日々の泡

弁護士杉本 朗(神奈川県弁護士会所属)のブログです。個人の雑感発信用で、業務用ではありません。

おくればせながらあけましておめでとうございます

2022-01-20 16:53:08 | イベント・集会
私が所属する横浜法律事務所の新年号に載せた新年のあいさつです。
タイトルはトーキング・ヘッズのチューンです。
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ライフ・デュアリング・ウォータイム

杉本 朗

あけましておめでとうございます。
二〇二〇年一月、WHOが新種コロナウィルスが検出されたと認定してから、二年が経とうとしています。

のちにCOVID-19と名付けられたウイルスは、世界中を席捲しました。ウィルスとともに様々な情報が駆け巡りましたが、専門家でない私(たち)は、ウィルスと同じように情報に振り回されました。

勉強好きな人はいろいろと情報を分析して、ウィルスにどう対応すれば検討していましたが、怠惰な私は、なんとなく人が言ってて、自分でよさそうだとおもうことをしただけでした。

ハッピー・バースデー・ツー・ユーを二コーラス歌う間石鹼で手を洗う、うがいをきちんとする(私はポピドン・ヨードではなく、アズレンでしたが)、不織布マスクをつける、というものでした。また、ワクチンも接種しました。感染症研究やってる友人には、やたらと手で顔を触らない、ということも言われましたが、それはなかなか出来ませんでした。ついつい、目や鼻に人って手をやってしまうものです。

その効果があってかなくてか、私は割と風邪をひきやすかったのですが、昨年一月来、ワクチンの副反応で二週間ほど寝込んだ以外、全く風邪を引きませんでした。

よくは分かりませんが、そういうことなんだろうな、と思って、またしばらく手洗いうがいには励もうと思います。
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日本学術会議問題緊急集会のお知らせ

2020-12-12 23:02:12 | イベント・集会
私が幹事長を務めている自由法曹団神奈川支部では、日本科学者会議及び青法協弁学神奈川支部との共催で、日本学術会議問題に関する緊急市民集会を、リモートで開催することになりました。

任命を拒否された小澤隆一教授のお話があります。

配信は、自由法曹団神奈川支部のYouTubeチャンネルで行います。
奮ってご覧になって下さい。

<日本学術会議任命拒否問題を問う>

日時:2020年12月17日18時〜20時
配信:自由法曹団神奈川支部YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCPm7XcMXfkClb0_F4fp9rVw
メインスピーカー:小澤隆一慈恵会医科大学教授
         後藤仁敏鶴見大学名誉教授

