全トヨタ労働組合(ATU)

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AKK吉田高等裁判(労災認定)

2014年11月28日 14時48分42秒 | Weblog
名古屋裁判所

 道義的責任を逸脱したアイシン機工株式会社
 11月28日(金)午前11:30から名古屋高等裁判所にて、控訴側が(国とAKK)補助参加で控訴した「一審取消裁判」が行われました。非被控訴人である吉田さんは意気揚々と出席し席に座りました。被控訴側の弁護団は4名、控訴側は6名でした。裁判官は3名です。
 まず最初に、非控訴側から出されている準備書面2点が確認され、次に控訴側から出された準備書面4点が確認されました。裁判官から双方にさらに準備書面を出す用意があるかを訪ねられて非控訴側から反論書を12月末まで提出することになりました。
 吉田さん側は、付帯控訴を活用して「1審判決を不服として、両手首の労災を求めて」争うことを主張しました。国及び会社側はその逆を求めて控訴したわけですから全面対決となります。しかし国側は地裁判決を受け入れた経緯もあり、高裁に特別新しく覆すだけの資料提出には至っていません。それはAKKが労働災害と認められると「労災保険料」の負担が増えるからいやだと、駄々をこねているだけと承知しているからでしょう。
 
 次回の日程は来年の2月3日午前11:30に決まり結審となる予定です。

労災可否かは国が決めるものと言っていた会社はなぜ控訴した
 
 当初、AKKは吉田さんの業務災害について、「労災補償」を求めて西尾労基支署に申請するのにごく普通に協力的で、災害性を認めて「現認」をしていました。しかし労基署はまともに現場調査もせず、書類上の判断だけで不支給決定をしました。AKKはこれを最大に活用して抵抗をしています。
 しかし、当労働組合に相談に来たときはすでに遅しで「不支給決定」を精査する時間がありませんでした。その後原告と組合そして新たな弁護団と検討を加えた結果、西尾労基支署に申請したときと違う手首を痛めた原因を突き止め、司法の場で「不支給決定取り消し」裁判を始めたわけです。
 ですから、もうすでにご承知のように本年3月18日に名古屋地裁は「利き手である右手負傷」を労働災害として認めました。それに対して不服があれば国は控訴する機会があったのですが、期日まで控訴することはありませんでした。原告側が新しい原因を主張して争った裁判の結果です。その上で国が判断したのですから「国の決定」にアイシン機工の経営者は従うべきです。

新社長の平野誠様
 新社長様、まだ傷口を広げるつもりですか。会社存続のためには受け入れるしかないのです。御社の企業憲章には「私たちは、従業員の人格、個性、多様性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現します」と約束されています。この精神に法り、控訴を取り下げ今すぐにも地裁の判決を受け入れ被災者の救済を優先すべきだと思います。そうすべきです。災害を表に出さないことは、臭いものに蓋をする論理であり、第二第三の類似災害を引き起こすことになるのです。安全配慮は経営者の義務でありイロハです。

読者の皆さんにお礼申し上げます
 このところATUへのアクセスは連日、2000件を超えています。このうち三分の一ははトヨタ(系)の経営関係者が閲覧していると思われます。現にトヨタ自動車からは削除要請の抗議文書が送ってきました。ネット社会の昨今、悪質極まりない記事も見受けられますが、私たち労働組合は、法と常識にのっとり活用を心がけています。寄せられているコメントは、個人攻撃誹謗中傷なるものは吟味して非公開とし、事実のみを公表しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

AKK吉田裁判労災認定(第1回控訴審)

2014年11月22日 09時42分56秒 | Weblog
11月28日(金)午前11:30から名古屋高等裁判審議

 今年3月に名古屋地裁で労災と認定されたアイシン機工吉田さんの、国に対する「労災認定」裁判への会社の「補助参加」を名古屋高裁は10月15日に許可しました。「労災と認められれば会社が支払う労災保険料が増額される」という会社側の身勝手な「補助参加」理由を高裁は認めたのです。このことによって、吉田さんの「労災認定」裁判は高裁に移行します。
 しかし、原告の吉田さんは、この高裁での控訴審において名古屋地裁が認めなかった左手も含めて「両手とも労災である」と付帯控訴を申し立てました。

会社の悪あがきには展望はない
 会社側が提出している高裁への控訴状や、「地位確認・損害賠償」裁判での会社側の主張は、すでに地裁判決で否定された国の主張のオウム返しです。いや、この間の「地位確認」裁判の進行は、むしろ吉田さんの負傷が労災であることがいっそう明らかになる形で進行しています。先日裁判官の前で行われた作業の再現も、作業の手首への負担の大きさが証明されるものになっています。
 また、吉田さんが証言していた「同じ作業で他に5名の作業者が負傷している」ことも会社はついに認めました。会社はその上で、吉田さんの負傷とは関係ないと言い逃れようとしています。今まで10数名程度の労働者が携わった作業で吉田さんを含め6名の人が負傷しているということは、その作業がいかに危険で安全上欠陥だらけの作業であったのかはあきらかです。
 吉田さんの労災を否定し、従業員に危険な作業をさせ多くの負傷者を出した会社の責任を回避しようとするこのような会社側の弁論はアイシン機工のブラック性をいっそう際立たせていくものにしかならないでしょう。傍聴をよろしくお願いいたします。

第二工場のオイルミスト環境改善に要望書
 私たちは、11月16日付にてAKK従業員の職場環境改善の声をまとめて会社と労働組合に要請書として提出し回答を求めました。以下全文です。

アイシン機工株式会社
取締役社長 平野 誠 様
                                                          2014年11月16日
                                                          知立市東栄3-25
                                                          全トヨタ労働組合
                                                          執行委員長 若月 忠夫
                             要 請 書

貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は吉田祐二裁判で大変お世話になっております。
 このたび、従業員から当労働組合に寄せられた声を要請書にしました。御社の企業憲章には「私たちは、従業員の人格、個性、多様性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現します」と約束されています。
この観点から、内容を検討いただき従業員の安全衛生活動に生かしていただき、安全で働きやすい職場環境を作っていただきますよう要請いたします。

                               記
 アイシン機工吉良第2工場の切削加工等で発生するオイルミストが工場建屋内にこもり、機械・床・顔・作業着・空気が汚れ悪臭が漂うなど、極めて不安全で不衛生な環境のなか作業にいそしんでいる従業員から苦情が出ています。
 ただちに、労使による安全衛生スタッフ会議を開き、現場の確認と環境測定をおこない、該当者の健康管理を調査すること。そして職場環境の改善に直ちに取り組むことを要請いたします。
                                                                   以上

 このことは労働安全衛生法の観点から、企業は常に安全配慮義務を果たさなければなりません。労働安全衛生法は最低の基準であり、違反しているかどうかの問題ではなく、経営者の姿勢の問題です。

 上記の要請に対してご回答を頂ければ幸いです。社長がご挨拶されている「社会から歓迎される企業」であることを期待しています。
なお、アイシン機工労働組合にも協力していただくために「要請書」を送らせていただきました。

文書等の送達場所
472-0043
愛知県知立市東栄3-25 高木宅
全トヨタ労働組合 若月忠夫宛て