーで道順を決め、先導してもらう。ちょっと藪っぽくなったところでどうしようか思案している図。
行きましょうということで下の鞍部をめがけてトラバース気味に進行。
藪はすぐになくなりスッキリした斜面に変わる。大きな油の木が横たわっているのをみて、早速森勝氏が削って火を付けて見せる。幹は腐ってグズグズだが、油ののっているところは凌ピッケルでたたくとキーン、キーンと高い音がする。
鞍部からは北西に尾根を辿る。この辺りも気持ちのいい森だ。
尾根末端の手前で左手の緩い斜面を降りてみる。この先には沢の流れ、その向こうの一段上には林道があることが地形図でわかっている。
沢には大きな堰堤があった。向こうに林道が見えている。降りられなくはないということでお助け紐を出して堰堤脇を降りてみることに。この時点で渡渉&林道組と堰堤組の二班に分かれる。
足場を確認し、お助け紐に頼り過ぎずに慎重に降りる。
既に堰堤下まで来ていた渡渉&林道組に合流し、安全に駐車スペースに戻って本日のシノギングは終了。
駐車スペースのキャンプ場っぽいところで、決して笑ってはいけないやつ。
今回の出張シノギングに参加して下さったみなさま、ありがとうございました。
沢の流れに足を入れて歩くだけでこんなに涼しということを実感できましたね。沢から一段上がった広場でハンモックに揺られた気分はどうでしたか?山頂を目指さず、時間を気にせず、誰にも会わない森の中でのんびりするだけでも一般的な登山・ハイキングとの大きな違いを感じてもらえたのではないかと思います。
沢歩きを絡めたシノギングでまだまだ続く暑さを凌いでください。クライミング技術を必要としない沢歩きの書籍が販売されているので、まずはそこから情報を得て実践してみることをお勧めします。技術的に不安がある場合は必ずベテランさんに同行してもらいましょう。
このシノギングで同じ時を過ごしたからこそ知ることができた情報があります。それらは何となく情報収集をしているだけでは決して手に入らないもの。短い時間でしたがこのシノギングで初めて経験し、気付いたことがきっとあったと思います。頑張りすぎず、楽をし過ぎず、知らなかったことを知る、やっていなかったことをやってみる、自分で考えて行動する。シノギングっておもしろいなと感じてもらえたら、みなさんのお住いの裏山で実践してみてください。
シノギングを続けることで、道迷い遭難のない自立した山歩きの術を身に付けることができます。
シノギングの情報は巷に溢れていません。興味のある人は勇気を持ってシノギングイベントに参加してください。この手記に書かれていることはシノギングのほんの一部です。実際に参加することでシノギングのいろいろを知ることができます。百聞は一見に如かず。
このイベントにご理解・ご協力いただきましたSUNDAY様、お忙しいなか同行してくれたSのI氏、マダムM、ありがとうございました!
凌は美学
いつ何時でも所作、立ち居振る舞いを美しく
いつ何時でもあたふたせず、まごまごせず
道具に踊らされず
凌ぎ
美を追求すべし

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