弁護士による問題点の所在の簡単な解説もあります。
参加費:無料


菅義偉首相の学術会議会員任命拒否に断固抗議する声明

2020-10-10 09:03:13 | 意見発信
自由法曹団神奈川支部は,菅義偉首相の学術会議会員任命拒否に断固抗議する声明を発表しました。

菅義偉首相の学術会議会員任命拒否に断固抗議する声明

1 日本学術会議は本年10月1日、同会議が推薦した新会員候補105名の内6名について、菅義偉首相が任命を拒否したことを明らかにした。この任命拒否は、日本学術会議法に関する従来の政府見解を変えるものであって違法な行為であるとともに、経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)13条及び憲法23条で保障された学問の自由を侵害するものである。
われわれは神奈川県内の弁護士で構成される法律家団体として、神奈川県選出の国会議員である菅首相のこの行為に断固抗議する。
2 日本学術会議は、昭和24年1月、首相の所轄の元、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された。科学に対する重要事項を審議し、その実現を図るとともに研究の能率を向上させるため、政府に対する政策提言、国際的な活動等を行う役割を担っている。
3 日本学術会議法は、会員(210名)を、同会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると定めている(同法17条、7条2項)。今回,この条文に基づいて105名の候補者について推薦がなされたものである。ところが,菅首相はそのうちの6名について任命をしなかった。この事態について,加藤勝信官房長官は今月2日の記者会見において、「任命権者である首相が日本学術会議法に基づいて任命を行った」と説明し、拒否に関して法に抵触しない旨を述べている。
  しかしながら,日本学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命すると定めている法の趣旨は,戦前,日本の学術が戦争に動員された反省を踏まえ,学術の政治的利用を避け,政府からの独立を保障するところにある。首相が学術会議の意向を無視して任命することまで認めるものではない。実際,日本学術会議の会員が公選制から,学術会議の推薦制とし,推薦された者を首相が任命するという現行方式に改正された際,国会の審議において政府高官や国務大臣が,「首相による任命は形式的であり実質的なものではない」「ぎりぎりした法解釈論として,形式的な任命行為になる」「学会の方から推薦をしていただいたものは拒否しない,そのとおりの形だけの任命をしていく」と発言している。当時の中曽根康弘首相も、「政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えています」(昭和58年5月12日参議院文教委員会)と明言している。そして当時の総理府(現内閣府)が日本学術会議法改正に際し同年に作成したとみられている「日本学術会議関係想定問答」においても、首相の任命について、「推薦に基づいて会員を任命することとなっており、形式的任命である」との答えになっている。
  このように,今回の任命拒否は,改正時の政府答弁を無視し,推薦者をそのまま任命するという、積み重ねられてきた慣習を蔑ろにするものであり,日本学術会議法7条2項に反すると言わざるを得ない。
  さらに,会員に会員として不適当な行為があるときは,学術会議の申出に基づき,内閣総理大臣は当該会員を退職させることができると定める日本学術会議法26条も,会員の任免に関して首相が自由に判断出来るものではないことを示している。
4 また,今回の任命拒否行為は、社会権規約13条及び憲法23条で保障された学問の自由を侵害する行為でもある。任命を拒否された6名は、いずれも安保法制や共謀罪、沖縄の新基地建設等に反対を表明してきた。本件の任命拒否は、政府に批判的な見解を述べ、研究活動を行って来たことに対する制裁そのものである。このように学者の言動や研究活動を政府が監視し,それを理由に不利益取扱をするのであれば,任命を拒否された6名のみならず、わが国で研究活動を行う者に対する研究への委縮効果は計り知れない。
5 任命拒否された6名の中には、神奈川県内の裁判所で行われている、国が被告となった裁判において、国に批判的な意見書を作成した研究者もいる。今回の任命拒否により、研究者が同種の裁判において国に批判的な意見を述べることを委縮させる恐れがある。のみならず、国を相手に争う市民の訴訟活動への委縮、さらには裁判所への不当な影響も否定できない。
6 自由法曹団神奈川支部は、今回の学術会議会員任命拒否に断固として抗議し、任命拒否を撤回をしてすみやかに6名の研究者を学術会議会員に任命するよう求める。
                 
2020年10月7日
                       自由法曹団神奈川支部
                       支部長 藤田温久

横浜法律事務所2020年度事務所説明会のお知らせ

2020-09-02 22:47:09 | イベント・集会

横浜法律事務所では74期以降の弁護士の採用を予定しております。
横浜法律事務所を詳しく知っていただくため、本年9月16日(水)18時から1時間程度、司法試験・予備試験受験生を対象に、オンラインでの事務所説明会を予定しています。
オンラインではありますが、お一人お一人ときちんとお話をさせていただきたいと思っているため、参加者は先着20名限定とさせていただきます。(応募多数の場合には、第2回の開催を検討します。)
参加をご希望の場合には、下記のメールアドレス宛に、氏名・住所・メールアドレス・経歴・司法試験ないし予備試験の受験状況を明記していただき、メールをお送りください。参加していただける方に対してのみ、オンライン説明会の入室に必要なURLをお送りさせていただきます。(Zoomミーティングを使用いたします。)
奮ってご参加ください。
E-mail yokoho(@マークをご入力ください)violin.ocn.ne.jp
連絡担当弁護士  笠置裕亮(66期)

法律家団体9団体による「東京高検検事長黒川弘務氏の違法な任期延長に抗議する法律家団体共同声明」

2020-03-06 12:58:16 | 身辺雑記
法律家団体9団体で,黒川さんの任期延長に抗議する共同声明が発表されました。
検察庁を政治の侍女にしてはいけないです。
なお,本文中,稲田さんの定年が本年中かのように読めるところがありますが,1956年8月生まれなので,65歳の定年は来年です。


東京高検検事長黒川弘務氏の違法な任期延長に抗議する法律家団体共同声明
                          2020年3月5日
 
社会文化法律センター      共同代表理事  宮里 邦雄
自由法曹団               団長  吉田 健一
青年法律家協会弁護士学者合同部会    議長  北村  栄
日本国際法律家協会           会長  大熊 政一
日本反核法律家協会           会長  佐々木猛也
日本民主法律家協会          理事長  右崎 正博
明日の自由を守る若手弁護士の会 共同代表 神保大地、黒澤いつき
秘密保護法対策弁護団  共同代表 海渡雄一、中谷雄二、南典男
共謀罪対策弁護団   共同代表 徳住堅治,海渡雄一,加藤健次,南典男,平岡秀夫,武井由起子
 
