プレスカブのエンスト修理が入庫しました。症状は この大雨の中 走行中、アイドリングの安定がわるくなり、かかるときもあったが、そのうち うんともすんとも エンジンがかからなくなったとのこと。
お客様は忙しい方なので 問診はそれだけで診断にかかることになりました。
エンジンが始動するおおまかな3大要素 1、適正な混合気 2、適正な点火、3、適正な圧縮
まず、実際にかかるかどうか キックペダルを何回か踏んでみました。まったくかかる気配はありません。キックには ある程度のキックに対する踏み応えがありましたし、マフラーエンドに手をやると 排気圧がかかりますので 3、適正な圧縮はありそうです。あやしい場合はコンプレッションゲージ(圧縮を測定する計器)の出番です。
次に タンクにガソリンがあることを確認。燃料コックのON/OFFを確認しました。問題なしです。たまに ガス欠というオチがありますが 今回は違うみたいです。キャブレター使用なのでドレンチューブの下にガソリンを受けるオイルパンを置いて、ドレンをゆるめてみました。
すると 上の写真のように ガソリンの中に水が混じっていました。これでは 1、適正な混合気 に合わなくなります。原因であることは確かです。
キャブレター、コック、タンクから ガソリンを抜き エアブローして 新しいガソリンを入れてキックしてみました。エンジンが始動しました。
次になぜ水が混入したのか、タンクにはガソリンが満タンに入っていました。最近 ガソリンをいれたみたいです。水はガソリンより比重がおもく ガソリンの中にいれると沈みます。コックをリザーブに切り替えしたときに タンクからキャブレターに入ったと混入していた水の量から推測できます。入庫したときはコックはONの状態でした。ガソリンを入れてからコックをリザーブからONにきりかえたのでは、それでは タンクにはどうして入ったのか? タンクキャップのパッキン不良? パッキンに亀裂 偏磨耗はありませんでした。このバイクは写真には写していませんが シートが破れ その上にビニール袋をかぶせてありました。ここ2、3日続く 大雨の中 ガソリンスタンドでシート下のタンクキャップをあけた時、ビニールにたまった水が タンクの中に入ったら つじつまがあいます。お客さまに原因を説明したところ そんな気がとおっしゃっておられました。
シートはシートカバーをつけていただき、念のため スパークプラグ (2、適正な点火)を点検、エンジンオイルを点検、交換して 修理完了となりました。