Athletic Club de Fukuoka

アスレチック福岡

アメンド

2008-07-28 | 考察08

【第29節】○3-2水戸ホーリーホック(A)

ある意味、理想的な勝ち方だった。新体制わずか3試合で、完ぺきな展開など望めるはずもない。修正点が改めて浮き彫りになり、選手たちの誰も満足していない。勝ち点3を手に入れつつも、危機感は保ったまま。この勝ち方なら、立ち止まることなく精進してくれるだろう。

開幕当初なら、攻撃を完全に捨てて守りに集中できる。リティ以外の外国人監督がよくやる手だ。だが、シーズンを戦いながら守備を建て直すのは、どんな名将であっても容易なことではない。それにこの日の後半は、守備の固いチームでも起こり得る典型的な展開だった。

このところ好調で、しかもホームの水戸。そんなチームが開き直ってシンプルに攻めてきたら、そうそう跳ね返せるものではない。過去2試合の福岡が、相手にとってそうであったように。それでも飲み込まれずに踏みとどまり、さらに押し返したのだから、大いに評価したい。

湘南戦までは、撃ち合いになっても仕方ないと思っている。リカバーの時間を考えると、守備練習に割く時間は十分でない。当面、篠田監督が最優先でやるべきことは、チームの一体感を崩さないスピリットコントロール。その点、中島を一喝したりと、うまくやっているようだ。

次を乗り切れば、貴重な休みが待っている。猛暑の試合を一つ避けられると同時に、守備の整備に集中的に時間をかけられる。日程もまた、福岡の流れになってきている。■


ユニティ

2008-07-21 | 考察08
【第27節】○3-2横浜FC(H)

ロスタイムのゴールに「うおおおお」。終了のホイッスルと同時に「うおおおお」。直後、腰が抜けたように座り込み、立ちあがれない。こんな試合のあとに「課題」という語句を使うのは、大人げない。言葉にするのも惜しい勝ち方だった。いろいろ見えた課題は、忘れた。

中でも、宮本と柳楽の気迫には圧倒された。PK直後の失点は、体を寄せきれなかった両CBに後悔を残したことだろう。そこで下を向かず、守っては体を張り、攻撃にも力を尽くした。整備不足で相当な負担がかかっているであろう2人だが、脱帽の運動量だった。

ユースケの同点ゴールは、柳楽が相手DFと体をぶつけながらも競り勝ったところから生まれた。ジャンボの決勝点直後、ゴールマウスからボールを拾ったのは宮本だった。隠したのはいただけないが、あの場面でゴール前まで駆け上がっていた執念に拍手したい。

ミスは誰にもある。繰り返すか、取り返すか。決定機を続けて外した中払にしても、決勝点の場面では中央で落ち着いてタメをつくり、右の久藤にパスをはたいた。それを導いた監督の「下を向くな。どんどん撃っていけ」という言葉の力。いちいち感動させる。

それにしても、こんな勝ち方ができるチームだったっけ。淡泊さが仕様だっただけに、これから立ち上がっていくのに必要な「一体感」という基盤ができた意味は小さくない。課題や内容うんぬんでは測れない試合だった。■

アキュレート

2008-07-14 | 考察08

【第26節】○2-1徳島ヴォルティス(H)

就任会見でも、徳島戦直後のピッチインタビューでも、同じことを感じた。「誰よりもチームを強くしたいと思っている」「目の前の1勝かもしれないけど、われわれ選手にとって大きな1勝だ」…。篠田監督には、その場にふさわしい言葉を、的確に端的に発する才がある。

S級を取得して数日の新監督が、戦術指導や修正能力に長けているかどうかは分かりようがない。ただ、力のある言葉を耳にすると、優秀なモチベーターとして期待が高まる。的確な発言が、指揮の面でも発揮されれば、適材適所の采配を実践してくれるのではないか。

実際、ユースケをストライカーとして起用した采配は、勝利に直結した。「後半から必ず使う」と予告されたジャンボも、気持ちの準備ができていたため、スムーズにゲームに入って流れを変えた。PKキッカーに久藤と城後を指名しておいた点も、なかなか心憎い。

ゲームの方は課題満載。前任者の数少ない財産である「守りにおける責任プレー」は、マンマークもゾーンも、自分の担当に責任を負う意味では同じだし、準備期間が短いがゆえに生命線だと思っていた。だが、先制点を許した場面は、それすら混乱していた。

それでも「気持ち」で立て直せたのは、今後に向けて何よりの推進力になる。熱いうちに、どれだけ戦術を積み重ねられるか。篠田監督の手腕が問われるのはこれからだ。が、その第一歩には素直に拍手を贈りたい。■


アンビシャス

2008-07-11 | 考察08

【第25節】○2-1ザスパ草津(A)

ほぼ1年前のアウエー草津戦。5-1で圧勝したものの、割り切れない思いが残った試合だった。4バックから3バックへ。リトバルスキーは、システムの変更と同時に、それまで堅持してきた「志」のレベルまで下げてしまった。振り返れば、そこから迷走が始まった。

1年後の草津戦。皮肉なもので、選手たちは自らの判断で「志」を思い出した。つなぐサッカーを選び、ぎくしゃくしながらも勝ち点3をもぎとった。特に、崩してから奪った先制点は、ここ最近、お目にかかれなかったパターンだった。原点回帰が生んだゴールといえる。

中島のセンタリングが流れたところに、ユースケがいた。つないだからこそ、両サイドが高い位置まで進出できる時間を創出できたということだろう。安易にロングボールに頼らず、パスでサイドの高い位置までボールを運ぶ…リティが目指していたはずのサッカーだった。

大志を貫けなかったのは、選手を信じ切れなかったからか、理想を形にする指導力に乏しかったからか。いずれにしても、昨季で結論は出ていた。選手を入れ換えても、志の低いサッカーでは生かしようがない。揚げ句の果てのマンマーク…。解任は、遅すぎた。

新指揮官は442に戻す意向のようだが、いずれにしても、チームの成長につながる試合、選手が報われる采配をお願いしたい。そのためにも、滅茶苦茶なタイミングで解任してしまうようなフロントに、翻弄されませんように…。■


デジャヴ

2008-07-07 | 考察08
【第24節】●0-2ヴァンフォーレ甲府(H)

いつか見た光景だった。甲府といえば、いつも藤田に煮え湯を飲まされてきた。二度も三度も。なのに、なぜフリーにしておくのか。リトバルスキーに限って甲府戦は今季が初めて、などという言い訳は通用しない。勝つための手を打たなければ勝てないのは当然だ。

2点目が象徴的だった。布部が遅れて飛び出したが、かわされ、裏にはフリーのFWが2人も。1点目は仕方ないとして、ハーフタイムに修正する時間はあったはず。後半から布部をアンカーの位置に上げて、藤田をケアさせておけば、もっと早く芽を摘めたろうに。

藤田の動く空間は、攻撃面の修正点でもあった。久藤が試合後に述べたように、久藤や中払が前に出た後のカバーができていない。前半、攻勢だったのは、バイタルを空けて前に人数を割いたから。逆に中盤を気にしすぎると、大久保が孤立する。システム上の問題だ。

布部を後ろに余らせる戦法では、負けにくいが、勝てない。事実、点が獲れていない。本心から昇格を諦めていないのであれば、そろそろ「フツー」に戻してほしい。選手の頑張りだけで、あとは形だけ取り繕ったような試合をしても、昇格も来季も、何もかも失ってしまう。

勝ちを奪いにいくような試合が見たい。贅沢な望みなのだろうか。■