1 はじめに
 2020年1日31日の閣議決定で、2月7日で63歳を迎え検察官を定年退官する予定であった東京高検検事長の黒川弘務氏の任期が半年間延長されることになった。認証官である検事長はもちろん、検察官が定年を超えて勤務を続けた前例はない。
 この人事は、黒川氏を、8月14日に65歳で定年退官となる稲田伸夫検事総長の後任に充てる目的といわれている。黒川氏は、かねてから菅官房長官と懇意であり、政権の中枢に腐敗事件の捜査が及ばなくするための人事ではないかとの疑惑が指摘されてきた。
 報道によれば、2016年夏、法務・検察の人事当局は次の次の検事総長候補として林真琴法務省刑事局長を法務事務次官に就ける方針だったが、官邸から黒川氏を法務事務次官にするよう強く求められ、押し切られた。官邸は1年後にも林氏を事務次官とする人事を潰し、黒川氏を留任させた、とも報じられており(雑誌「ファクタ」1月号)、今回の事態は、官邸による検察・法務人事への介入の総仕上げといえる。
2 当初の法務大臣の説明
 検察庁法22条は、検事総長は65歳、他の検察官は63歳に達した時に退官すると定めている。
 ところが森雅子法務大臣は1月31日午前の閣議後の会見で、黒川氏について「検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることを決定した」と述べた。その法的な根拠は国家公務員法の81条の3であるとし、「その職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」場合に該当するとして、定年を延長したとの説明であった。
 そして森法務大臣は、2月3日の衆議院予算委員会で、国民民主党渡辺周議員の質問に対し、「検察官は,一般職の国家公務員であり,国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用され」るという解釈を示した。
3 検察官に国家公務員法の定年・定年延長制度の適用はない-閣議決定は違法
 1947年に制定された国家公務員法にはもともと定年制度がなく、社会情勢の変化の中で、1981年になって初めて定年制(国家公務員法81条の2)及び定年延長制度(同法81条の3)が導入された。しかし、同じ1947年に制定された検察庁法は、検察官は63歳に達した時に定年退官することを当初から規定し(検察庁法22条)、旧裁判所構成法時代には存在した定年延長制度を規定しなかった。
 国家公務員法の定年制度は、「他の法律に別段の定めのある場合を除き」適用できると定められている(国家公務員法81条の2)。この「別段の定め」の一つが検察庁法22条である。検察官の定年は検察庁法によるのであって、国家公務員法によるものではない。従って、国家公務員の定年延長制度は、そのまま検察官に適用される関係にはない(検察庁法32条の2参照)。
 何よりも、国家公務員一般に定年制がまったくなかった時代に、検察官について定年制が設けられたという事実は、検察官の定年制は国家公務員の定年制とまったく別の趣旨・目的で設けられたことを意味する。検察官の定年制は、検察官が刑事訴訟法上強大な権限を持ち、司法の一翼を担う準司法的地位にあるという、その職務と責任の特殊性に鑑み、検察官の人事に権力が恣意的に介入することを防ぐ趣旨を含むと解される。従って、検察庁法が制定されてから34年後に定められた国家公務員一般の定年延長制度が、検察官に適用されることはあり得ない。
 そして、1981年の国家公務員法改正時、政府も検察官について国家公務員法の定年延長の定めは適用されないとする解釈をとっていたことが、当時の政府答弁、政府文書によって明らかになっている。すなわち、2月10日の国会審議では、1981年に政府委員(人事院任用局長)が上記解釈の答弁をしていた事実を山尾志桜里議員が指摘し、2月24日には、この1981年の政府答弁の根拠となる文書(想定問答集)が1981年10月に総理府人事院(当時)によって作成されていたことが、野党共同会派の小西洋之議員の国立公文書館での調査により判明した。
4 安倍首相の「解釈変更」答弁後における法務大臣・人事院の支離滅裂な対応
 2月10日、上記山尾議員の指摘を受けた森法務大臣は、1981年の人事院の解釈について、そのような解釈は把握していないと答弁した。しかし、2月12日、人事院の松尾恵美子給与局長は、1981年の人事院の解釈につき「現在まで同じ解釈を続けている」と答弁した。
 ところが、翌13日の衆院本会議で安倍首相は、「検察官の勤務(定年)延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と答弁した。
 この安倍首相の答弁後、法務大臣や人事局長は、これと辻褄を合わせるため、以下のとおりの支離滅裂な対応を繰り返したのである。
