アジアな日々

アジアの街角から感じたことを、現在と過去を往き来しながら綴るフォトエッセイブログです。

波止場の大怪獣

2007年03月31日 | 街角の風景

<日本・神戸 (Kobe, Japan)>

東の空が赤く染まり、生駒の稜線が次第にはっきりしてきた。

つい先ほどまで静かだった街中に、トラックや乗用車の音が遠くからこだまする。

波止場の大型クレーン。

朝日を皆で見つめる大怪獣のように見えた。


餌、ちょうだい

2007年03月14日 | 生きもの

<タイ・チョンブリ (Chon Buri, Thailand)>

ロイ島の大きなプールで飼われているウミガメたち。

人影を見るとやってきて、
「餌」
「餌」
「餌、ちょうだい」
と、水面から見つめるつぶらな瞳で自己主張をする。

ラオスのフランスパン屋

2007年03月13日 | 市場

<ラオス・ビエンチャン>

狭い通路を、人々があわただしく行き来する。

ある時は値引き交渉で安く買い物が出来た客が、両手一杯の買い物を持って満足げに通り過ぎる。ある時は売り物を抱えた店員たちが、小走りに通ってゆく。

そんなあわただしさをよそ目に、屋台のフランスパンが行き来する人々を静かに見守る。

安いのか高いのか・・・。女主人の言い値はまだラオスに来て数日だった僕にはわからなかった。

ガラスケースの中にあるチャーヨー(豚肉のハム)や香菜を指さし、パンに挟んでもらう具を選ぶ。ちょっと硬くなったパンの皮を前歯で引きちぎり、ラオス風サンドウィッチを奥歯で噛みおろすとベトナムの味が口内に広がった。

かつてはベトナム・カンボジアと共にインドシナと呼ばれたラオスには、フランスの植民地だった頃の名残と共通性がある。フランスパンはそんな名残のひとつだ。

酉刻のパゴダ

2007年03月09日 | 街角の風景
 
<ミャンマー(ビルマ)・ヤンゴン (Yangon, Myanmar: Burma)>

最近ヤンゴンで多くなったという乗用車。市内の交差点では夕刻にはちょっとした帰宅ラッシュがあり、信号が赤になると何台もの車が並ぶ。

何年もミャンマーを訪れている知人に言わせると、裕福層がここ数年でかなり増えた反面貧困層も増え、その格差は確実に広がっているという。

この地の歴史を長らく眺めてきたシュエダゴンパゴダは、通りすぎる車列を前に何を感じているのだろう。

月の光

2007年03月08日 | 

<ミャンマー・タニンダリー管区>

アンダマン海に浮かぶ小さな島の夜。

潮の引いた干潟に、月光が映る。

目に入る唯一の光はことのほか明るく、沖を静かに進む船上の人々の動きさえ暗闇に浮かび上がらせる。そこは騒々しい大都会を埋めるネオンや車の光などとは一切無縁の、海原と豊かな干潟が残されている。

満腹で候

2007年03月06日 | 生きもの
 
<タイ・バンコク>

暑季の最盛期が近づき、夜中でも暑くなってきた。

ある日の夜中。足にかゆみを感じて起き上がってみると、蚊に刺されたようで、そのふくらみが足に残っていた。部屋のどこかに蚊がいたに違いない。気持ちよく眠っているときに蚊に起こされるほど、腹立たしいものはない。

探してみても見あたらないでベッドに戻ろうとしたとき、吸った血で満腹になって身動きがとれなくなった蚊が、シーツの上に横たわっているのが見えた。

何もここまで吸わなくても・・・
最近運動不足気味なので、栄養が行き渡った血がよほど美味かったのだろうか。

顔を近づけても羽根をブンブンさせるだけで、重くて飛び上がることの出来ない蚊をみていると、それまでの恨みも消えてしまう。

そっと手に取り、ベランダに逃がしてやる。
「二度と戻ってくるんじゃないぞ」