神奈川県弁護士会では,4月26日,いわゆる「共謀罪」法案の廃案を求める会長声明を発表しました。
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いわゆる「共謀罪」法案の廃案を求める会長声明
http://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/2017/post-268.html
- 政府は、本年3月21日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法一部改正案(以下「本法案」という。)を閣議決定し、衆議院に提出した。
当会は、2016年12月8日付けで「いわゆる共謀罪新法案の国会提出に反対する会長声明」を発しているところであるが、それにもかかわらず本法案が提出されたことは極めて遺憾であり、改めて本法案に対する当会の意見を表明する。 - 本法案では、①犯罪主体について、従前「組織的犯罪集団」とされていた規定が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と改められており、また、②対象犯罪を676から277に減じたとされている。
①の「テロリズム集団」の文言は、テロ対策を標榜しつつテロとの関係が明らかでなかった政府原案に対する批判を受けて急遽追加されたものであるが、本法案には「テロリズム集団」の定義規定はない。「組織的犯罪集団」の意義が捜査機関によって恣意的に解釈され、摘発される対象が拡大する危険性が高いという問題点は何ら解消されていない。
すなわち「テロリズム集団」の文言が加わったとしても、処罰範囲の限定にならないことは明白である。
また、②についても、仮に対象犯罪が277に減じられたとしても、組織的犯罪やテロ犯罪と無縁のものも依然として対象とされている。共謀罪は、「行為」を処罰する我が国の刑法の基本原則を否定するものである以上、いかに対象犯罪数を減らそうとも、軽々に認められるものではない。
つまり、本法案は、過去3回も廃案になった共謀罪の問題点が何ら解消されていないのである。 - 当会が従前指摘していたとおり、構成要件が不明瞭であって罪刑法定主義にも反する本法案は、共謀という意思の連絡自体が犯罪として捜査対象となるために、通信傍受の対象とされた場合監視社会化を招き、憲法の保障する思想・良心の自由、表現の自由、通信の秘密及びプライバシーなどを侵害し、基本的人権の行使に対して深刻な萎縮効果をもたらすおそれがある。
当会は、本法案の閣議決定および衆議院提出に対して、改めて抗議すると共に、本法案の廃案を求めるものである。
2017(平成29)年4月26日
神奈川県弁護士会
会長 延 命 政 之
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