 まず、2月19日の衆院予算委員会で、人事院の松尾恵美子給与局長は、「現在」とは1月22日のことだった、「言い間違えた」と答弁した。2月20日には、森法務大臣は、法務省が法解釈変更の経緯を示した文書について、「部内で必要な決裁を取っている」と答弁したが、同日、上記文書に日付がないことが判明し、翌21日の予算委理事会で法務省と人事院は、日付を証拠づける文書はないことを明らかにした。ところが、法務省は同日深夜、文書に関し「口頭による決裁を経た」と突然発表し、森法務大臣の答弁との整合性を取った。同月25日に森法務大臣は記者会見で、「口頭でも正式な決裁だ」と表明し、同月27日の衆院本会議では法務大臣の虚偽答弁を理由に不信任決議案までが出される事態となった。
 これら一連の政府の対応は、1月31日の黒川検事長の定年延長についての閣議決定が、法務省や人事院の正規の決裁も経ないまま長年の法解釈を無視し、官邸の独断で行われたものであったことを白日の下に晒しただけでなく、法務省・人事院が、安倍首相の答弁を取り繕うため支離滅裂な辻褄合わせに狂奔する姿を露呈したものであり、もはや法治主義の崩壊と言うべき事態である。
 今からでも、人事院、法務省、内閣法制局、内閣官房の間で、いつどのようなタイムラインで、どのような協議がなされたか、あるいはなされていないのか、国会の場での検討が求められる。
5 検事総長の人格識見こそが検察への政治介入の防波堤である
 検察庁は行政機関であり、国家公務員法の規定に基づいて、その最高の長である法務大臣は、検察官に対して指揮命令ができる。しかし、検察庁法14条は、法務大臣の検察官への一般的指揮権は認めているが、具体的事件については、検事総長のみを指揮することができると定めている。
 検察の独立性を守るのは最終的には指揮権発動を受ける可能性のある検事総長の識見、人物、独立不羈の精神に帰着する。だからこそ、検察組織は検事総長に清廉で権力に阿(おもね)らない人材を配し、政治権力による検察権に対する不当な介入の防波堤を築こうとしてきた。そして、歴代自民党政権も、検事総長人事は聖域として、前任の検事総長の推薦をそのまま受け容れてきた。これに介入するようなことは厳に慎んできたのである。いま、安倍政権によって、その秩序が壊されようとしている。
6 政府与党、検察庁内からも噴出した異論
 2月15日、中谷元・元防衛大臣は、国政報告会の公の発言の中で、「(黒川氏が)検事総長になるのではないかと言われております。私が心配するのは、三権分立、特に司法は正義とか中立とか公正とか、そういうもので成り立っているんですね。行政の長が私的に司法の権限のある人をですね、選んで本当に良いのかなと。一部の私的な感情とかえこひいきとかやってしまうと、本当に行政も動かなくなってしまう。権力の上に立つ者はしっかりと、その使い方を考えていかなくてはならない。」と安倍官邸の人事に苦言を呈した。
 2月19日の検察長官会同において、静岡地検の神村昌通検事正は、検察庁法で定められた「指揮権発動」についての条文を読み上げたうえで、「今回の(定年延長)ことで政権と検察の関係に疑いの目が持たれている」「国民からの検察に対する信頼が損なわれる」「検察は不偏不党、公平でなければならない。これまでもそうであったはず」「この人事について、検察庁、国民に丁寧な説明をすべき」との趣旨の意見を述べたと伝えられる。現職検事正による覚悟の発言である。
7 閣議決定の撤回と黒川検事長の辞職を求める
 このように、検察と司法の危機は白日の下にさらされ、検察と与党の内部からまで異論が続出する事態となっている。黒川氏が検事総長に任命されても、その職務を全うすることは困難である。この人事が正されなければ、検察行政は麻痺状態に陥ることは避けられない。これは、「常に公正誠実に,熱意を持って職務に取り組まなければならない。」、「権限の行使に際し,いかなる誘引や圧力にも左右されないよう,どのような時にも,厳正公平,不偏不党を旨とすべきである。」という「検察の理念」(2011年制定)を心に刻んで誠実に職務を遂行している検察庁職員に対する冒涜でもあると言わなければならない。
 我々は、司法の一翼を担う弁護士及び学者の集団として、内閣に対して、違法な定年延長を認めた閣議決定の撤回を求める。また、黒川氏に対して、当初の定年のとおり退官すべきものであったとして直ちに辞職することを求める。
 この問題は、日本の司法と民主主義の根本にかかわる重大事である。もし、内閣と黒川氏がこのような穏当な解決に応じないとすれば、我々は、心ある検察官、与野党の政治家、メディアなどとともに一大国民運動として、検察の独立を含む民主主義を復活させるまで闘いつづける決意を明らかにするものである。
以上

あけましておめでとうございます

2020-01-04 11:28:15 | 身辺雑記

↓事務所ニュースの新年号に書いたご挨拶です。タイトルはユーミンの楽曲ですが原稿とは全く関係ありません。
 しかも,締め切りすぎてからやっつけで書いたもので,内容も特にありませんが,お目汚しとして。

木枯らしのダイアリー
杉本 朗

 あけましておめでとうございます。
 一年の計ということで,今年こそ日記を書くぞ,と決意されている方もいらっしゃると思います。
 自慢ではありませんが,私は日記を書いたことがありません。書こうとしたことは何度かあるのですが,三日もたたずに挫折しました。例外は,中学2年のときに,英語の担任が学校の教頭先生で(今から思うと教頭先生が授業をもっていたというのは組合の強い学校だったのかなと思いますが)英語力をつけたかったら夏休みの間英語で日記をつけろ,毎週学校に来ているから見てやる,と言われて,毎日英語で日記を書いては,週末学校へ持っていって添削を受けたことがあるだけです。
 単なる私人の私が日記をつけないことによるデメリットは,せいぜい人間として向上することがない程度ですが,これが公の存在になると話は違ってきます。公人や公機関がきちんと記録を残すことによって,検証が可能になりますし,あるいは文化の継承ということもあります(昔の木簡や,下貼り文書などそれによって当時の文化などが分かります)。アメリカの大統領が退任するとメモワールを出版するのも,お金を稼ぐという意味もあるのでしょうが,在任中の出来事や意見を(たとえ粉飾があったとしても)後世に残すという意味があるのだと思います。
 そうした点で,公機関がいろんな公文書をあっさり廃棄してしまう,というのは自ら責任追及されるのを逃れるだけでなく,大きな意味で日本の文化の破壊だと思っています。近年,行政機関による公文書の廃棄が問題になっていますが,ある時代にどのような政治が行われていたかは一〇〇年二〇〇年のちには,重要な資料になると思うのです。日本文化の破壊を許さないためにも,きちんと公文書の保管がなされるよう私たちは見守っていかなければならないと思います。

原武史・平成の終焉(岩波新書)

2019-05-04 09:55:44 | 本の話

明仁さんの退位発表後,岩波書店で編集者さんなどに対して行われた,天皇退位や平成の終焉に関する計8回の講義を元に,まとめられた本。

まず,明仁さんの退位の「おことば」を読み解くところから始まり,次いで平成前史として明仁さんと美智子さんの皇太子,皇太子妃時代が語られ,平成史として明仁さん即位後の時代が語られ,最後にポスト平成の見通しが語られる,という4部構成になっている。

退位の前後から,なんとなく明仁さんいい人的なムードの中でいろんな言説がなされていたように思えるけど,原教授はそうしたムードを遮断し,テキストとしての「おことば」の分析から入る。また,明仁さん,美智子さんの行動についても,出来るだけそれが客観的にどのような意味を持つものなのかを解析しようとしている(もちろん,客観的にどのような意味を持つものなのかという問いかけに対する答はきわめて主観的なものではあるのだが)。

この代替わりの時期に,改めてプレ平成〜平成〜ポスト平成という時代を考えるうえではとても示唆的な本だと思う。

あとがきに,宮内庁のサイトで原教授の新聞での発言が実名で非難されていることが紹介されているが(本書はそれへの再反論としても書いたそうである),それって宮内庁やりすぎなんじゃない?と思う。
たとえば,政権批判の議論がなされたとき,内閣官房のサイトでそれを非難するようなものではないですか(今の政権だとあり得なくはなさそうなのが残念ですが)。
なにやら背後に誰かがいるようなことを原教授はにおわせているが,誰なのか実名を知りたい。

 


呉座勇一『陰謀の日本中世史』(角川選書)

2018-11-25 22:45:07 | 本の話

ちょっと前に,呉座勇一さんの『陰謀の日本中世史』(角川選書)を読んだ。

本能寺の変の真相,に代表されるように,日本中世史にはさまざまの陰謀論があるけれど,専門家はあえてそういった陰謀論を否定しようとはしない。それは,一目で荒唐無稽と分かるような話の間違いを証明しても,学界では研究業績にならないからだ。しかし,全ての日本史研究者が「時間の無駄」と考えて無関心を決め込めば,陰謀論やトンデモ説は致命傷を負うことなく生き続ける。誰かが猫の首に鈴をつけなければならない,として呉座さんはこの本を書いた。

いくつもの陰謀論について,歴史学の手法に則って,客観的・実証的な分析が行われていて,読んでいてとても興味深い。

しかしそれ以上に面白かったのは,最終章で,陰謀論の特徴,人はなぜ陰謀論を信じるのか,をまとめているところだった。

陰謀論の特徴とは,(1)因果関係の単純明快すぎる説明,(2)論理の飛躍,(3)結果から逆行して原因を引き出す,とまとめられている。また,陰謀論者は挙証責任を批判者側に転換することが指摘されている。

そして,人はなぜ陰謀論を信じるのかといえば,陰謀論が単純明快で分かりやすいからであり,「歴史の真実」を知っているという優越感をくすぐられるからである,とされている。

なるほどなぁと思うことしきりであると同時に,日本通史の決定版!と銘打たれて最近売れている本が,こうした特徴を兼ね備えていることに気が付いた。


長距離走者の孤独(シリトーとは関係ありません)

2018-08-28 12:05:01 | 意見発信

いしかわじゅんさんが,さくらももこさん逝去のニュースについて,どうしてみんなアニメの『ちびまる子ちゃん』の話しかしないんだ,さくらももこさんの作品は,漫画の『ちびまる子ちゃん』であって,アニメのそれではない,という趣旨の発言をされていて,ちょっと胸を突かれました。

私は比較的さくらさんデビューのころからさくらさんの作品に接していましたが,確かに言われてみれば漫画とアニメってかなり違うよな,と思いました。

三世代家族のほのぼのした作品というのがアニメの評価のような気がしますが,漫画の方はもっとファンシーで毒があるように思います。体調悪かったころの神回のような作品はともかくとしても,どうしちゃったのというようなファンタシーの世界とか,他人に対する厳しい視線の毒などが漫画にはありました。

そういった毒のようなものは,万人には受けないだろうという配慮があってか(その判断は間違ってはいないと思いますが)アニメからは消されています。

さくらさんサイドのゴーサインが出ているのでしょうから,そうした配慮はさくらさんも承知のことだとは思います。
また,自分の作品がアニメ化されて広く人びとに受け入れられることは,クリエーターとして喜びだろうと思います。

でもどこかで,「あれってちょっと違うんだよなぁ」とさくらさんが思っていた可能性はないでしょうか。

あと,長谷川町子さんには『意地悪ばあさん』という裏サザエさん的な漫画がありましたが,さくらさんにも裏まる子的な作品を書いて欲しかったかなぁと思います。『永沢君』がそうだったのかもしれませんが…

もうさくらさんの新しい漫画や文章が読めないのは残念です。


**拡散希望** 安倍9条改憲NO!を求める署名にご協力下さい

2017-12-06 17:32:43 | 意見発信

今,安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会が,安倍9条改憲を許さないための署名活動をやっています。

要請の趣旨は次のとおりです。

「2017年5月3日、安倍晋三首相は突然、「新たに憲法9条に自衛隊の存在を書きこむ」「2020年に新憲法施行をめざす」と述べました。この発言を受けて、改憲への動きが急速に強まっています。
戦後70年以上にわたって、日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は憲法9条の存在と市民の粘り強い運動でした。いま、9条を変えたり、新たな文言を付け加えたりする必要は全くありません。私たちは、日本がふたたび海外で「戦争する国」になるのはゴメンです。
私たちは、安倍首相らによる憲法9条などの改悪に反対し、日本国憲法の民主主義、基本的人権の尊重、平和主義の諸原則が生かされる政治を求めます。

【請願事項】
1.憲法第9条を変えないでください。
2.憲法の平和・人権・民主主義が生かされる政治を実現してください。」

安倍首相宛の署名はネットから行えます。

今回安倍政権が憲法9条を変えようとしていることに疑問をお持ちの方,立場を越えて広く署名にご協力いただければと思います。

ネット署名はこちらからお願いします。